先日、ブログ友達のマダム・ロセスの海外で生活しようとする日本人についての記事(下にルツィート)に、以下のコメントをさせていただきました。
「おはようございます、マダム
仕事を探すために渡航というのは余りにもリスクが高いでしょう。
少なくともフランスではまったく無理。
学生運動が盛んだったとき(大昔です)には、今よりも規制が緩かったので、何とかもぐり込んだ人が結構いましたが、90%以上が旅行業界で働いていましたね(ガイド、送迎員、通訳)。
そして、日本から来た駐在員に差別されていました。
このあたりのことはそのうち書くかもしれません」
ということで、今日は、約束通り(そんな大げさなものではない)パリでの仕事についてもう少し詳しく書くことにします。
私がフランスに渡航したのは今から数十年前のことで、安保闘争が終わって世間が落ち付き始めたくらいときのことです。
動機なんですが、まさにマダム・ロセスの記事に書かれているように、日本では行き場がないと感じていたからです。
そして、アメリカではありきたりすぎるので、行き先をフランスに決めました。
その先のこと、たとえば就職なんかについてはあまり真剣には考えていませんでした。
本当に馬鹿ですねえ。
帰ってきたらなんとかなると思っていたのでしょう(あまりにも昔のことなのではっきりとは覚えていません)。
それで、まずフランスのいくつかの地方大学の外国人向け語学講座でフランス語を学んでから、パリ第3大学(新ソルボンヌ大学)に入学しました。
一応書いておくと、フランスには大学入学試験はありません。
外国人を含めて、高校卒業証明書さえあれば誰でも入学できます。
当然、人気が高い大学には人が集まりますが、その場合は先着順(!)なんですね。
ただし、地方在住の人間はその地方に志望学科のある大学があればそこに入らなければいけません。
また、現在は外国人には、授業が理解できる程度のフランス語力があるかを確認するテストが行われているとのことです(私のときはなかった)。
それで、パリ第3大学で何を勉強したかですが、ここには東洋語学部日本語学科があり、そこに登録しました。
日本人が日本語と思うでしょうが、当然ながら試験は簡単だし、ただフランスにいることだけが目的の日本人が沢山登録していました(数十人)。
私はフランス語がある程度わかるようになると、翻訳と通訳を学び始めました。
さらに並行してパリ第7大学の特別講座(修士相当)でも同時通訳を勉強しました。
そして、大学を卒業すると、もう日本に帰る気はなく、できればフランスで働きたいと考えていたので、就職先を探したんですね。
ここからようやく外国での就労という本題に入ります(前置きが長くてすみません)。
話を戻すと、フランスでは外国人が働く場合、滞在に必要な滞在許可証(ビザとは違いますが同じようなものだと思ってください)に加えて、労働許可証が必要です。
そして、この取得が非常に難しい。
普通に申請してもまずもらえません。
コネがあるとか、有力な弁護士に頼むといったことが必要です(大金を要求されますが)。
ただ、外国人学生には学生労働許可証なるものが認められています。
要するにアルバイトのためのものです。
逆にいうとアルバイトであっても許可証は要るということですね。
なので、形だけ大学に席を残しておいて、学生労働許可証を取得し、実際にはフルタイムで働くといったことが普通に行われていました。
ただ、もともとフランスにはワインの採集といった季節的なものを除くと、アルバイトがほとんどありません。
その上日本人が働けるところなんてまったくないんですね。
日本レストランを思い浮かべた人もいると思いますが、当時はパリに数軒しかありませんでした。
今はかなり増えているようですが(中国人や韓国人が経営している店も多いらしい)。
長くなったので明日に続きます。
では