中小企業経営のための情報発信ブログ28:アダプト思考

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ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は「アダプト思考」について書きます。
複雑で変化の激しい社会環境において、ビジネスでも個人の生活でも、将来を予想して綿密な計画を立て、それに従って事を進めていくことは困難となっています。このような状況下で物事を考え成功へと導く方法が「アダプト思考」なのです。
アダプト」というのは「適合する」「順応する」という意味ですが、「アダプト思考」の根底にあるのは「失敗を恐れず、トライ・アンド・エラーで新しいことをどんどんやれ」ということ、「失敗を恐れない試行錯誤」です。
フィナンシャル・タイムズ紙のコラムニスト・ティム・ハーフォード氏は、生物学をヒントに、この「アダプト思考」の方法論を生み出しました。
生物学の進化の過程では、いくつかの変異体が生まれ失敗したものは排除され、成功したものが複製されていきます。新型コロナウイルスの変異株の蔓延もこの進化のルールに従っています。
単細胞生物から高度に複雑性を持った生物が生まれたのも、この「変異と選択のプロセス」によっているのです。この過程は、組織や個人の発展や成長に応用できるのではないかと、考え出されたのだ「アダプト思考」なのです。
失敗を恐れず、失敗したらそれを認める勇気を持ち、失敗を学びに変えて改善していく、このプロセスの繰り返しが発展・成長のカギになる」ということです。
昨日「ダイナミック・ケイパビリティ」で、「変わらなければ何も始まらない」「危機や環境変化を敏感に察知し、組織を再編成して、新たな組織に変容する」「環境や状況が激変する中で、企業がその変化に対応し自己を変革する」「環境に適応して柔軟に変革する」という話をしました。「ダイナミック・ケーパビリティ」も、「アダプト思考」と同じように「適応と選択」という進化のルールが生きているように思います。
変動する社会環境の中ではイノベーションを起こせなければ、成長することが難しくなっています。生き残ることさえ難しい時代です。イノベーションを起こそうと、新しいアイデアを思いついても、失敗する確率は極めて高いのです。そこで、その失敗が大切になるのです。
以前にも「輝かしい失敗研究所」で書きましたが、「愚かな失敗」で終わらせずに、「輝かしい失敗」へと高め、「成功のもと」にしなければなりません
エジソンは「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの上手くいかない方法を見つけたのだ」「私は決して失望などしない。どんな失敗も新たな一歩となるからだ」と言っています。しかし、人というのは、失敗を認めて方向転換するのを拒みたがる生き物です。間違っているのにそれに固執してますます大きなミスへとつながるということはよくあります。「失敗は成功の母」と言われても、失敗から学ぶということは難しいものです。だからこそ「アダプト思考」に意味があるのです。
進化論のダーウィンは「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。生き残って進化できるのは、環境に適合し変わることができる者だ」と言っています。環境に適合し、変わり続けることで進化が生まれるのです。これは生物だけに限らず、組織もビジネスも同じです。
ハーフォード氏は、環境に適合し変化するために次の3つのステップを挙げています。
Ⅰ:ステップ1 新しいことを試す・・・その際、挑戦には失敗がつきものと覚悟しておく。
Ⅱ:ステップ2 失敗しても大きな問題にならないようにする・・・小さなステップを少しずつ進め、失敗しても影響が広がらないよう、あらかじめ対策を立てておく。ギャンブルは避ける。
Ⅲ:ステップ3 失敗を失敗として認める・・・失敗を認めない限り失敗からは学べない。
先ほどもエジソンの言葉を紹介しましたが、変化を止めてしまえば、成長はありませんし、そこからは衰退がはじまるだけです。1万回失敗しても「1万回の上手くいかない方法を見つけただけ」「どんな失敗も新たな一歩」と思えるかどうかにかかっています。
昨日も書いたとおり、低迷する日本企業は、リスクを恐れ、事なかれ主義で変わろうとしません。それが「失われた20年」「失われた30年」につながっています。
アダプト思考で失敗から学び続けることで、日本企業はこの激変する環境の中で進化することができるはずです。それは個人も同じです。
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