40年前の祖母のよもぎ餅

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コラム

振り返れば緑と土が身近にあった頃

公益社団法人・日本栄養士会が毎年開催している全国栄養士大会・オンラインが始まっています。

株式会社ニューラル夫馬賢治代表取締役CEOの講演動画があり、ESGについて少しだけ勉強できました。

講義を見終わった後、他人事でも遠く遥か彼方で起こっていることでもない、もっと環境について真面目に考えなくてはいけないと危機迫るものがありました。

そして、ふと自分の子供時代のことを思い出しました。


私は現在40代です。
横浜といっても市の端の静かな地域で生まれ、
東南アジアに単身赴任していた父と、看護師として働きに出ていた母のもと、おばあちゃん子で育ちました。

当時は共働きが珍しい時代でした。
おばあちゃん子というと何となくほんわか穏やかなイメージですが、若干の嫁姑問題がある家庭であったせいか、いつも気丈で絶対的な権限を持つ祖母に対してほんわか穏やかという印象は皆無でした。

私は祖母と四六時中一緒にいました。

春になると、散歩がてら歩いていく道々につくしが生えているので、祖母と引っこ抜いて持ち帰り、お浸しとして食べました。
よもぎもあちこちに生えていたので、柔らかい若葉の部分を祖母と一緒にちぎって持ち帰ると、おやつに香り高いよもぎ餅が出てきて、きなこをつけて食べました。

小学校の夏休みの宿題は、祖母のアイデアで押し花を作ったことを覚えています。庭に咲いている朝顔やチョウチンバナやオシロイバナ、道に咲いているつゆ草などティッシュに挟んでから本に挟んで自然乾燥して仕上げました。
夏のおやつはきゅうりでした。

秋は朝早く、家の正面にあるミニ林で栗を拾いました。イガイガを足で上手に踏みつけて中の栗を取るんだと祖母に教わりました。今思うとそれは小さな山栗で、包丁で剥くのも大変だったと思います。
秋には何度も栗ご飯を食べました。

冬の定番はすいとんでした。
すいとんとは、小麦粉に水を加えて練ったものを熱湯でお団子にして、具だくさんの出し汁に入れて食べるものです。戦時中よく食べていたと祖母は言っていました。


自分と同世代で同じ土地に住んでいた人達でも、恐らくはこんな食べ物は食べていないだろうし、親子ほど密着したおばあちゃん子もそういなかったんじゃないかと思っています。

祖母がいたからこその「The昭和」な経験を持つ人も少なくなってくるのかなぁと思うと、とても貴重な経験でした。


思えば地産地消ちっくだったんですね。

自宅の周りに生えている木苺や桑の実をデザートに食べたり、徒歩圏内の森に行って山椒や山菜を取ってきたり。

遊び場は外で、兄と近所の子達と日が暮れるまで走り回りました。お弁当を持って、森に探険しに行きました。

昔はまだ自然が残っていました。

今現在横浜にある私の実家の正面にあった林も伐採されてBOOK・OFFとなり、
周りはコンクリートで埋められ土が残っていないので、つくしも生えることはできないし、ぺんぺん草で遊ぶこともできません。


「自然が失われた」「緑が失われた」


これが「The昭和」が失われた1番の原因なのかなと、私は考えています。


日本の四季を肌で感じ、自然と共に生きているような感覚を経験してきましたが、
エアコンを1日中付けている夏が当たり前となり、
セミの鳴き声がどんどん聞こえなくなる地域となり、
祖母や祖母との生活を改めて振り返ると、
失われたもの、私たちが選んで捨てたものは罪深いと感じてしまいます。


私たちは太陽と大地と水の恵みで育てられた食物を口にして生命を維持しています。
地球の恩恵によって私たちは生かされています。


あらゆるものが簡便になり、ほとんどのものが100円で手に入り、スマホひとつであれば何でも調べあげられる便利な令和時代に慣れきってしまった私たちが、地球環境を守っていくことができるのか。

コロナウイルス級の災害レベルの猛威をもってしても、地球環境を変えることはできませんでした。
コロナウイルスが発見された当初はCO2が削減したと言われましたが地球温暖化に与える影響は限定的だと気象研究所は示しています。以下引用。

“国際研究チームにより、2020~2021年の2年間のみ温室効果ガスや人為起源エアロゾル等の排出量が減少しても、2020~2024年の地上気温や降水量にはほとんど影響しないことが示されました。この結果は、コロナ禍により一時的な排出量減少が地球温暖化の進行に与える影響は限定的であることを示しています”

だとするといったいどれだけの破壊力をもった災害レベルのものが来たら私たちは生活を変容できるのか?恐ろしいことですが、劇的な衝撃はそれからを変えていくためには必要なことであったりします。(個人的な仮説です)


地球環境を守っていこうと産・学・官でESGを盛り上げて頂けることに大きく期待をする一方で、私たちは何ができるか考えて、できることに即座に取り組んでいくことが大切だと思っています。

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