中小企業経営のための情報発信ブログ400:嫌われるリーダーの特徴と共感力

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日はリーダーシップ、リーダーについて書きます。
大まかに言えば、リーダーシップは「率い型リーダーシップ」と「まとめ型リーダーシップ」に分かれます。強力な権力でメンバーをけん引するトップダウン型組織では「率い型リーダーシップ」が、コミュニケーションが取りやすく風通しの良いフラットな組織では「まとめ型リーダーシップ」が適していると言えそうです。しかし、そうは言っても、どんなフラットな組織でも、課題解決や大きな意思決定の場において、リーダーの「決断」が必要になることは言うまでもありません。
フラット型の組織が増えつつある時代の流れの中で、相応しいリーダーシップのあり方は、嫌われるリーダーの特徴を明らかにすることで説明できるように思います。
1.「雰囲気づくり」を意識しないリーダーは嫌われる
 リーダーの持っている影響力を認識しなければなりません。朝からエネルギーレベルを高めて「一緒に頑張ろう」とポジティブな雰囲気を作るということがリーダーには必要なのです。
 どの組織でも共通するワーストボスの特徴は「常に不機嫌な人」です。「雰囲気づくり」を自覚的に行わない人はリーダーシップを発揮できないのです。
 上司と部下との心理的距離が離れるほど、コミュニケーションも困難になります。上司と部下との間に信頼関係やより良い人間関係が築かれていなければコミュニケーションもスムーズにいきません。そのためにはよい「雰囲気づくり」は欠かせません。
2.プレッシャーを部下に転嫁しない方法とは
 上司・リーダーにプレッシャーがかかると、部下にもプレッシャーをかけたくなるものです。上司から部下へと、プレッシャーの連鎖を作ってしまうと、組織全体が疲弊し機能不全に陥ることになってしまいます。
 「プレッシャーの連鎖」を生まないためには「自分がコントロール不可能なことは、心配してもしょうがない」と割り切って考えることが大切です。例えば世界情勢やマーケットの状況など、自分自身でコントロールできないので、それが原因で職場の雰囲気が悪化しているのなら、飲み会やランチを一緒にとるなど(コロナ禍で難しいですが)気分転換の場を作るということが大事なのです。
 周囲に厳しいことを言ったり怒鳴り散らしたりしても、組織の雰囲気は悪くなるだけで、組織やメンバーのパフォーマンスは上がりません。
 自分が厳しいプレッシャーにさらされた時に、自分の感情をコントロールできるというのは難しいものですが、嫌われるリーダーというのは、感情を上手くコントロールできない人です。自分の感情を上手くコントロールできる人こそリーダーに相応しいと言えるのです。
3.最大の資源である「人材」を守る環境づくり
 以前、経営資源は「ヒト、モノ、カネ」というよりも「ヒト、ヒト、ヒト」であると書きました。「ヒト」こそが最も重要な経営資源であることは言うまでもありません。
 「社員に健康的に働いてもらいたい」「職場のギスギスした雰囲気を改善したい」「社員のメンタルヘルスや心の病に気を付けたい」「離職を防ぎたい」という企業が増え、マインドフルネスを取り入れる企業が増えています。
 競争が激化し熾烈な企業間競争が続くビジネス環境で、優秀な人材に心身ともに健康で長く働いてもらうためには、精神面でのケアが不可欠なのです。そうしたメンタルケアの施策の一環が「マインドフルネス」です。
 「マインドフルネス」とは、「意図的に、今この瞬間に、評価や判断とは無縁の形に注意を払うこと」と定義されています。マインドフルネスと言えば、瞑想や呼吸法、禅を思い浮かべる人が多いのですが、瞑想や呼吸法はマインドフルネスの状態になるための手段です。余計な思考や感情、行動を取り払い、今この瞬間に自分がしていること、感じていることに目を向けるのです。「今、ここ、自分」に集中する「あるがままの状態」です。
4.「心理的安全性」はイノベーションにつながる
 最近「心理的安定性」という言葉をよく耳にします。
 「心理的安定性」というのは、ビジネスにおける心理学的用語で「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰を与えるようなことをしないという確信を持っている状態であり、チームが対人リスクを取るのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」(エドモンドソン教授)です。つまり、上司や同僚の反応に恐怖や恥辱を感ずることなく、自然体の自分を隠すことなくすべてオープンにできる状態のことです。
 上司と部下が価値観や信念を共有でき、何でも話すことができるような穏やかの雰囲気のある職場は、心理的安全性が高いのです。
