第二世代バイオエタノール

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こんにちは。
最近はちょびちょびしか情報発信できていないので、反省です。

世の中では、CO2削減に向けていろいろな話題がありますが、今自動車などの燃料として使われている、ガソリン、軽油などの化石燃料。これは、EVに置き換われば全部不必要になってしまうのでしょうか?

実際問題、バッテリーの製造で排出されるCO2の量は、ガソリンエンジンで5−6年走ったのと変わらないくらいの量だと言われていますし、その後の充電に使う電気も、多くは火力発電によって賄われていることを考えると、EV化をしたところで、CO2なんてちっとも減らないんですよね。

もし、CO2削減のために高価なEVを買おうかな。なんて思っている人がいたら、全然貢献していないので、やめた方がいいです。EVは走りがいいんだよ。とか、そういう理由で買うのならOKだと思います。

さて、もしそうだとすると、ガソリンや軽油で最新の燃費の良いエンジンで走ったほうが、実は環境にやさしいということになってしまうのですが、やはり化石燃料を燃やしてしまうので、CO2排出量の観点で言えば、悪化させていることに変わりはないです。そこで、CO2排出を抑えることのできる方法は何かということになります。

現時点での答えは、1つがバイオエタノール、もう1つがe-fuelです。バイオエタノールは植物から作られたエタノール・・・つまり酒ですね。これを燃料として使いましょうという方法。もちろん化石燃料は必要としないので、地球の全体のCO2は増えないことになります。e-fuelはCO2と水素を使って、ガソリンと全く同じものを化学合成してしまおうという燃料です。これは、CO2を戻すので、こちらも排出量としてはカウントされません。もし、水素を調達するのにCO2を使ってしまったら・・・という心配もありますが、化石燃料を燃やすことと比べたら、ほぼ出ないと言って良いと思います。

今日のこの記事の主題はバイオエタノールなんですが、本日は2稿の記事を紹介したいと思います。

次世代グリーンCO2技術研究組合向け第二世代バイオエタノール生産設備に着工
prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000091727.html

次世代グリーンCO2技術研究組合に第二世代バイオエタノール製造の糖化酵素を供給
www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2023/20230602-001/

1つ目の記事は、日鉄エンジニアリングがバイオエタノール製造工場を作り始めるよという話。2つ目の記事はそれに必要な酵素を花王が供給することに合意しました。という話です。

ここで出てくる「第二世代」というのが1つのポイントになります。

バイオつまり植物から作られるエタノールといえば、お酒な訳ですけど、お酒の原料は、麦(ビール、モルトウイスキー)、米(日本酒)、ワイン(ぶどう)、とうもろこし(グレンウイスキー)など、どれも普通に食べることのできる作物ばかりです。これを自動車用の燃料に使ってしまったら、食料価格が上がってしまい、貧困国では、日本でも貧困家庭では、食糧難に陥ってしまいます。今でも、ブラジルなどではとうもろこしを主原料としてエタノールを自動車燃料向けに売ったりしているのですが、それは世界の食糧事情を考えると、よくないだろう、というのが世界全体の潮流です。

そこで、人間が食べない、葉や茎、または残飯などからエタノールを作れないか、というのが第二世代の考え方です。特に、人間など多くの哺乳類が消化できない葉や茎のセルロース(食物繊維)をエタノールに変えることができれば、食料への影響を与えずにバイオエタノールを得ることができるわけです。
バックトゥザフューチャーで未来のデロリアンカーは残飯からエネルギーを得ていましたがまさにそんな感じですね。

セルロースエタノールの技術自体は、もちろんあって、実際草食動物や虫などは、植物の葉から栄養を得ているわけですから、物理的には可能な訳ですけど、コスト面や効率面でなかなか産業化できるところまでは到達しておらず、しかしこのCO2削減の動きの中で、ついに自動車産業が本腰を入れたというところでしょうか。

ところで、この次世代グリーンCO2研究開発組合は、トヨタ、ダイハツ、マツダ、スバル、といったトヨタの息のかかった自動車メーカーで構成されていて、バッテリーEVだけでは立ち行かなくなることを見越した、トヨタの全方位戦略の1つです。なかなかにいろんなアプローチがありますよね。


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