柿の木があった家

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私の実家にはかつて
柿の木があった。おばあちゃんが大切にしていた木だったけれど
今はない。
おばあちゃんが亡くなった後
家の建て替えする時があって、その時に切り倒してしまった。

「柿の木の枝はサーと簡単に裂けるので登ってはいけないよ」とよくおばあちゃんに言われた。
それで木の枝が二股になっているのを 長い棒につけて
それを使って柿の実を取ったりした。

隣の大後のおばあちゃんは柿をくれる。
「今は美味しいお菓子があるから 柿なんて誰も欲しがらないでしょう」
と言いながら持って来てくれる。
いえいえ 私は欲しいです。

柿は好きだ。美味しいし。
紅葉した葉っぱも綺麗だ。紅葉のように一面 赤でもなく
イチョウのように 一面 黄色でもない。
複雑に様々な表情を見せて 秋の夕暮れによく似合う。

大後のおばあちゃんは 柿の木の上の方の実は
鳥のために残してあげている。
優しいな。
でも柿の木のある畑はもう管理が大変なんで
売ってしまう話が出ているそうだ。
そこもソーラーの発電所になるのかな?
田舎の風景が少しずつ変わっていく。

ちょっと淋しい。







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