調停離婚の弁護士費用はいくら?相場や内訳・支払いの際の注意点

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法律・税務・士業全般
離婚問題で弁護士への依頼を検討されている方にとって、一番気になるのは弁護士費用ではないでしょうか。

弁護士費用は高額に思えるかもしれませんが、事案の内容や依頼者の状況によっては減額されることもあります。

また、弁護士に依頼すれば、財産分与や慰謝料、婚姻費用などを多く獲得できるため、弁護士費用で損をすることはほとんどありません。

この記事では、弁護士費用と費用を抑える方法について詳しく解説します。具体的な費用は事務所や依頼内容によって異なるので、具体的な見積もりを聞きたい方は直接事務所にお問い合わせください。
離婚の弁護士費用は大きく4つに分けられる
離婚の弁護士費用の目安を知る前に、弁護士費用の内訳を知ることが大切です。弁護士費用には、以下のように4つの種類があります。ここでは、弁護士に支払う報酬の4つの種類を紹介します。

離婚にかかる弁護士費用の4つの種類

1:相談料
相談料」とは、弁護士に事件の相談をするための費用です。相談料の相場は1時間あたり5,000円~10,000円ですが、最近は相談料を無料にしている事務所もあります。

2:着手金
着手金とは、依頼をする際に支払う料金のことです。依頼した結果が希望通りでなくても、関係なく支払われる着手金です。

したがって、事件の結果が希望通りでなかった場合や、途中で事件を取り下げることになった場合でも、返金を求めることは基本的にできません。

事件の内容や手続きの内容(調停、訴訟など)によって金額が異なるので、依頼する前に必ず確認しましょう。

3:成功報酬
成功報酬とは、依頼した問題が解決したときに支払われる報酬のことです。どのような結果を「成功」と定義するか、成功報酬の計算方法は弁護士や案件の内容によって異なります。

成功しなかったのに料金を請求された」という事態を避けるためにも、依頼する前に成功報酬の計算方法や考え方を弁護士によく確認することが必要です。

なお、成功報酬について弁護士とトラブルになった場合は、「報酬や弁護士の対応に問題がある場合」をご参照ください。

4:日当・実費
日当
日当とは、事務所が裁判所から遠い場合や出張が必要な場合など、弁護士が事務所を離れているときに支払われる追加料金です。

実費
実費とは、手数料や収入印紙代など、調停や訴訟の申立をする際に実際に必要となる費用のことです。交通費や宿泊費も実費としてカウントされます。

離婚にかかる弁護士費用と総費用

弁護士費用の総額
ここでは、離婚・離婚調停・離婚裁判の弁護士費用についてご紹介しています。弁護士費用は、法律事務所が設定している料金や依頼する業務の範囲、解決までの期間などが関係してきますので、あくまでも目安としてご覧ください。

協議離婚の弁護士費用(成功報酬型)~60万円程度
協議離婚では、財産分与、養育費、慰謝料、親権などは、基本的に夫婦の話し合いで決まります。そのため、夫婦の話し合いがスムーズに進めば、弁護士に依頼する必要はありません。

しかし、愛情を失った相手と、トラブルにならないように冷静に話し合いをすることは難しいでしょう。特に、金銭や子どもの親権が絡む場合は、その傾向が強いです。そのような場合には、弁護士による調停を依頼することが可能です。

弁護士は中立の立場で、過去の裁判例をもとに相場を提示し、和解案を提示し、話し合いの進め方についてアドバイスしてくれます。

話し合いで離婚条件を決めれば、調停などの裁判所の調停手続きは必要ないので、なるべく早く離婚したい方には協議離婚がおすすめです。

協議離婚の弁護士費用の相場は、着手金と成功報酬(離婚が成立した場合)を含めて20万円~60万円程度です。財産分与や養育費、慰謝料が得られる場合は、利益の10~20%の報酬が発生する。

協議離婚で話し合った内容を証拠として残すために、離婚協議書(※)を作成することが推奨されています。

作成は任意ですが、作成しておくことで、離婚後に規定が守られない場合、法的手続きで権利を主張するための証拠として利用したり、裁判所が認めた範囲で強制執行を行ったりすることができます。

また、一定の金銭債権については、執行認諾文言付公正証書により、訴訟を経ずに強制執行を行うことも可能です。

このように、公正証書を作成することで、離婚協議に高い強制力を持たせることができるため、検討する価値があります。公正証書は、公証役場に申請すれば、公証人が作成することができます。公正証書の作成費用は、5,000円~20,000円程度です。

