「あなたが食べてくれると、私は食べた気持ちになるの」

記事
コラム
拒食症だった学生時代

自分で取り決めた食事制限と
筋トレと有酸素運動

「痩せる」という目的以外の介入は許さない
そんな「完璧な世界」を生きていました。


決められたもの以外は食べない
そう誓って、そう決めて、それに従っていましたが、

食べたくないわけではなかった
食べたかった
美味しいものが食べたい

そんな気持ちはありました。


食べたいものをイラストにしていました。
ドーナツ、ケーキ、ふわふわのパン、クッキー、チョコレート
イラストにすることで、食べたい気持ちが少し落ち着きました。


イラストにタイトルを付けるとすれば
「やせたら食べたいもの」
でした。


「やせたら食べたいもの」

そのタイトルを夢見て、

決められたもの以外は食べない
そう誓って、そう決めて、それに従っていました。


タイトル「やせたら食べたいもの」は他にもありました。


スーパーのチラシ、雑誌のスイーツ特集を切り抜いたファイリング。

図書館に通って、スイーツレシピ本をたくさん借りて、
魅力的なスイーツのレシピを専用ノートに書き写し。

コレクションしたり、まとめたり、自分で描いたり書くことで、
食べたつもりになって、
食欲が抑えられるのがわかりました。



すぐそばに、
「食べられる」があると
食欲はなかなか抑えられませんが、

「やせたら食べたいもの」のように

「食べられる」ことが
恋い焦がれる夢のような位置にあると、

それは、
頑張って頑張って
やっと手に入れられるものだと認識されるので、

脳が持つ「食べたい」という基本的な欲求を
騙すことができるのでしょう。


タイトル「やせたら食べたいもの」を
実際に作ることもありました。

クッキー、ドーナツ、ケーキ、パン
たくさんのスイーツやパン作りにはまりました。

けれど、
「痩せる」という目的以外の介入は許さないので、
決められたもの以外は食べない
そう誓って、そう決めて、それに従っているので、

出来上がったスイーツやパンを味見することは、
1度たりともありませんでした。


作ったスイーツは学校に持っていき、
ポツポツと会話することがあった2人のクラスメイトに全て渡していました。
美味しいと食べてもらえました。

母にも食べてもらいました。
美味しいと食べてくれました。

私は、
母の食べている口元、食べている姿を見ていました。
「どんな風に美味しいの?」感想を聞きました。

そうすることで、
自分が食べたいスイーツを食べたような気持ちになっていました。

母を通して「恋い焦がれる夢のような行為」を疑似体験していました。

疑似体験もまた、脳を騙すのに効果はバツグンでした。


「痩せる」という目的以外の介入は許さないので、
決められたもの以外は食べない
そう誓って、そう決めて、それに従っているのですが、
もう既に、ガリガリに痩せていました。

「痩せる」という目的以外の介入は許さない

そんな完璧な世界は、
拒食症患者さんにとってまさに聖域で、
純粋な汚れない清い世界なのですが、

汚いものが入り込まないからこそ、
ある意味ひどく偏りのある異質な世界だけに、
様々なものを歪ませてしまう
本当は恐ろしい世界です。

わたし達の生きる現実は、
汚いもの、自分が受け入れたくないものがあって当然。

混ざり合ってこそ、バランスされるのです。


拒食症患者さんは傍から見ると理解に苦しむ行動を起こします。

拒食症患者さんが、じゃんじゃん料理を作って親に食べてと強制するので、
親は太ってしまったという記事だが本を昔読んだことがありますが、

自分の経験を通して
実際本当にあるだろうな、と思いました。


「あなたが食べてくれると、私は食べた気持ちになれる」


そんな気持ちになれて、
きっと脳は喜んだ気持ちになれるのでしょう。

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