少し前から小説や映画なんかでも、生き返りや生まれ変わりを扱った話をよく目にします。
ご存じかどうかわかりませんが、いわゆる「なろうけい」の転生ものがその典型です。
簡単に説明すると、「なろう系」とは、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された作品のことをいいします。
主人公は現世では普通もしくは普通以下の人間、うだつの上がらない中年だったり、引きこもり青年だったり、いじめられている中学生だったっりするんですが、彼らが異世界に転生したり、異世界に召喚されたりするわけですね。
そして、転生先では主人公は強力な魔法を使えるといったトンデモない能力をもっていて(チートといいます)、無敵の大活躍します。
主人公が強くなっていく成長物語や、恋愛要素がある作品もあります。
これが小説から、マンガになったり、アニメ化されているわけです。
それこそ本屋にいくと山ほどその系統の本がありますし、テレビアニメも半分くらいは転生ものといってもいいでしょう。
私はほとんど読んでいないので正確にはいえないのですが、その中には面白いものや、優れた作品もあるようです。
ただ、私はどちらかというとアイデアの貧困を感じます。
特に、主人公が異世界に転生することで、自分自身を変えることができるという安易な描写がされている場合があることが気になります。
なぜかというと、これに影響を受けているのかどうかは正確には分かりませんが、小学生高学年と中学生を対象としたある調査では6割が生まれ変わりを信じているとの結果が出たとのことです。
それだけならいいんですが、だから死んでも構わないと考えるとすると話は別です。
実際に、自殺したある中学生は遺書に生まれ変わって最強になりたいと書いていたそうです。
追い込まれてどうしようもなくなったら自殺しても仕方がない、それで新しいスタートをきれるとの意見も聞いたことがあります。
現世に不満があるからといって、勝手に来世が素晴らしいものと決めて、生まれ変わりに期待する。
気持ちはわからないでもないですが、本当は何の解決にもなっていないことは言うまでもないでしょう※。
※ついでに言えば前世を誇ろうとするのも同じですね。前世がどうであろうと今の人生に何の関係もありません。
自殺しても今よりいい状態に生まれ変われる保証などまったくないからです。
ご存知の通り、キリスト教では自殺を禁じています。
勿論、だからと言って、信者が自殺をしないと言うことはありませんが、それでもこの教えは一定の抑止力を持っています。
日本では宗教はあまり力を持っていませんが、
現世をせい一杯頑張って生きない限り、
来世でも幸せなど来ないということ、
自殺者の魂は救われることがないことなどを、
なんらかの形でもっと徹底して教えるべきでしょう。
では。