CFP認定者監修【全然違います!あなたにふさわしいのは】iDeCo・新NISAどっち?

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 いよいよ2024年から新NISAが始まります。非課税という部分ではiDeCo・新NISAともに共通していますが、
ここで問題となるのが「どちらが良いのか?」「どちらから始めるべきか?」ということではないでしょうか?
ネットで拝見しても配信者によりけりで、iDeCo派・新NISA派と別れています。
今回は私なりに投資者の立場に立ち、優位性をもとに「どちらが良いのか?」に決着をつけたいと思います。

非課税枠について

iDeCoの非課税枠
 iDeCoの非課税枠はなかなか複雑です。まずは国民年金の第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者に分かれます。
つぎに第2号被保険者は公務員かどうか。分かりやすく下記の表を御覧ください。

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 ご覧の通りiDeCo以外の公的年金等の加入状況により掛金の上限が異なります。
例えば、第2号被保険者である会社員の方が、お勤め先の会社で企業型確定拠出年金制度(DC)への加入をしている場合はDCとiDeCoの合算で年間66万円となり、かつiDeCoの上限は24万円以内となります。

企業型確定拠出年金(DC)の掛金が年間42万円を超えるとその分iDeCoの年間掛金額は少なくなります。
ややこしいですね…。

 もうひとつ例を上げます。
自営業・フリーターなどの第1号被保険者の場合は国民年金基金とiDeCoと付加年金の合計金額が年間81.6万円です。
こちらは会社員とは違い、国民年金基金に未加入ならiDeCo・付加年金の年間合計掛金は81.6万円となり、仮に国民年金基金の掛金が年間10万円ならばiDeCo・付加年金の年間合計掛金は71.6万円となります。
会社員と違い融通が効きやすいと言えますね。

 掛金の限度枠は以上の通りですが、そもそも非課税とはなんぞや?という方もいらっしゃると思いますので簡単に解説します。

 金融商品(株や投資信託など)は配当金や売却益に課税されます。税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)です。
例えば売却益でいうと、A株を10万円で購入して1年後に15万円で売却すると利益は5万円です。この5万円が売却益となります。
税金は5万円✕20.315%なので10,158円が徴収されます。
この10,158円が徴収されずに済みます。これを非課税と言います。

新NISAの非課税枠
つぎに新NISAの非課税枠について。
2024年から開始となります。これまでのつみたてNISA・NISAが改良されました。
新NISAの非課税枠は積立枠・成長枠に分かれています。
積立枠は年間120万円、成長枠は年間240万円となっています。投資合計枠は最大1800万円で積立枠だけで最大1800万円使えますが、成長枠は最大1200万円までとなっています。

 ちなみに非課税枠の金額が投資元本で計算されます。
つまり100万円を投資して120万円になったとしても、非課税枠は100万円のみ減るということになります。
iDeCoよりはわかりやすいですね。
 ところで、既存の積立NISA・NISAとの違いは非課税枠の額にとどまりません。
大きなポイントは「投資→売却」しても投資枠が減らないということです。これまでは50万円投資すると非課税枠は50万円減ってしまいました。
しかし新NISAは売却すると売却分の非課税枠が回復します。

以上の内容から非課税枠については新NISAの勝利と言えるでしょう!

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掛金の税制について

つぎは拠出(投資)する際の税制について簡潔に説明します。
ここにも大きな違いがあります。「iDeCo・新NISAどちらから始めるべきか?」の核心的な項目です。


iDeCoの拠出
iDeCoは拠出した金額のすべてが「所得控除」の対象となります。
所得控除??と思うので簡単に説明すると、わたしたちの所得税・住民税は「収入から①必要経費と②各種所得控除を引いた」の残金に課税されます。
「必要経費」は会社員は業務上正確に把握するのが困難なため、
①年収に応じて「給与所得控除」として所定の計算式により導かれます。
必要経費≒給与所得控除です。

例えば年収500万円の会社員の場合、
年収500万円、給与所得控除は500万円✕0.2+44万円=144万円となりますので、
①500万円ー144万円=356万円です。
さらに残高より「生命保険料控除」「社会保険料控除」といった感じで差し引きます。

簡易的に例を挙げると、
所得税の計算上、生命保険料控除が8万円、社会保険料控除が100万円の場合、
②356万円ー(8万円+100万円)=248万円となります。
この248万円に所定の税率で計算されたものが所得税となり、わたしたちが納付しているものです。
前置きが長くなってしまいましたが、この「~控除」が大きくなれば税金の計算上の所得を下げることが出来ますので、所得税・住民税の納付額も下がるという仕組みです。

iDeCoは年間の掛金すべてがこの「~控除」となるので、例えば会社員の方で年間20万円を掛金としていれば、
上記の例で計算すると、所得税だけで年間2万円ほど減税効果がある、ということになります。

つまり、iDeCoには「いまの減税効果がある」と言えますね。

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新NISAの拠出
続いては新NISAの拠出ですが、iDeCoと異なり拠出金額は所得控除とはなりません。

