僕のゲイバーデビューは、大学1年生の終わり頃でした。
前回の記事で、話した初体験の人が行きつけのゲイバーに連れて行ってくれました。
初めてのゲイバー。
たのしみな反面、どんな世界が待っているのか不安と緊張の方が強かった気がします。
「先に行きなよ、大丈夫だから」
その人に背を押され
雑居ビルの二階。階段を登りました。
お店の扉を目の前にして、胸の高鳴りが止まらなかったです。
緊張して扉を開けるのを躊躇していると
「ほんとに、大丈夫だから。怖いところじゃないから」
とその人は半笑いで、僕をからかうかのような表情でした。
この人に騙されているんじゃないかとか、怖い場所だったらどうしようとか、短い時間の間に様々な思いが頭の中を巡りました。
疑心暗鬼になっている自分がいました。
あれこれ考えても、もう後には引けない状況であることに変わりませんでした。
覚悟を決めて扉を開けると
薄暗い店内に賑やかな音楽と談笑する人たちの声
そして間もなく、上半身裸の体格のいい男性が目の前に現れました。
(え...裸?)
そしてそれに続いて、体格のいい派手な女装をした人が現れました。
(え...怖い...なにここ?)
固まりました。
何もかも異質すぎて。
自分なんかがこんな派手なところに来て、場違いだったかも
一瞬にしてこの場所に来たことを後悔しました。
そしてテンションの高い女装した人に店内に案内されました。
カウンター席に座り、話しを聞くと
たまたまイベント当日だから騒がしいだけで、普段はもっと落ち着いた雰囲気で営業しているとのことでした。
席についてからは、しばらくその女装した人が相手をしてくれました。
途中からは僕と同年代くらいの店子さんに交替して色々話しました。カウンター越しにいる、店子さんは話しがとても上手で、とてもキラキラして見えました。
話しをしていると、店子さんは大学生で年齢は自分よりも1つ上だということが分かりました。こんなに堂々としていて、色んな人とちゃんと話ができていて、とても大人びて見えました。
気づけば、夢中になってその店子さんに話しかけていました。自分と年齢はほとんど変わらないのに、こんなにも自分とは違いすぎる店子さんに興味津々でした。
(自分もこんな風にキラキラしたい...)
憧れの眼差しだったと思います。
店子さんはそんな僕に対して
親身になって話しを聞いてくれました。
ゲイの世界が分からないことばかりであること
ゲイの人で友達と呼べる人がいないこと
いま、好きな人がいること
自分に自信がないことなど
色んな話をしました。
そして帰る直前に
「僕、ひろトくんと友達になれそうな気がする。今度、ご飯でも行かない」
と言ってくれました。
(え、自分なんかと友達になってくれるの...?)
信じがたい言葉でだったけど
嘘みたいだったけど
でもそれは現実で
純粋に、すごく嬉しかったです。
そしてその場でメールアドレスを交換し、後日ご飯を食べに行きました。
ゲイバーの外で会った彼は、また印象が違くて
すごく親しみやすくて、気さくで
ゲイバーで会ったときは、自分とは違いすぎると思っていたけど
そんなことなくて、自分となんら変わりない普通の大学生でした。
その彼が初めてできたゲイの友達でした。
それから本当に仲良くしてくれてよくご飯も食べに行ったし、飲みにも行きました。
よくお泊り会もしました。
お菓子を食べながら、お酒も飲まずにジュースだけで朝まで恋バナをしたのが今では本当に懐かしく思います。今でも関係は続いていて彼とも14年の付き合いになります。
前のブログで書いた、初体験の相手のことも彼に話したところ「何も知らない不慣れなひろトくんに手出して最悪やん。そんな人と会うのやめといたほうがいいよ!もっといい人おるから!」と言われました。
そのアドバイスもあって、その人との関係をズルズル続けることもなかったです。
彼との出会いが、ゲイの人付き合いの原点となりました。