離婚協議書
離婚協議書とは、離婚調停で話し合った内容をまとめ、記載した文書のことです。

離婚調停の弁護士費用の相場 40万円~70万円
離婚調停の申し立てや話し合いは、弁護士を通さずに自分で行うことも可能ですが、スムーズに申し立てたり、話し合いを有利に進めたりするためには、弁護士に依頼することをおすすめします。

ただし、離婚調停を申し立てたからと言って、必ずしも離婚が成立するわけではありません。当事者の一方が出席を拒否したり、条件面で折り合いがつかなかったりすると、離婚は成立しません。

離婚調停の費用は、1人20万円~30万円程度です。

離婚裁判時の弁護士費用の相場 70万円~110万円程度
調停が不成立になった場合、訴訟を起こすことができます。その時の弁護士費用の相場は、同じ弁護士に依頼するか、新しい弁護士に依頼するかで変わってきます。

調停後に同じ弁護士に依頼した場合、着手金が免除されることもありますが、平均は10万円です。成功報酬の相場は、20万円~30万円です。

調停と裁判を合わせた費用は、約70万円~110万円(離婚が成立するかどうかだけが争点と仮定)です。

裁判から弁護士に依頼した場合、着手金・成功報酬ともに20万円~30万円なので、40万円~60万円が相場になると思われます。

ただし、これは離婚が認められるかどうかだけが争点となるケースを想定しています。争点が追加されれば、弁護士費用はより高額になり、リテーナーと成功報酬の合計が100万円を超えることも十分あり得ます。


弁護士に離婚を依頼した場合の弁護士費用シミュレーション

不倫の慰謝料比較

弁護士に離婚を依頼した場合の弁護士費用のシュミレーションを簡単にご紹介します。

弁護士費用は、着手金と慰謝料をそれぞれ取得した金額の20%とします。

ここでは便宜上、200万円の離婚慰謝料が得られたと仮定します。

200万円の20%は40万円ですから、着手金と報酬金の合計は80万円となり、純粋に得られる慰謝料額は120万円となります。

ただし、これはシミュレーションのために算出した大まかな数字です。

この他に、実費や日当がかかりますし、遺産分割などを取得できた場合は、弁護士費用や取得できる金額がもう少し高くなる可能性があります。

弁護士費用を安くする6つのポイント

経済的な事情で弁護士費用を捻出できない方もいらっしゃると思います。弁護士費用はなるべく安く抑えたいものです。ここでは、弁護士費用をなるべく安く抑えるために知っておきたい5つのポイントをご紹介します。

1:報酬が安い事務所を探す
弁護士費用は、事務所によって大きな差があります。

そのため、できるだけ安い料金の事務所を探すことで、弁護士費用全体を抑えることができます。料金が安いからといって腕が悪いとは限りませんし、逆に料金が高いからといって腕が良いとは限りません。場合によっては、弁護士の実力と料金は別々に考えた方が良いこともあります。

料金が安い事務所をいくつかピックアップして、どんな弁護士がいるのか、どんな雰囲気の事務所なのか、自分に合うかどうか、相談した上で決めましょう。

料金が安い事務所に依頼しても、弁護士の人柄が合わなかったり、雰囲気が合わなかったりすると、思うような結果が得られないこともありますので、注意が必要です。

2:無料相談を利用する
相談料は、無料相談を利用することで簡単に抑えることができます。無料相談を実施している事務所も増えてきているので、弁護士や事務所の雰囲気を知るためにも活用すると良いでしょう。

無料相談をしたからといって、その事務所に依頼しなければならないわけではありません。もし、その事務所が自分のニーズに合わないと感じたら、早めに退会することも可能です。

3:リテーナー費用無料を利用する
相談料だけでなく、リテーナーフィーを無料にしている事務所もあります。ただし、場合によっては、リテーナーフィーよりも手数料や実費の方が高くなることもあるので注意が必要です。

その場合、料金は変わらないか、増額される可能性があります。

4: できるだけ近い事務所を利用する。
事務所が裁判所から遠い場合、事務所までの交通費が高くなります。また、弁護士事務所が裁判所からあまりに遠い場合、後で実費として請求される金額が高くなる可能性があります。

