中小企業経営のための情報発信ブログ102:小さなチーム、大きな仕事

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日も本の紹介をします。
ジェイソン・フリード&デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン著「小さなチーム、大きな仕事 働き方の新スタンダード」(ハヤカワNF文庫)です。
著者は、世界的ソフトウェア開発会社「37シグナルズ(現:ベースキャンプ)」の創業者と開発者です。
ビジネスの常識なんて嘘っぱちだ。会社を成功させるには、事業拡大も、派手な広告も、会議も、徹夜も、長期計画も、オフィスも必要ない。少人数でシンプルに、臨機応変に 自分流のやり方を作り上げながら僕たちは成長してきた」と成功を掴むための常識破りな手法を伝授しています。
ウイズコロナ、アフターコロナの新しいビジネスの在り方、働き方において参考になるところがあると思います。
37シグナルズ(現ベースキャンプ)は、会社を大きくせず、小さな企業やグループが楽に仕事ができるようなソフトウェアを開発しています。1999年当初3人だけの小さな会社としてスタートし、5年後には数百万ドルの利益を上げる会社に成長し、CRM(顧客管理)ツール「ハイライズ」は数万社が利用、イントラネットの知識共有ツール「バックパック」は50万人を超える人が登録しています。またビジネス用のリアルタイムチャットサービス「キャンプファイア」では1億件以上のやり取りがなされています。しかし、37シグナルズはこの本の出版時点(2012年)で従業員はたったの16人です。
著者は言います。
「多くの人はこんなやり方ではビジネスはやっていけないと主張する。僕たちはまぐれだと。僕たちのアドバイスなんて聞いちゃいけないと言う。無責任で、無謀で、未熟で、素人くさいとも。・・・彼らはいろいろなことを言うが、僕たちはそれが間違っていることを証明してきた。そして、どうやるかを示すために、この本を書いたのだ」
まず最初に、「週に60,80,100時間もみじめに働く必要はない。週に10時間から40時間も働けば十分だ。貯金を使い切る必要も、めいっぱいの危険を冒す必要もない。いつもの仕事をしながらビジネスを始めることで、必要なキャッシュフローを得ることが出来る。オフィスすら必要ない。自宅でも働けるし、何千マイル離れたところに住む、一度も会ったことのない人たちとコラボレートすることもできる。さあ、いまこそ仕事の本質を見つめなおす時だ」と言っています。
この本の中には、今ビジネスに必要な、時として常識破りの考え方が示されていますが、役に立つ言葉が随所にちりばめられています。
すべてを挙げるわけにはいきませんが、いくつか要約して紹介します。ビジネスだけでなく生き方にも役立つものもあります。
1.現実の世界なんて無視しよう。新しいアイデアを話すと「そんなこと現実にはうまくいくわけないよ」と必ず言われる。「現実」の世界とは場所ではなく、言い訳だ。何も試さないことを正当化しようとするものだ。あなたには関係ない。
2.「失敗から学ぶこと」が過大評価されている。失敗は成功の源ではない。成功こそ次の手段を与えてくれる。進化は常にうまくいったものの上に築かれ、過去の失敗は引きずらない。
3.計画は過去に未来を操縦させる。目隠しをするのと同じだ。あなたは臨機応変に振る舞わなければならない。やってくるチャンスを捕まえなければならない。ときには「今からこの方針でやろう。この方が今の状況にあっている」と言う必要がある。計画に縛られてはいけない。計画は単なる予想に過ぎない。
4.会社の規模は関係ない。小さなビジネスを目指すことに不安を抱かなくていい。持続的で利益の出るビジネスを行っていれば、それが大きかろうと小さかろうと誇るべきことなのだ。
5.仕事依存症患者はヒーローではない。彼らは危機を救うのではなく、時間を浪費するだけだ。本当のヒーローは仕事をさっさと片付ける方法を見つけ、とっくに帰宅している。
6.すごい製品やサービスを生み出すもっとも単純な方法は、あなたが使いたいものを作ることだ。自分で欲しいものを作れば、自分で作っているものを、素早く、直接、代理を通さずに評価できる。
7.作り始めるまではアイデアはアイデアに過ぎない。一番重要なのは作り始めることだ。完璧なタイミングなんて到来しない。夢を実現するのはあなたの責任だ。
8.「時間がない」は言い訳にならない。時間なんて十分にある。毎週数時間絞り出すことならできる。何かを始めるにはこれで十分だ。
9.「私には十分な時間も、お金も、人脈も、経験もない」と嘆くのはやめよう。少ないことは良いことだ。制約は見方を変えれば武器になる。資源が制約されると、それで何とかしなければならなくなる。無駄の余地はなく、創造性が求められる。これがないと嘆く前に、今自分ができることは何か考えてみよう。
10.やらなければならないこと、芯の部分からスタートする。芯の部分を見つけるには「もしこれを手放しても自分が売るものはまだ残っているか」と問いかけることだ。芯の部分を見つけたら、その部分を最大限に引き出すべく、エネルギーをすべて注力するのだ。
11.できるだけ「これについて考えよう」ではなく「これについて決断を下そう」と思うことだ。決断する姿勢を持つことだ。完璧な解決を待たず、決断して前進する。決断は進歩だ。「決断したこと」を積み上げていけばあなたの土台となる。
12.物事がうまくいかないとき、人はその問題にさらに多くの人、時間、資金をつぎ込もうとする。だが、そうすると問題が大きくなってしまう。進むべき正しい道は逆の方向、減らすことだ。何が本当に重要かを見極めよう。
13.ビジネスを立ち上げるには、その核は変わらないものであるべきだ。人々が今日欲しいもの、そして10年後も欲しいと思うもの、そうしたものに力を投入すべきだ。流行は去り行く。変わらない機能に焦点を当てれば、時代遅れなんていう言葉は全く関係なくなる。
14.何かを作るとき、実は何か別のものが生まれている。どんなものにも副産物がある。優れた洞察力を備え、創造的なビジネス・マインドを持った人は、こうした副産物に注目し、チャンスを見出す。
15.思い切って行動に踏み出す前に、あなたが行おうとしていることの本当の価値を定めよう。⑴なぜ行うのか?⑵どういった問題を解決するのか?⑶これは本当に役に立つのか?⑷何か価値を加えているか?⑸それは行動を変えるのか?⑹もっと簡単な方法はないのか?⑺かわりに何をすることが出来るのか?⑻本当に価値があるのか?
