パリでの仕事-ただし、かなり昔の話です(続き)
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昨日の続きです。
実は私も長い間、学生労働許可証で働いていました。
正規の労働許可証は持っていないし、すでに書いたように、取得が非常に難しかったからです。
働いていたのは通訳・翻訳会社ですね。
トップ会議通訳3人が作った会社で、いってみれば見習いです。
ですから、フルタイムで仕事をしていましたが、最初は無給で、半年くらい経ってから、給料を貰えるようになりました(といっても本来の半分)。
その後、政権交代時に移民政策の一環として、一時的に緩和されたときにどさくさにまぎれて労働許可証を取得しています(このときは給料も全額になっていましたが、少なかった)。
それはいいとして、ここで当時の日本人の就労状況を簡単に説明しましょう。
私が渡仏する10年くらい前に、安保闘争で揺れる日本を脱出してフランスに逃げてきた日本人が結構いたのです。
そして、当時は労働許可証取得が比較的簡単だったので、彼らは仕事をするんですが、日本人を受け入れてくれるフランス企業なんかありません。
なのでほぼ全員が免税店や旅行関係の仕事(送迎員、ガイド、通訳)に就いていました。
ところで、パリの日本人社会にははっきりとしたカーストがありました(今でもあると思います)。
一番上層が(この中にも上下があり、以下その順です)、大使館員、国家機関(JETRO、JIKA)の駐在員、そして商社の駐在員です。
次が一般企業の駐在員。
一般企業といってもパリに支社や連絡事務所を持っているわけですから、東証一部上場の一流企業ですが。
一応、いっておくと、パリ事務所で働いていても現地雇用の人間は省かれます。
最下層にいるのが、通訳、ガイドや送迎員、そして、日本人向け免税店や日本レストランの従業員です。
それぞれの集団の間にはあまり交流はありません。
というか、大使館員や国家機関の駐在員は他の日本人を完全に馬鹿にしていますからね(もちろん人にもよりますが)。
かなり前にも書きましたが、あることで日本大使館に相談に行ったら、職員に「大使館の仕事はパリにいる日本人を守ることではない」と面と向かって言われたことがあります。
彼らは日本からくる政治家や重要人物のアテンドが一番重要な仕事だと思っていて、自分たちを特別な存在だとでも思っているんでしょう。
日本人が集まる行事なんかを見るとそれがはっきりわかります。
ついでにいうと、留学生はこのカーストには入れてもらえません。
それから、アルバイトについてですが、パリにいたときに、日本人向けのスナックで酒を飲んでいると、日本人の若者が入ってきました。
そして何でもするから働かせてくれというのです。
その店は小さいので人手は要らないのですが、そうでなくてもそんな簡単に人を雇えるわけがありません。
少なくとも学生労働許可証を持っていないと怖くて働かせることなんかできない。
闇で働いている人間もいるだろうと思うかも知れませんが、確かにいなくはないのですが、たまに立ち入り検査があります。
あるとき、カラオケラウンジで歌っていると、警官が大勢で踏み込んできて、目の前で女の子たちを連行していったことがあります。
店は軽くて罰金、下手をすると営業停止処分。
捕まった女の子は日本に強制送還。
まあ、これは建前で警察にコネがあるとか、賄賂で処分を軽くしてもらえます。
実際、店はその後も普通に営業していましたし、女の子たちもすぐに戻ってきました。
話が逸れましたが、パリでは、日本から来た人間が簡単に仕事を見つけることなどできないのです。
留学生も同じことで、学業を終えても、よほど運がいいか、フランス人と結婚しない限り(労働許可証が自動的に貰える)、就職はできないと思った方がいいでしょう。
最近、実業家のひろゆき氏とか女優の杏さんがフランスに移住しているのを見て、自分もなんて考える人がいるかも知れませんが、彼らは経済的に十分な余裕があることを忘れないでください。
マダム・ロセスの記事にあるように、日本が生きづらいからといって安易に外国移住を考えるのは止めたほうがいいでしょう。
では