 心理的安全性の確保と優れたパフォーマンスの達成は両立できますし、また心理的安定性が担保されないと、周囲と意見や考え方が異なるアウトサイダーが組織の中に長くとどまることができなくなり、グループの同質性が高まりイノベーションを起こすのが難しくなります。
 一般に「心理的安定性」がチームにもたらすメリットとして次の3つが挙げられます。
 Ⅰ:チームメンバーのパフォーマンス向上・・・メンバー全員が安心しながら集中して仕事に取り組めるために、業務の生産性も高くなる。
 Ⅱ:イノベーションや改善の推進・・・チームの心理的安定性があると、各自が現状をより良いものにしていこうと前向きになり、新しいことや困難なことに立ち向かいやすくなるので、イノベーションや改善が生まれやすい組織が出来上がる。
 Ⅲ:質の高い「エンプロイー・エクスペリエンス」の提供・・・心理的安定性が高ければ、メンバーがどのような体験によってモチベーションが上がるかマネジメント層が考えるようになり、一人ひとりにとって仕事の原動力になるような最適な経験を提供しやすくなる。
 そして、「心理的安定性」の高い職場では、
 Ⅰ:情報やアイデアの共有が盛んになる・・・職場全体のコミュニケーションが活性化することで従業員間の共有もされやすくなる
 Ⅱ:ポテンシャルの向上・・・お互いを認め合い、尊敬しあうという価値観の共有、従業員同士が切磋琢磨し、個人のポテンシャル向上につながる
目指すビジョンが明確になる・・・腹落ちしたビジョンを共有でき、全員が結束して目標に迎えるため、目標達成のスピードも速くなる
Ⅲ:エンゲージメントの向上・・・仕事へのやりがいが生まれ、人材の流出や退職の抑制になる
という4つのメリットが生まれます。
5.権力は、アルコール中毒と同じくらい共感力を鈍らせる
 組織の人材や働き方が多様化する中で、リーダーはこの多様性と向き合い、多様性と調和を図りながらリーダーシップを発揮しなければなりません。
 先程書いたように、優秀なリーダーかどうかは、自分の感情をコントロールして常に人間として尊重できる振る舞いを他者に対してできるかどうかです。
 今の時代、リーダーシップには「共感力」というスキルが重要です。「共感力」というのは一面スキルではありますが、センスではないかと思います。
 権力を持つことがアルコール中毒になるのと同じくらい、共感力を麻痺させる作用があります。「率い型リーダー」の場合、「俺の言うとおりにやれ」的な強引なやり方が、共感力を麻痺させ、部下をパワーで従わせようとしてしまうのです。
 確かに「まとめ方リーダー」でも「決断力」を発揮しなければならない場面は多々あります。リーダーである以上当然です。しかし、優れたリーダーは、パワーを使うタイミングを心得ています。
 普段は部下との人間関係や信頼関係を築きながら、ニュートラルでバランスの取れた判断を行い、ここといったタイミングで自らのパワーを発揮するのです。そうすることで、部下はその上司に共感して従います。
6.共感力の高め方
 それでは、どのようにして共感力を高めればいいでしょうか。
 「共感力」というのは、他人の意見や感情などに、その通りだと感じること、他人と喜怒哀楽を共にする力です。
 一般に共感力の高い人は、①感受性が強い ②他人に関心がある ③他人との共通点を見つけようとする という特徴があり、逆に、共感力がない人は、①他人に関心がない ②他人の気持ちを考えられない ③自分本位という特徴があります。
 共感力はコミュニケーションを遠隔にするので、そのスキルを身につけておく必要があります。共感力はセンスでもありますが、センスも磨いて鍛えることは可能です。
 Ⅰ:相手の話をよく聞く・・・相手の話をよく聞くことで、相手の考え方や好みを理解し、相手がどのように考えているのか、相手が何に興味を持っているのか、相手のことが理解できるようになります。相手のことを理解することが「共感」の第一歩です。
 Ⅱ:相手に立場になって考えてみる・・・相手の立場にたって、物事を見て考えることです。、そうすることでさらに相手への理解が深まり、相手の考えを推測できるようになります。
 Ⅲ:経験を高める・・・人にはそれぞれの考え方や感情があります。人はみな自分の感情しか経験できませんが、他人と接することや本を読むこと、人生経験を積むことで他人の感情を理解できるようになります。
いつも書いていますが、共感力を身につけるためには、より良い人間関係や信頼関係を築くことが大切であり、そのためには対話や雑談が必要です。相手の話を聞き、相手の立場に立って相手の考えや感情を理解することです。
考え方や意見も多様化する組織で、リーダーシップを発揮するのは、なかなか難しいことですが、何度も言うように、それにはより良い人間関係・信頼関係の構築とコミュニケーションです。
しかし、過度な共感力は問題です。自分自身が他人のネガティブ、マイナスの感情に引きずられたり、他人の意見に流されたりしないように注意しなければなりません。 
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