つまり、「いまの減税効果は無し」となります。
拠出金額での所得控除(減税効果)の勝敗はiDeCoの勝利!となりました。


流動性について

流動性には明確な仕組みの差があります。流動性とは「現金化しやすいかどうか」です。


iDeCoの流動性
iDeCoは原則中途解約できません。所定の年齢まで現金化出来ないということです。
急に大きな出費があったとしても所定の年齢までどうしようもありません。拠出者の死亡など特別な事情がある場合は例外的に
中途解約できます。
小話として、拠出が困難になった際は「掛金の減額・停止」は可能です。停止した場合は、これまでの拠出した資金の運用のみ
行います。
 ではいつになったら現金化出来るのでしょうか?
答えは原則60歳~75歳の間で自分のタイミングで受給可能です。
ただし、拠出できる期間は65歳までです。なお国民年金へ加入していることが条件です。
少しややこしい話をしますが、
iDeCoは原則10年以上の期間、拠出しないといけない決まりがあります。例外もありますので下記を参照としてください。

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ここではiDeCoの流動性は極めて乏しい、と言えます。

新NISAの流動性
新NISAはiDeCoと異なり流動性は極めて高い、と言えます。

いつでも換金(現金化)できるので、急な支出にも対応が可能です。株式等の売却となりますので口座に現金化されるまでは少し時間を要しますが、外国株か国内株かにもよりますがおよそ1週間以内には換金できると思います。
さらに今回の新NISAの特筆すべきポイントですが、株を売却(現金化)した場合、非課税枠は回復します。

例えば50万円分の株式等を購入すると50万円分の非課税枠は無くなります。ここまでは既存のNISAでも同じです。
新NISAはこの50万円の株式等を売却すると50万円分の非課税枠が戻ってくるということです。

 積立枠の対象商品はノーロード(購入手数料0円)、信託報酬(保有額に応じて管理・運用会社へ支払う費用のこと)が一定額以下、という感じで長期運用に適しているだけではなく、見方を変えれば投資の経験が浅い方や初めて投資をする方の練習にもなる、とも言えます。

 新NISAのスタートに合わせていろんな金融商品取扱業者が宣伝をしているので新規に始める方も多いかと思います。
そんな方は、少額で練習と思い取り組んでみてはどうでしょうか?
流動性については新NISAの勝利!で間違いないでしょう

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受給時の課税について

iDeCoと新NISAの大きな違いは拠出時の所得控除とつぎの「受給時の税制」です。


iDeCoの受給時の税制
iDeCoの受給時の課税は「公的年金等」として扱われます。要は収入とみなされます。
ただし、給与所得控除のように受給時(収入時)には「公的年金等控除」と言って、収入から一定額控除された金額に対し所得税・住民税が計算されます。
「公的年金等」は雑所得となりますので原則総合課税です。総合課税とは他の所得(例えば給与所得・不動産所得など)と合算して税額を計算する課税方法です。
公的年金等控除の控除額の計算方法は以下のとおりですが、公的年金以外の所得がどのくらいあるのか・その時の年齢により異なります。

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要は、幾分税額に配慮がされている、と言えます。
iDeCoの受給時に給与収入があるのか(つまり現役として働いているのか)、その金額などもある程度考慮しなくてはいけません。

 また、iDeCo受給方法には3種類あります。
・年金として毎年受け取る方法
・退職金として一括で受け取る方法
・一部を退職金として受け取り、残りを年金として毎年受け取る方法

この受け取り方により控除方法も違います。
話が前後しましたが、
・年金として受け取る場合は上記の「公的年金等控除」
・退職金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」
・一部を退職金として残りを年金として受け取る場合は「年金部分は公的年金  等控除」「退職金部分は退職所得控除」
が適用されます。

退職所得控除については今回は割愛しますが、CFPの立場としてクライアントにアドバイスするならば、給与所得と公的年金所得と退職所得のもっとも節税効果の高い受給金額を算出して、その収入で希望とする生活が安定的に送れるかどうかをシュミレーションすべきです。

まとめると、iDeCoは「いくぶん税制の優遇措置がある」「受け取り方法により税金も変わってくる」と言えます。
ややこしいですね…。

新NISAの受給時の税制
新NISAは受け取り時は非課税です。
また、受け取り方法もiDeCo同様に3種類あります。
・年金として受け取る方法
・退職金として一括で受け取る方法
・一部を退職金として受け取る方法、残りを年金として受け取る方法
いずれも非課税です。
新NISAについてはとてもわかりやすいですね。
受け取り時の税制については、新NISAの勝利!で異論はないでしょう。

まとめ

少し長くなりましたがまとめになります。
・非課税枠については新NISAが優位
・拠出時の優遇(所得控除)についてはiDeCoの勝利
・流動性(現金化しやすいかどうか)は新NISAの勝利
・受給時の課税については新NISAの勝利
以上で新NISAの勝利となります。

が、iDeCoの所得控除も魅力的です。
現状の生活状況等を考慮した上で、現在の所得を優位にしたい方は無理に新NISAに絞ること無く、iDeCoも活用してみてはいかがでしょうか?

無理のない範囲、投資の上限内でiDeCoを利用しつつ余力で新NISAへ少額投資。こういった柔軟な方法を検討してみましょう!

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