中小企業経営のための情報発信ブログ132:日本と米国のマネジメントの違い

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は「日本と米国のマネジメントの違い」と題して日本流マネジメントの問題点と良さを見ていきます。
時代や環境変化、コロナ禍のような危機的状況において、会社を良くするのも駄目にするのも経営トップのあり方にかかっています。
日本と米国のトップのマネジメントスタイルは異なります。
アメリの企業GEの例ですが、GE日本法人の会議が東京・六本木のANAとテルで行われていました。GE日本法人のスタッフ部門で働いていた日本人社員がトイレに行くと本社CEOのジャック・ウェルチと副会長のパオロ・フレスコが入ってきて声を掛けられます。二言・三言言葉を交わすと、ウェルチから「君は本社で仕事をした方がいい」と言われ、米国本社のジャック・ウェルチ直属の経営企画部に異動が決まったというのです。
このように、世界屈指の大企業のトップが、自身の判断とリスクでこの手の人事を行うのが米国企業の「人治」マネジメントなのです。
日本企業で、トイレで交わした二言三言で、異動や配属を決めることができる経営トップがいるでしょうか。
そのためには経営トップが組織の動き方を的確にイメージできていなければならないのです。
米国式のマネジメントでは、トップは自分の発する指示の精度を高めるためにトップ直属の本部組織、経営企画室や戦略機能、人事、財務、経理機能などを動かします。これらの組織・機能がトップがイニシャティブを発揮し、パフォーマンスを高めるためのサポート組織です。これらの組織がトップと一体化して考え、前向きに動くのです。
1.日本企業では「面従腹背」が起きがちな理由
 日本においても米国式のマネジメントを取り入れる企業が増えてきています。しかし、「言うことを聞かなければクビ」の前提や、うまくいかなかったときには発信者・トップが責任をとるという前提がなく、形だけ米国式のマネジメントを取り入れても意味はありません。仕事を失う恐怖を伴った実行力もなく、責任の所在もあいまいな状態のまま、結果として指示や数値責任の「丸投げ」が多くの企業で常態化しています。
 米国式のマネジメントはトップだけでなく指示に従わなければクビになる恐怖を抱く従業員にとっても厳しいものであり、真剣勝負と言っていいものです。ところが、日本では形式的に米国流を取り入れ、責任の所在があいまいで誰も責任を取りたがらず、その場だけをうまくしのげばいいという雰囲気を生み出しました。そして、上辺だけ上の者に従うが内心では従わず上の者を軽視する「面従腹背」という、良くも悪くも無難にやり過ごすための知恵が広まってしまいました。
2.小うるさい「躾」を行う文化が日本企業のマネジメントの強み
 数年前に、世界の主要国の経営者について、様々な角度から能力評価の調査が行われましたが、日本の経営者の能力評価は相対的に低く出ています。しかし、このことから日本の経営者のレベルが世界的に見て低いと結論付けることは短絡的だと思います。
 日本企業の強みは、米国や欧米企業と違い、経営トップ・リーダーのスタンドプレーよりも組織力の発揮にあり、組織力を高めることのできる経営トップ・リーダーが求められます。そこには組織を性善説で動かそうとする基本的な姿勢があり、それが組織として機能するために、小うるさい「」を行う文化が根底にありました。
 ところが、欧米式のマネジメントの理論や手法が導入されるにつれて、組織の上層部は「」を怠るようになり、一方的に指示を発すればいいという錯覚が蔓延しているように思います。「」というのは「決めたことは必ず守る」ということであり、そのためには、経営トップや管理者の率先垂範と部下に対する監督、教育指導、訓練の継続が必要です。こうした点を疎かにしていたのでは日本企業の強みを発揮することはできません。生産管理に5Sというのがありますが、これは、整理、整頓、清掃、清潔、躾について、日本語のローマ字表記の頭文字をとったものです。これまで日本企業はこうした点を重視し、それが日本企業の強みになっていたのです。今一度こうした日本の良さを見直す時かもしれません。 
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