「境界知能」について-「ケーキの切れない非行少年たち」より

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コラム
児童精神科医の宮口幸治氏が書いたノンフィクション書籍「ケーキの切れない非行少年たち」を読みました。

この本はシリーズ累計150万部の大ベストセラーですね。

筆者は児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務してきた経験を元にこの本を書いたとのことです。

筆者は多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づきます。

少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」(題名の由来です。詳しは本を読んでください)ことすら出来ない非行少年が大勢いたのですが、実は彼らの多くが、知的障害者ほどではないものの、認知機能に何らかの課題を抱えていたのです。

その結果、彼らは社会のルールを理解したり、自分の行動をコントロールしたりするのが難しく、非行に走ってしまう。

もちろん、非行には走らないものの同様の認知機能の問題を抱えている人も多数います。

彼らは人口の十数%いるとされる「境界知能」であり、たとえば、会社で「できないヤツ」とバカにされている、学校で「あいつは空気読めない」と除け者にされている人たちもこの「境界知能」である可能性があります。

「境界知能」と一般的にIQが70から85未満で、知的障害の診断を下されていない人を言います。

ただし、境界知能という正式な診断名はなく、あくまでも俗称として使われており、また、IQはあくまでもひとつの目安であり、実際には周りの環境などさまざまな影響により困りごとが生じている状態に対して使われています。

筆者は非行少年たちを支援するためには、彼らの認知機能の課題を理解し、それに応じた支援を行うことが大切であると結論づけます。

当然ながら非行少年以外の社会生活に困難を抱く境界知能の人たちも含めて、私たち一人一人が協力して彼らを支援していくべきでしょう。

これは非常に考えさせる本ですから、興味をお持ちの方は是非お読みください。

では

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