水素の色

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こんにちは。
皆さんは、水素の色ってご存知でしょうか?

もちろん、水素は室温大気圧では無色透明な気体であって色なんかついていないんですが、グリーン水素とかグレー水素とかそういう言葉があります。

次世代エネルギーを語る時、最近ではカナラズと言っていいほど水素というワードが出てくるわけですが、これはエネルギーキャリアとして注目が集まっている水素の話です。

これまで、いや、今も我々は化石燃料に頼って日々を送っているわけですが、そもそも産業革命以前は化石燃料はほとんど使われていなかったですよね。
農耕が始まり、人類は大地に降り注ぐ太陽エネルギーを独り占めするようになってからどんどんと発展してして来た歴史があるのですが、エネルギーを欲するあまりついに過去数億年にわたって地球の地下に蓄積された太陽エネルギーの塊を発見するわけです。これがつまり、石油や石炭ですね。

数億年の昔に炭素の形で蓄積された太陽エネルギーを掘り起こしたので、当たり前のようにそれがCO2となって解放されているわけですが、どうやら気候にも影響がありそうだし、人類が住み良い地球を維持するには、過去の太陽エネルギーと言う無限のパワーを手放さないといけないよなぁ、みたいな会話が今のカーボンニュートラルというわけです。

それで、今現在降り注ぐ太陽エネルギーを使っているのか、数億年前の蓄積されたエネルギーを使っているのか、どっちなのかはっきりさせようぜ。
というのが「水素の色」の話。

つまりCO2を増やしているのかどうかってことですね。

水素はエネルギー源ではなくて、エネルギーキャリアなので、水素自体にいいも悪いもないのですけど、水素という物質は天然にはほとんど存在していなくて、水や天然ガスとして存在しているわけです。水にエネルギーを与えると、酸素と水素に分離させることができて、この水素を燃やしたら水に戻るんだけどその時に与えたエネルギーを取り出すことができるという算段です。
じゃぁ、そのエネルギーはどこから持ってきたの?
ということになりまして、それが太陽光とか風力ならグリーンだし、石油を燃やしたエネルギーならグレー、とまぁそういうことです。

さて、今月の日経の記事にこういうのがあります
「水素基本戦略 電力需要頼み」
www.nikkei.com/article/DGXZQOCD076XV0X00C23A6000000/#k-paywall-form

どういう記事かというと、水素の色でいい水素なのか悪い水素なのかみたいに話す人が増えてきたけど、どんくらいCO2出したのか、でしょ?それをもっと定量的に示そうよ。という論議が国際的に進みつつあるという記事です。

記事にコメントもついていますが、科学的には「ほんとそれ」という感じの内容で段々と本質の話になってきたなぁ、という感じがしています。

と、ここまでは普通の話なのですが、
言いたかったのは、ここから先の話。

正直ベースでいうと、まだまだ世界全体のエネルギーを化石燃料なしで賄うには、自然エネルギーからの電力供給が全然足りてないし、太陽光、地熱、風力、その他いろいろな発電所もまだまだ作る必要があるし、そもそも今の技術で全部のエネルギーを化石燃料なしで賄えるのかもわからない。

だから、こうやって少しずつでもCO2排出量の少ないエネルギーを積極的に使うという人には、ちょっとご褒美がいるよね。
なんていうと、そうだそうだと納得感がありそうなんですが、これってめちゃめちゃダークな話な訳です。

上にも書いたように、世界の総需要に対して、クリーンエネルギーの供給は全然足りてないわけです。そうすると、クリーンなエネルギーを使った人にご褒美を与えるような仕組みにしたら、クリーンエネルギー争奪戦が始まってしまう。というか、もう始まっているんです。

当然だけど、この争奪戦で世の中のクリーンと呼ばれるエネルギーをごっそりかき集めて持っていくのは、先進国と大企業です。途上国や中小企業は割りを食うというか、最後まで余った化石燃料を使わざるを得ないわけですよ。
国はそこにインセンティブと言って、化石燃料を使ったひとに多額の税金をかける、化石燃料をたくさん使う国からの輸入品には関税を高くする、という仕組みを作り始めています。

大企業や先進国が優位な立場にものを言わせてごっそりと買い占めた上で、あまりものを使っている人に多額の負担を強いる、という構図です。

まぁ、これまでもそうだったので、今に始まったことでもないんですが。

本当に、CO2減らしたいのなら、技術が乏しくお金もない途上国や中小企業にどんどんクリーンな電力を回して、なんならインフラにも手を回すことができる大企業がしんがりを務めるようにしないと、地球規模でのカーボンニュートラルなんて成立しないと思うんですが、今や先進国も大企業もこの仕組みで儲けることばかりを考えているということです。

実際、欧州がこういうのは得意なので、日本もついていくのに必死なんですけどね。

そういったことで、今日はCO2に関するダークな話でした。

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