高断熱だと省エネになるの?

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ハウスメーカーは「高気密高断熱」をアピールしたCMも多いですね。二酸化炭素発生量削減という観点から政府も住宅の高断熱化を推進しています。一般の方にとっては、「高断熱」=「暖かい家」=「暖房費下がるから省エネ」という認識なのだろうと思います。

さて、さて、本当に「高断熱」=「省エネ」なのか考えてみましょう。

Ua値(外皮平均熱貫流率)は建物内部から外部に逃げてい行く熱量を示す数値、Ua値が低いほど高断熱な家で間違いありません。では次にUa値が高い(断熱性能の高い)住宅は「冬暖かく、夏は涼しい家」になるのか? を考えてみます。
20210601冬Ua0.48.JPG
上の図は神奈川県川崎市で設計した「新しくて懐かしい切妻屋根の家」の室温シミュレーション結果です。この住宅のUa値は「0.48」です。省エネ基準は大きく上回っていますが超高断熱まではいかないレベルです。。シミュレーションの前提は、無暖房(エアコンを稼働させていない)状態の昨年1月20日の晴れた冬の日で計算しています。時間は夜8時、その時の外気温は6.5℃です。
1階リビングダイニングは無暖房状態にもかかわらず室温20.1℃、2階寝室は16.8℃という結果となっています。2階ホールは階段を通じて1階ホールと一体空間になっているので18.4℃です。

20210601冬Ua0.39.JPG
次に、南側の窓の大きさを小さくして高性能な窓へ替えたと考えてUa値「0.39」の高断熱化したシミュレーション結果を示します。無暖房状態、昨年1月20日の夜8時というのは同じです。
1階ダイニングの室温は15.5℃、2階寝室の室温は12.5℃という結果になりました。日中の熱取得量が下がったために、断熱性能が高くなったにもかかわらず室温は低くなってしまうのです。

「冬暖かい家にしたい、なるべく省エネな住宅にしたいと考えて注文したのに・・・」
「ハウスメーカーのセールスマンはUa値が高いので冬暖かいですよ!!と言ってたのに・・・」

住み始めてからこの事実を知って後悔しても後の祭り。Ua値の示す意味を理解せずに広告に惑わされてはいけません。Ua値は、日射取得量のない状態であればその数値が小さいほど熱が逃げにくく暖房費も削減できます。ですが実際には日中は主に窓から日射取得があり室温を上昇させ陽が落ちると徐々に下がります。日射取得と熱損失のバランスがとても重要なのです。


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