ハロプロの魅力を考える

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アイドルに全く興味のなかった自分が、ある日突然、YouTubeにある過去動画を探しに徘徊するようになったのは、ごく最近のこと。

その中でも、ハロープロジェクト!に所属するアイドル達に惹かれ、ASAYANの頃から新結成されたグループまで、手当たり次第にその足跡を追いました。私が成人となる頃にデビューした『モーニング娘。』は、なんと間もなく25周年を迎えるのだとか・・・。スゴいですね。モーニング娘。が華々しく世に登場した時は既にアイドルに見向きもしない年頃だったこともあり、一連の『モー娘。』ブームは完全にスルーでして、なんとなく歌番組でチラッと見て認識するくらいでした。今もライブに行くとか、グッズを買い漁るとか、いわゆるハロオタやドルオタでも何でもない私ですけど・・・。

当然ながら、アイドル史に刻まれるであろう偉大な歴史についてなど知る由もなく、YouTube動画を見るまでは、ほぼ初期から3期メンバーくらいしかハッキリしないほど無知な状態。そんな私がハロプロを軸にアイドル文化について深く考察するようになるなんて・・・、人生とは不思議なものですね。

さて、生まれたての赤ん坊くらい右も左も分からなかった私ですが、最初に強烈な印象を受けたのが、いわゆる『ベリキュー』と呼ばれるグループでした。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、『Berryz工房』と『℃-ute』のことですね。ではなぜ、この2グループが刺さったのか・・・。単刀直入に言えば、このグループに選ばれるという運命の大きさに打ち震えたから。だって、約3万人が参加したオーディションでたった15人の合格者に選ばれるんですよ?鬼のような狭き門!ちなみに、第103回の全国高校野球選手権大会における地方大会参加校数が3,603校だったことから、ざっくり1校あたり部員が15人いたとして高校球児の総数は54,045人!ジャンルは全く違いますが、15人に選ばれた少女達はとどのつまり、甲子園で優勝を果たすチームのメンバーに準えてもいいでしょう。

年甲斐もなく、少し興奮して分かりづらい例えをしてしまったかもしれませんね・・・(苦笑)。申し訳ありません。

気を取り直しましょう。この世に生まれた時はバラバラだった少女達が、時を同じくして一堂に会するなんてロマンチックすぎる・・・。これだけでオジさんは感動してしまったのです(笑)。

いやはや、ベリキューの話だけでブログが終わってしまいそうな勢いですが、“ハロプロの魅力を考える”としたタイトルにもとることなきよう、全体を俯瞰するように論評しないといけませんね。

モー娘。(コアなファンはモーニングと呼ぶそうです)がデビューした頃を振り返ると、実はアイドル氷河期といえるほど国民的なアイドルが存在していなかったように記憶しています(アイドルの正確な定義は難しい・・・)。ギリSPEEDが該当するかもしれませんが、彼女達はアーティスト寄りですもんね。私自身、アイドルに熱中していたわけではないので真の実態は存じ上げませんが、『おニャン子クラブ』の人気が過ぎ去ったあと、女性アイドルで一世を風靡した個人やグループが思い浮かびません。

そんな停滞期に突如として現れたのがモーニング娘。でした。テレビ東京の人気番組だった『ASAYAN』の企画内で誕生したグループは、当初は落選組の5人で結成するところが温情措置と見られていましたよね(女性ロックボーカリストを決めるオーディションで優勝は平家みちよさんだった)。ところが、インディーズCDを5万枚売ったらメジャーデビューという条件を見事クリアして一気にブレイク!その後はスター街道を激走する象徴的なグループとなり、一時は社会現象にまでなっていましたもんね。いやはや、この時点で壮絶なドラマ・・・。

日本のアイドル史において、過去には数多くのスターが綺羅星の如く現れましたが、このモーニング娘。の特筆すべき点は、それまでの価値観を大きく転換し、現在に至るまで引き継がれるガラパゴス的アイドルフォーマットの草分け的存在だと言えるところ。特に、メンバーの“卒業”というセンチメンタルでドラマチックな制度を一般化させたのは画期的でした。従来は“引退”か“脱退”というネガティブな印象だったアイドルの終焉を、そのフレーズを巧みに変換し、ファンの悲しみを最大限和らげながら、グループを去るメンバーの功績を余すことなく称えつつ送り出すというシステムは衝撃的でしたよね。大袈裟かもしれませんが、平成を代表する発明と言って過言ではないでしょう。

加えて、ここからが大事な点。なんと、卒業したメンバーを補強する目的で新メンバー加入という新陳代謝制度を導入したこともセンセーショナルでした。このことにより、グループ自体の消滅がなくなるというアイドルビジネスの確立を実現。メンバーの延命よりも新しい風を積極的に取り入れることで、ファンの関心をバロメーター的に起伏に富んだものとして温存させる仕組みとしました。ありそうでなかったシステムですよね。本当に感心します。

モーニング娘。の偉業を書き出したらキリがなくなるので、私が言いたいことをそろそろ・・・。

なぜ、私がベリキューを特別視するのか。それは、せっかく導入した“卒業”と“新メンバー加入”という仕組みを採用せず、約3万人から選び出したハロプロ史上最も偉大な生え抜きのメンバーとグループについて、“休止”と“解散”という従来型の結末を迎えさせた点に違和感と動揺を感じたから。先輩グループのモーニング娘。が半永久的に存続するのに、鳴り物入りでデビューしたエリート少女達にその道筋が用意されなかった理由・・・。これは摩訶不思議ですね。確かに、ベリキューはお互いにローティーンからデビューして10年以上のキャリアを重ね、加齢とマンネリ化の危機に陥っていたことでしょう。しかし、だからこその独自開発制度だったはずなのに、この2グループには適用しなかった・・・。

色々と頭をこねくり回して考えた末に、私は自分を納得させるための結論を無理矢理こしらえました。要約すると、ベリキューはアイドルグループとして完成度が高すぎたのだと思います。満ち欠けの物語が成立する余地のない完全無欠の存在だったのでしょう。不思議なことに、このベリキューには際立ったヒット曲がなく、初期モーニング娘。が残した業績からは程遠いものと言わざるを得ません。それなのに10年以上も存続できたのは、ひとえに、ファンから愛され、そのファンの期待に応え続けたクオリティの高さにあるのではないか。然るに、そのような完璧な存在に再生は無意味であると判断したのかもしれません。こう考えると、何となく納得できてしまいます。

とは言え、私がベリキューに関心を持った時には、既にこの2グループは存在していませんでした。つい最近までアイドル童貞だった私が、彼女達の足跡と功績を地道に辿る中で見えてきたアイドルの真髄。それこそが、アイドル新時代を生み出したハロプロの奥深さを表すファクターなのではないかと思っています。

ベリキューがハロプロから卒業して随分と経ちますが、その間にも新たに生まれたグループや、ベリキューとは異なり志半ばで解散となったグループもあります。無論、研修生としてデビューを夢見るも叶わず人知れず芸能界を去った少女達も数知れず・・・。こうして、悲喜交々のアイドル物語がこれからも続くことを想像すると非常に感慨深いですよね。日本のアイドル文化にあるセンチメンタリズムは、こういったバックグラウンドがあるから感動を呼ぶのであり、そして、文化として成立したのだと思います。

とんでもなく長くなりましたが、今回はこのへんで失礼します。

最後まで読んで頂いた方、あなたは神です。

ありがとうございました。
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