発達障害とは

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発達障害とは
生まれ持った脳の情報処理や制御に偏りが生じ、コミュニケーション、対人関係などの日常生活に困難が生じ、落ち着きがなかったり、仕事や家事をうまくこなせなかったりという状態です。心の病気(精神障害)ではなく、脳の中で「情報の混乱」が起きています。そのため、外見からは分かりにくいです。しかし、その人が過ごす環境や周囲の人とのミスマッチから、コミュニケーションや対人関係などで生きづらさを抱えて、それが原因でうつ病などの「二次障害」になる例が多いです。

特性により、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、などに分類され、ます。人によっては、複数の発達障害を合わせて持っている方もいます。

医学的な診断としては、アメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル「DSM-5」、世界保健機関(WHO)の「ICD-11」による診断基準などが用いられます。日本の法律的な定義としては、2004年の発達障害者支援法により、以下の記載があります。

「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」

発達障害で大切なことは、当事者自身が自分の特性を理解していること、そして、周りもそれを理解して、協力し合える環境や社会であることです。生活環境を整えたり、会話を配慮するなど、一定の理解と協力が必要になってきます。

当事者は、当事者自身が理解をすることで、特性に対応した生活や仕事の仕方を工夫したりして、日常生活の困難を経験させることができます。それぞれ特性は違うため、工夫の仕方は一人ひとり考えていく必要があります。また、服薬をすることで、特性を抑えることも可能です。

子供の発達障害
子どもの発達障害では、親などの大人との関係が重要になってきます。特性が理解されず、いわゆるできない子としして叱られることが多かったりします。周囲の大人から理解されにくく、誤解されやすかったりします。そのため、子供に注意することも多く、意欲低下につながり悪循環になってしまいます。結果、本人は自信をなくしてしまいます。

最悪のケース、不登校や引きこもり、うつなどといった二次障害に陥るケースもあります。発達障害の可能性のある子どもは、全ての学校・学級に在籍していると考えられます。文部科学省の調査では、学級に在籍する発達障害の可能性のある子供は6.5%(平成24)とあります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)は、他の子に関心がない、一人遊びが多い、表情が乏しい、かんしゃが強いなどの行動から、気づかれることが多いです。小学生に入ると、友達が出来にくいなど、人間関係を作るのが難しい傾向にあります。

ADHD(注意欠如・多動性障害)は、「落ち着きがない」傾向が強いです。授業に集中できないなどすぐに気が散ってしまったり、忘れ物が多いなどから、疑われることが多いです。

学習障害(LD)については、子供の場合、言葉の遅れや数えることが難しかったり、小学生年代の、国語で読み・書き、算数の計算など周りと比べて、成長が遅い場合、疑われることが多いです。

大人の発達障害
症状自体は子供の発達障害と同じです。大人の発達障害は、社会人になり、高度で複雑なコミュニケーションが要求されるようになったことより、発覚するケースが多いです。そして、周囲の環境にうまく適応できず、失敗を重ね、自己評価も下がり、二次的にうつ病などの精神疾患を発症するリスクも高いです。逆にうつ病などの二次障害や言動の問題により、発達障害があると分かった方もいらっしゃいます。失敗経験が多く、社会的・経済的に不安定な状況になってしまうのが、大人の発達障害の特徴です。

発達障害は、見えにくいし、理解しづらい障害なので、周りからだけではなく、自分自身も理解できないところがあります。まずは、自分自身が特性を理解するのも大切です。

ASDは、興味、関心が狭い範囲に限られ、独特の行動や振る舞いやこだわりがあります。また、感覚が過敏、鈍感な人などいます。
ADHDは、ケアレスミスや落ち着きがないところが見られます。注意を持続しつづけることが難しく、集中力の維持が難しい人が多いです。

LDは、見たことや聞いたことを処理する能力に凹凸があり、読み書き計算が苦手な方が多いです。年齢を重ねてから症状が目立ち始めることが多いです。
発達障害の方は、努力が足りないわけでないのです。むしろ、裏表がない、まっすぐな方が「努力が足りない」「怠け癖がある」などと勘違いされやすいのです。また、コミュニケーションを他人とうまくとる事ができないため、上手く相談などをできないケースもあります。

高齢者の発達障害
高齢者になると、発達障害と認知症の判断が難しいことがあります。特に認知症の前の状態であるMCI(軽度認知障害)は難しいです。判断材料としては、小さい頃や成人してからの行動になるが、両方の診断ができる医師は非常に少ないのが現状のようです。

発達障害と自分だけで見つけるのは難しく、周りからの意見も大切になります。誤った診断になて、間違った対処法にならないように、当事者やその周りの人も意識をしておく必要があります。

発達障害と認知症の違いは、認知症が後天的に低下したものであり、発達障害は先天性など小さい頃から症状が見られます。

発達障害者の性格
発達障害の症状として、性格なのか、障害なのか分からないと思う方が多いと思います。これを考えるにあたり、「障害」とは何かを考えたいと思います。
何か性格上、著しく偏っており、症状が生じていても、大きな問題を生じていなければ、それは「障害」とみなされず、「性格」や個性の範疇です。つまり、大きな問題が生じてからはじめて「障害」と呼ばれます。

衝動性が強いといっても、捉え方によっては、行動力が高いとなります。ここで、人に強く迷惑をかけたり、自分が辛い状況になる場合、「障害」の可能性は高いです。

そのような意味で発達障害は、環境に依存するともいえます。思考や行動のクセが出来る限り、「性格」や個性として活かされる環境や周囲の接し方など考える必要があると考えます。

人間は様々な性格を持って生きています。几帳面、ポジティブ、陽気、神経質、おおらか、空きっぽい、怒りやすいなど数えればがキリがありません。その中で、一部分が極端に偏りが発生して、自他ともに苦しめている状況が発達障害です。

個性や「性格」の延長線に発達障害はあります。そして、「障害」と名づける、自他ともに意識をしてもらいやすくなります。
現在は、過去・現在の行動特性や困りごとなどの医師からの問診や心理・発達検査の結果など総合的に判断されて診断がおります。脳の状態を調べたりするなど、明確に「ある」「なし」の判断ができないため、日常生活に困難を生じなければ、特性を持っていても発達障害と診断されないのです。
生きやすく生活するためには、まずは自分の性格や特性を知り、それに合った生活環境や仕事を選択することが大切だと考えます。

発達障害と性別
近年の研究では、実際のところ、発達障害の発現にはっきりとした男女の差は見られないという説があります。ですが、女性の症状は、現れる症状や特性が男性より偏り目立たった問題行動が少なく、気づかれにくいことがあります。例えば、ADHDの男女比はおよそ3:1で男性が多いです。

男女で差があるのは、染色体が絡んでいる説もあります。男性はXY、女性はXXですが、女性は一方の染色体に不具合が起きてももう一方の染色体でカバーできるためと言われています。
とはいえ、詳しい理由はまだ分かっていないのが現状です。
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