11月。
それは私にとってちょっぴり感慨深くなる月。
元旦那が出て行ってから1年、持ち家だったマンションで3人で暮らしていた私達は、離婚協議が始まって約2ヶ月後に条件付きで退去を求められた。
「11月末までに退去するように」
当初、離婚協議が始まった時に元旦那が言ったこと。
「調停とかしたくない。できるだけ早く決着をつけたい。2ヶ月くらいで。だから協議で終わらせよう。」
そう言うだろうと思ってたから想定内。
こっちとしてもさっさと終わらせられるに越したことはないけど、
2ヶ月決着はあまりに浅はかだなと。非現実的。
だったらそれなりにこちらの条件をのむつもりなんだろうと思っていた。
もしくは、この期に及んで私は相手の意見に全てイエスと答えると思っているかのどちらか。
実際は後者だった。
私がここまで色々なことを調べて条件出してくると思っていなかったんだろう。
態度が急変した。
元旦那は弁護士をたてた。
結婚して10年間、専業主婦を強いられ生活費は決まった額しか受け取れなかった私は当然貯金もできず、弁護士をたてるお金なんてないことは相手も分かってる。
自力で闘うしかなかった。
弁護士事務所から届いた封書を開ける手が震えた。
怖かった。本当に私一人で闘えるの?勝ち目なんてない。
でもそんなこと言ってられない。
勝つしかない。子供達の笑顔を守れるのは私だけなんだから。
その日から弁護士とのやり取りが続いた。
日中は家事育児、優くんの幼稚園のお迎えまでの数時間のパート。
子供達を寝かしつけてから弁護士への返信。
法律を調べながら、一言一句間違えないよう、不利にならないよう、素人主婦だとなめられないように神経をすり減らし返信したのは基本的に朝方になっていた。
そんな中で出された退去条件。
その時点で養育費の額も決まっていない。
養育費の額が確定しなければ予算組めないので新居を探せません。
その条件を提示するのであれば第一優先で養育費の額を確定するよう求めた。
パート収入のみ。
10年専業主婦。
子供2人。
転校しないですむよう、今の学区内。
そんな条件で私が家を借りることなんてできるのだろうか。
不安しかなかった。
不動産屋さんで担当になってくれたのは新人の男性だった。
ちょっと頼りない感じはあるけど、とても親切で丁寧で親身になって対応してくれた。
何ヶ所か見てまわり、ここいいかも・・・と思う物件が出てきた。
もうここで申込出そうかな。
そう思っていた矢先。
寝ようと横になった時、ふと「車の名義変更しないと引っ越し先に車持って行けなくない?」と気付いた。
そっちが先だ・・・。
寝てる場合じゃない。
名義変更の手続きについて調べた。
ナンバーも前の住所のままだったので、何となく嫌な予感がした。
予感は的中。
ローンの支払を終えた時点で、所有権解除の手続きをしていなかった。
それら全て私に変えるところから始めないと、引っ越しできない。
腹立たしさと、八方塞がりの状況に涙があふれた。
泣いてる暇があったら動け!
自分を奮い立たせ、タスクリストに追加した。
数週間後、車関係全ての手続きを終えた頃には、決めたかった物件は当然他の人が契約済。また一から物件探しが始まった。
そんなしんどすぎる時期を越え、
11月後半、私たちは新居へ引っ越した。
あれから3年。
当時の明ちゃんの年齢に、優くんがなった。
この3年、本当に幸せだった。
監視されない自由、3人で笑いあえる穏やかな日々、ありのままの自分で居られる心地よさ。
諦めなくてよかった。
11月になると、毎年そう思う。