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コラム
私の子供達が幼稚園生だった時、先生が一番上のお兄ちゃんに聞いた。
「大きくなったら何になるの?」
お兄ちゃんは
「お巡りさん、警察の人、泥棒を捕まえるの」
二番目のお兄ちゃんにも同じことを聞いた。
「消防士! 火事を消すの」そしてサイレンの口真似をした。
そして 一番下の子にも聞いた。 大きくなったら何になりたいか、と。
「僕 ぶどう」  
しかしさすが 幼稚園の先生、プロである。
「そう、立派なブドウになってね」と励ました。

年齢が低いと、同じようなことが起きる。
小さい子供は深い考えもなく、自分の好きなものを答えるみたい。
私もそうでした。私は
「花、花になりたい」と答えた。(幼稚園アルバムにも残っている)
その後少しして なりたいとは 職業の事(お母さんも可)を
尋ねているのだと判明。
判明しても答えが出せなかった。

なるとはなんだろう?
例えば私が花屋になろうが政治家になろうが、私は私ではないか、
私は私にしかなれない、そんなふうに感じていた。
だったら花でもいいじゃないか。

やがて私は成長し結婚した。
結婚する前に父が私に
「農家にお嫁に行くとなれば、嫌なこと、辛いこと
たくさんあるだろう。
でも雨が降ったら倒れても、空が晴れたらまた
起き上がって 花ひらく野花のようでなければ
いけないよ」
この通りではないけど、だいたいこういう意味のことを
言った。
あれから30年経った。 子供達は成長し 家族みんな仲良く楽しく
穏やかに暮らしている。
その30年間がどうだったかなんてどうでもいい。
私は夢が叶って 立派な野花になれたんだ。
多分。



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