邦画の今とこれから

記事
コラム
映画鑑賞が趣味で、歳もそれなりに重ねた者として、数多くの作品に出会ってきました。

まぁ、日本人の代表的な趣味が大抵[映画鑑賞]になりがちなのは仕方なく・・・、履歴書に書いておけば収まりが良いし・・・、なんとなく賢そうに見える点もオイシイ・・・(笑)。そんなこんなで、やましい動機で映画を観ている人も純粋に映画を愛している人も、年間の興行収入について興味があったりしますよね。

このほど報道でありました2021年の映画興行収入ランキングの結果は以下の通りです。※データは報道のあった時点のものです。

第1位:『シン・エヴァンゲリオン劇場版』102.8億円
第2位:『名探偵コナン 緋色の弾丸』76.5億円
第3位:『竜とそばかすの姫』65.4億円(上映中)
第4位:『東京リベンジャーズ』44.7億円
第5位:『るろうに剣心 最終章 The Final』43.4億円
第6位:『新解釈・三國志』40.3億円
第7位:『花束みたいな恋をした』38.1億円
第8位:『マスカレード・ナイト』37.9億円(上映中)
第9位:『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』36.6億円(上映中)
第10位:『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』35.6億円(上映中)

パッと見、邦画が強いですね。ただし、そのほとんどがアニメやマンガ原作の作品。10位の嵐のものにいたっては、映画と言うよりアーティストのプロモーションビデオなのでは?的ムービーですし。この結果を受けて映画ファンとして想像するのは、特に実写邦画を制作する映画人達の心情。この現状に対して何を思っているのか・・・。

アニメやマンガ原作の作品が悪いのではなく、単純に実写邦画のエネルギーが減退してはいないかという点を見過ごすわけにいきません。要は、わざわざ映画館へ行ってまで観たいと思えるものではないと認識されているおそれがないか。これは非常に根深い問題です。私が思うに、昨今の映画事情として興行収入に直結する鑑賞スタイルが、[個人型]から[家族団欒型]へ切り替わっている実態が大きく影響しているかなと。なぜなら、イオンのような大手シネコンを併設する大型複合施設が建つことにより、そこへ集まる客が観る作品として、特に子連れであれば圧倒的にアニメ作品になると予想できます。このことが、トータルで年間興行収入へ直結し実写邦画の停滞を招く一因だと考えられるでしょう。

また、Netflixなどの動画配信サービスが充実したことにより、映画館で実写邦画を観るという習慣が失せつつあることも痛恨の事態だと言えますよね。ちなみに、お隣の韓国は世界でも有数の映画好きで知られており、悲恋ものかヤンキーものしか売れない日本では考えられませんが、ほとんどオジさんしか出演していない感じの骨太な実写映画がヒットしています。観る人の目が肥えているというのも大事なポイントなのかもしれません。

長くなりましたが、かつて優秀な作品を創り出し、多くの巨匠を生んだ実写邦画業界が再び盛り上がることを願います。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す