学校でのできごと 「子供の宿題わすれ あなたなら どうする?」

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コラム
学校でのできごと 「子供の宿題わすれ あなたなら どうする?」
 一部創作したある学級のできごとです。

あなたが、その学級の子どもの母親(父親)だったらどう思いますか。同僚ならどう思いますか。

設定はこうです。

宿題の提出がない小学校1年生のA子さんがいました。
朝の学活の時間のことです。
担任は、宿題が出ていないA子さんのところに行き、机の中を探すように言います。

A子さんの机のボックスの一番下から宿題のプリントがでできました。
ここで質問です。
あなたなら何というでしょうか。
考えてみてください。
担任の先生は、「わざと机の一番下に入れたでしょう。そうでしょう」と言いました。
A子さんは無言です。
担任の先生は、「ずるはいけません」と言いました。
学級の児童全員が聞いていました。

さて、あなたの考えと、担任の先生が言った言葉は同じでしたか。違いましたか。

実は、似たようなできごとが現実にありました。保護者の方から、お子さんを通じて話がある場合もありましたし、教室訪問でたまたま出くわしたこともありました。
私だったら、どう話すかという問答集にしてみました。
私「A子さん。宿題が出ていないけどどうしましたか。」
A子「宿題のプリントがなかったのでできませんでした」
私「そうでしたか。もしかしたら机の中にわすれてしまったかもしれませんから、中を調べてみませんか」
A子「机の一番下にありました。」
私「よかったですね。その宿題どうしましょうか。」
A子「休み時間にやります」
私「それでは、先生も一緒に付き合いますね。」
私「(学級全員の子供たちにも向かって)A子さんは、宿題ができなかったわけをきちんと言えましたね。そして、宿題をどうするかも自分で考え 
て言えましたね。立派でした。さあ、1時間目の授業をはじめましょう」

どうでしょう。私のような話し方をどう思いますか。また、あなたならどう話しますか。

上の事例とは違いますが、実は私自身も担任時代、子供を追い詰めてしまう言動をとってしまったこともあります。しかし、子供から学び、保護者の方や地域の方から学び、よき上司や同僚から学び、学校外の研究会からなど多くの学びを通して変わることができました。

私が、子供たちと関わるときに大事にしている視点を2つ上げます

1つめは、「人権感覚」をもって関わることです。子どもも大人と同じ人権があるのは当然です。しかし、子供にはそれ以上に配慮が必要です。固いことばになりますが、私たち大人は、「子どもの最善の利益」を守らなければならない義務があるのです。

2つめは、子供の発達・成長段階を見極めて関わることです。乳幼児の発達、児童期、思春期、青年期などそれぞれの段階によりその発達の特徴は違いますし、関わり方も同じではありません。また、発達障害や知的障害、HSCなどの発達特性などによっても関わり方は変わります。いわゆる個別対応が必要です。

ですから、当然、A子さんを、学級全員がいる前で、つるし上げるような言動は、例え、わざとだとしても言ってはいけないのです。
もし、わざとプリントを置いて行ったとしたら、それでもいいではないですか。だまされたって。事実はA子さんが分かっているわけです。

心を傷つけるより、これからのA子さんの成長を願い・めざすべき指針のあることばを言ってあげればいいのです。そういうやり取りを学級全員が見て言います。その中でまた、子供たちは成長していくのですから。

今、よく言われている非認知能力も付いてきます。それは、いわゆる学力向上の原動力ですから。

また、A子さんは、忘れやすい、机の整理せいとんが苦手、書くことが苦手、計算も苦手などの発達特性もあるかもしれません。以前、宿題わすれをした時に怒れたことがあって、また怒られたくないという気持ちから出た言葉かもしれません。子供の多様性も見ていく必要があると思うのです。

ポイントをまとめると次のようになります。
①「わざと忘れた・わざとやらなかった」という決めつけはするべきではありません。
 →まずは、本人から事情を聴く。本人の言ったことを信じてやる(うそだったとしても)。どうするかも自分から話させる(休み時間にやりなさい。休み時間はありませんなど強制はしない)。子供の特性を見極めつつ話をする。

②クラス全員がいる前で見せしめのように言うべきではありません。
 →失敗したとき・うまくいかなかったとき、わけや理由をきちん考え話すことができる。その後どうするか、今後どうするかなど、自分で考え行動できる力が大切だとわかってもらう学習教材とする。
あなたは、どう思いますか。

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