16.邪魔が入る環境では生産性が上がらない。最悪な邪魔者は会議だ。意味のない会議は止める。本当に1時間の会議のために10時間分の生産性を犠牲にする価値があるか自問する。絶対集まらなければならないなら、ルールを決めそれに従うことだ。
17.問題は通常、単純で平凡な策によって解決することが出来る。そこに華やかな活動の場などない。見事な技術を披露する必要もない。ただその課題をとっとと片付けて、次に繋ぐ何かを作るだけだ。
18.やめることが最善の方法となりうることを覚えておこう。人はやめることを失敗と関連付けがちだが、時にはそれがまさに今すべきことである場合もある。既に1つのことにそれだけ多くの時間を費やしたのであれば、そこから手を引くことも大事だ。費やした時間を取り戻すことはできないが、最悪なのはさらに時間を無駄にすることだ。
19.大きな決断をするのは難しいし、変えるのも難しい。一度大きな決断をすれば、間違っていても自分は正しい決断を信じ続ける傾向がある。客観的な判断が出来なくなってしまう。一時的に効率が上がる小さな選択をしよう。小さな決断であれば大きな間違いをすることもないし、変更できる余地もある。大きなことを達成する最善の道は、一度に一つの小さな決断をしそれを積み重ねていくことだ。
20.あなたが成功しているなら真似をしようとする者が出てくる。真似っこから守る素晴らしい方法は、あなた自身を製品やサービスの一部にすることだ。製品にあなたのユニークさを注入するのだ。他の人が提供できないものにすることだ。
21.もし競争相手が最低だと思ったらそう言おう。けんかを売ろう。そうすれば、あなたに同意する人があなたのまわりに集まってくる。アンチでいることは、あなた自身を差別化し、人を引き付けるのに非常に有効だ。敵を持つことは顧客に伝るための素晴らしいストーリーをもたらしてくれる。
22.競争相手を打ち負かすには、何事も相手より「少なく」するのだ。簡単な問題を解決して、競争相手には危険で扱いにくい問題を残す。やりすぎるかわりに、やっていることが相手以下となるようにしてみよう。
23.「イエス」と答えるのはとても簡単だ。しかし、基本的には「ノー」と言おう。自分の最高のアイデアにも「ノー」と言う習慣をつけよう。「ノー」と言って後悔することはめったにないが、「イエス」と言って後悔することはしょっちゅうある。「顧客は常に正しい」なんて信じてはいけない。あなたのゴールは製品があなたにとって正しいものであり続けることだ。誰よりもあなたがそれを信じなくてはならない。
24.無名であることを受け入れよう。失敗しても大きな問題ではないし、プライドを失うこともない。一度規模が大きくなれば、必然的にリスクは小さくしなければならない。無名の今こそ、恥をかくことを心配せずにリスクを取れるのだ。
25.ドラッグの売人は抜け目のないビジネスマンだ。彼らは自分の商品が素晴らしいことを知っているので、先に少量を無料で提供する。あとで初期投資以上のものが戻ってくると分かっているのだ。自分の商品を、無料で少し使ってもらって後で現金で回収できるほどいいもの、熱中してもらえるもの、「手放せないもの」にするのだ。
26.マーケティングは部門ではない。会社のみんなが行うもの、すべてのことがマーケティングだ。偉大なブランドはいつもPRキャンペーンなしで立ち上げられた。どの企業も時間とともに一流のブランドになったのだ。まずは観客を得ることから始めよう。あなたの言葉に興味を持ってくれる人を見つけ、地道にそれを続けよう。
27.人を雇うタイミングは、定められた期間内にあなたの限界を超えた仕事があるときだ。無用な人は雇わない。たとえ有効な人であっても、必要のない人を雇う必要はない。人を雇うなら履歴書は役に立たない。あなた自身の直感を信じよう。経験年数も意味がない。大切なのはどれだけ質の高いことをしてきたかなのだ。学歴も意味はない。
28.小さなチームでは、人に仕事を振る人間ではなく、働いてくれる人間が必要だ。自分をマネジメントできる人、つまり自身の目標を設定し、それに向けて行動する人が必要だ。
29.間違いが起これば自分で引き受ける。対応の速度がすべてを変える。
30.正しい謝り方はないが間違った謝り方は山ほどある。最も悪いのは「本当は謝っていない」謝り方だ。良い謝り方とは責任を認めることだ。「もし」ではなく、実際に起こった事態の詳細とこれから改める方針を含み、悪い事態を直そうという意図がはっきりとしているものだ。
31.従業員はガキではない。子ども扱いすれば子供のような仕事しかしない。何でも許可を必要とする環境は「何も自分で考えない文化」を作る。
以上長々と書いてきましたが、参考になるところがあるのではないでしょうか?
著者の本で「強いチームはオフィスを捨てる」というものもあります。この本もウイズコロナ、アフターコロナの時代にテレワークなど新しい働き方を考える際に役立つものと思います。

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