5:法テラスの立て替え制度を利用する
法テラスでは、いざというときに弁護士に依頼できない人のために、貸付金の立て替え制度があります。この制度は、現金(預貯金含む)、有価証券、不動産などの総資産が以下の基準を下回っている方が利用できます。

ただし、資産がこの金額を超えていても、後に教育費や医療費が必要になった場合には、手当を使うことができる場合があります。

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6:早い段階で弁護士に依頼する
実は、早い段階で弁護士に依頼することで、弁護士費用を抑えることができます。ご覧の通り、弁護士費用は協議離婚よりも離婚裁判の方が高くなります。

また、離婚裁判は決着まで半年から1年かかることもあり、弁護士の出廷ごとに旅費や日当が発生することもあります。

裁判が長引きそうな場合は、裁判になる前に手を打ち、早い段階で弁護士に依頼することで、裁判の長引きを回避することができます。

弁護士費用は決して安いものではありませんが、支払う必要があるのは着手金だけです。着手金さえ用意できれば、財産分与や離婚費用等から支払うことができます。

弁護士に依頼する必要があるのか、弁護士費用はいくらかかるのか、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士費用を支払う際には、3つの注意点があります。気をつけないと、支払うときに金額をめぐってトラブルになる可能性があります。

ここでは、トラブルを避けるために知っておきたい注意点をご紹介します。

1:二段階方式で支払われるケースもある。
調停離婚も裁判離婚も、着手金と成功報酬があります。注意したいのは、離婚にかかる弁護士費用が2段階で請求される場合があることです。

というのも、法律事務所によっては、調停と裁判を別の手続きとして整理し、それぞれの手続きで着手金と成功報酬を請求する方針をとっているところがあるからです。この計算方法自体は、不合理でも不適切でもありません。ご依頼の前によくご確認ください。

また、ほとんどの離婚事件では、離婚だけでなく、慰謝料、親権、財産分与、養育費などの付随的な権利についても争いがある場合、それぞれの権利について、着手金と成功報酬を別途請求しています。この点については、ご依頼前に必ずご確認ください。



2:弁護士費用は自己の財産から支払う必要があります。
夫婦間で争いがあり、どちらかが弁護士に依頼した場合、弁護士費用は誰が負担するのでしょうか。

基本的に、弁護士費用は配偶者自身の財産から支払わなければなりません。

勝手に共有財産から支払われた場合、財産分与の際にこの支払いが減額の対象になることがあります。ただし、最終的な結論には影響しないので、特に重要視されないかもしれません。

なお、弁護士に依頼するほどの資産がない場合は、立替払制度を利用できるかどうか、法テラスに相談してみるとよいでしょう。

3:手数料の支払い時期が異なる場合がある
料金によって支払いのタイミングが異なる場合がありますので、ご注意ください。
なお、どの時点で費用が発生するのかがわからないと、費用の準備ができず、焦ってしまう可能性があります。

いずれにせよ、弁護士費用について疑問がある場合は、弁護士に相談するようにしましょう。

離婚を得意とする弁護士の探し方


良い弁護士の条件は以下の4つです。

あなたとの相性が良いこと。
返信が早く、連携がとれている
複数の解決策を提示してくれる
説明が丁寧で、納得いくまで話をしてくれる

特に重要なのは、あなたと弁護士との相性です。どんなに有名な弁護士でも、相性が悪ければ期待通りの結果は得られません。相性の良し悪しは、実際に会って話してみるしかありません。

まずは相談してみることが大切です。無料相談を利用すれば、多くの弁護士に相談することができますので、積極的に利用することをおすすめします。

まとめ|料金や弁護士の言動が気になるなら

離婚弁護士の料金は、離婚方法や夫婦の状況によって異なります。例えば、協議離婚の場合、弁護士費用の相場は20万~60万円程度と言われています。まずは、無料相談を利用して、弁護士に大まかな金額を教えてもらってください。弁護士費用が高くて払えない場合は、分割払いに対応している弁護士を選ぶか、法テラスの立替払制度を利用するとよいでしょう。

また、弁護士費用は決して安いものではありませんし、弁護士にも様々なタイプがあります。そのため、弁護士とトラブルになるケースもあるかもしれません。

そのような場合には、「日本弁護士連合会」にご相談ください。

日本全国の弁護士会・弁護士連合会(全国一覧)に相談することができます。

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