EV充電技術の特許競争

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季節は梅雨の気配。
雨はまだまだ続きそうですが、夏まではあと少しですね。
子供達にとって夏休みまでの日数は多くないですが、社会人の皆さんにとっては、1学期もまだ始まったばかりに感じるのではないでしょうか。

今日は、日経からEV関連特許の話題。
こちらの記事、EV充電特許で中国が首位
www.nikkei.com/article/DGXZQOUC262W10W3A420C2000000/

ということで、EV充電技術について解説をしたいと思います。

日本ではあまりピュアEVが普及していないのであまり一般には知られたいないかも知れませんが、電気自動車の充電には普通充電と急速充電があります。
日産リーフが出始めた頃に少し話題になりましたが、その後は国内ではほとんど話題になることもなく今に至っています。

簡単にいうと、普通充電は家庭用の電源である100vの電圧で行う充電で、急速充電とは400vでの充電を言います。当たり前ですが、400v充電の方が速く充電できます。どのくらい違うのかというと、初代の日産リーフで、普通充電だと満タンまで8時間かかったものが、急速充電だと30分で80%まで充電できます。

あれから10年近くが経ち、最新のEVでは初代リーフの数倍の大きさのバッテリーを積むようになりました。実際、30分間の400v充電では、昔のEVの8割と言っても、航続距離で言えば100kmそこそこです。100km毎に30分の休憩が必要だとしたら、それはそれで安全運転なのかも知れませんが、遠出をすることを考えたら結構な時間のロスになってしまいます。都合よく100km毎に急速充電器が準備されているとも限らないですし。

そういうことで、時代は800v充電です。
テスラ社は、大型の高級EVを展開していますので、アメリカにはテスラが準備した800v充電の超急速充電器がいくつも設置されています。当然車両は800v充電に対応しています。

ところで中国では、電池製造で一躍EV大手になったBYDを筆頭に、昨年のEV販売は全車両の20%に跳ね上がりました。前述の通り、充電時間をいかに短くして、長い航続距離にどう対応するかは、EVの生命線ですから、BYDも当然大容量の電池技術を重要視しているわけです。

EV技術はバッテリーの大容量化やいかに安くバッテリーを作るか、というところに目が行きがちですが、充電技術というのが実は結構重要だったりするわけです。高速充電を行う場合、電極部とバッテリーには大きな熱が発生します。家庭用に使われる電力の数日分を、30分や1時間でチャージするのですから、その電流の大きさが知れると思います。

スマホでも経験があると思いますが、バッテリーは発熱すると劣化が激しくなります。スマホでも2年も使えば替え時、と言われるほど消耗が激しいわけですが、車は一度買うと10年くらい使うわけなので、おいそれと劣化してもらっても困るわけです。しかも大容量高速充電で、バッテリーの温度はさわれない程熱くなってしまうのです。この、発熱を抑えてバッテリーの劣化を防ぎつつ、高速充電を行う技術こそが、充電技術の要であって、今まさにこの分野での特許競争が激しくなっているのです。

電池技術の特許は、アメリカや中国が日本の3倍も4倍の出しているのに対して、充電技術は中国で日本の1.5倍程度。資本の大きさや、人口では圧倒的に負けていて、しかも政府の援助もほとんど得られないなかで、なかなか頑張っているとは思います。日本単独ではなかなか世界の上位に食い込むことは難しくなってきていますが、なんとかくらいついていきたいですね。


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