中小企業経営のための情報発信ブログ190:非公式なコミュニケーション

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
これまでもコミュニケーションの重要性については書いています。
コロナ禍でリモートワークが浸透し、オフィスから大事な「声」が消えました。オフィス勤務では「聞かせるつもりのない声」による情報共有がありましたが、リモートワーク・在宅勤務はそうした声による情報共有を壊してしまったのです。自分に向けられたのではない上司の言葉に聞き耳を立てるということもできませんし、同僚や先輩たちが話している内容が何気なく耳に飛び込んでくるという「非公式な声」からの情報吸収もできなくなっています。こうした声は、公式の会議や業務報告では決して聞くことができない生身の声です。
リモートワークやテレワーク・在宅勤務には多く利点がありますが、一方で、職場でのコミュニケーションという面では「失われた声」の損失は小さくありません。
リモートでのオフィス会議や電話、メールなどでのコミュニケーションではなく、「最初から伝えるつもりのない声」「本人が意図していない聞き手とのコミュニケーション」が重要なのです。
例えば、隣の席で先輩が取引先と電話で喋っているときに、隣の席にいる後輩には、聞くつもりがなくても会話の内容は耳に飛び込んできます。そこでの取引先との電話のやり取りで、先輩が意図せずに、取引先との交渉の仕方や言葉遣いを間接的な形で教育しているというケースもあるのです。
他人の電話から飛び込んでくるのは、取引先との交渉の仕方や取引先との言葉遣いだけではありません。ビジネスに有用な生の情報も入ってきます。だから、周囲の電話には多くの人が耳をダンボにして聞き耳を立てるのです。
こうして、先輩や上司が手取り足取り教えこまなくても、意図せざるコミュニケーションによって先輩や上司のスキルが後輩や部下に受け継がれていくのです。
しかし、リモートワーク、テレワーク・在宅勤務でオフィスから人が消えた結果、耳をそばだてるチャンスが失われました。「非公式なコミュニケーション」から得られた情報や知識・知恵は莫大なものでしたが、それらが失われると損失も計り知れないものになります。
他人の声から情報を得るチャンスが奪われたのはオフィスに限ったことではありません。通勤電車やカフェ、レストランなど人が集まる場所では多くの人の声が飛び交い、それが何気なく耳に飛び込み、そこから情報を得るということもありました。社内の人ではない見ず知らずの人の何気ない会話から得た情報からアイデアが生まれビジネスの役に立つということもあります。
コロナ禍が続く限り、他人の声に聞き耳を立てるという「非公式なコミュニケーション」が戻ってくるのもいつになるかわかりません。以前にも書きましたが、テレワークやリモートワークはコロナ終息後でもある程度は浸透し残りますが、リモートワークとオフィスワークの混在したハイブリッド型が一番良いように思います。ハイブリッド型であれば、「非公式なコミュニケーション」を取る機会もあり、それが失われることで生じる損失も最小限に抑えられるでしょう。
「非公式なコミュニケーション」が取りづらくなり、最も被害を受けるのは「新人」でしょう。新入社員だけでなく、転職での採用者、人事異動で初めてその部署に配属された人なども含まれます。こうした「新人」は、その職場になじんでいる先輩や上司の振る舞いを参考に、その職場になじんでいくものです。先輩や上司が彼らの手本になるのですが、リモートワークでは手本を見ることができません。「新人」は、どのようにして新しい職場になじめばいいのか分からず、不安や孤独感を抱くかもしれません新たな業務に求められるスキルやノウハウの伝授も滞ります。
コロナ禍が続きオフィスの環境が変わらないのであれば、何らかの手段を用いて「失われた声」を補う必要がありそうです。社員SNSやチャットでは補うことは難しいと思います。やはり、発声を伴うコミュニケーションが必要です。その方法として、オンラインミーティングの機能を使って会議や業務連絡以外の「雑談」をかわす取り組みや取引先とのやり取りを同僚や後輩が参考にできるような録画や音声の共有を図るという方法が考えられます。しかし、これらも、オフィスワークで聞き耳を立てて吸収する「非公式なコミュニケーション」には劣るように思います。
「非公式なコミュニケーション」を通じて先輩や上司のスキルたノウハウを吸収するということは重要ですが、その前提として上司と部下、先輩と後輩との間により良い人間関係・信頼関係の存在が必要です。テレワーク下においても、より良い人間関係・信頼関係を築き上げるためにも「雑談」は有用ですし、誰でもがその「雑談」に参加したり、参加しなくても聞くことができるような方法を作るのがよさそうです。
まだまだコロナ禍は続きますが、コロナ後を見据えて、今からハイブリッド型の働き方を模索し、システムや制度の構築を行っておくべきでしょう。
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