マニュアルが必ず正しいわけではない

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コラム
今回は、マニュアルに沿って対応したために、よりお客様を怒らせてしまった例です。

チェーンレストランのリーダー職であるAさんは、店長不在の時には店長としてお客様対応にも応じます。

あるとき、お客様より提供したサラダのなかに異物があるとのクレームがありました。実際に確認しに行くと、確かに「ゴキブリのような虫」らしき物が混入しているように見えます。

お客様にはすぐにお詫びをしてセットのサラダ代金は無料にさせていただき、異物に関しては、お客様に何が入っていたのかを必ず報告させていただく旨をお伝えしました。店長にももちろん報告を済ませました。

この段階で実はお客様の心は不満で膨れ上がっているのですが、お客様はその場では何もおっしゃらなかったため、マニュアル通りに対応したAさんはこれでクレームそのものが終了していると思っていました。そして、店長もそれほどのクレームになるとは考えていなかったのです。

後日、該当のお客様には異物の報告を連絡した時に、お客様の「それだけ?」という反応で初めてクレームが大きくなる予感がしました。

お客様は異物が虫出会った可能性が大きいという内容を聞き、「サラダをかなり食べた後なのに体調に異変が起きたときにはどうすればよいのか?」とおっしゃっています。

自分ではどうにもならないと判断し、店長から再度連絡をしてもらうことにしたのですが、店長が連絡をしても同じ反応だったそうです。

その後、お客様は本社のお問い合せにクレームのメールを送りました。内容としては、非常に不愉快な思いもしたし、食べたものも気持ち悪くてたまらないのに、会社としての謝罪が混入異物の報告だけなのか、というものでした。

レストランはモールのテナントとして入っていたため、施設側に食品に異物が混入していたと報告をしたのか、という点もお客様から厳しく問われました。

さらに、お客様からは、食事をとったとはいうものの、異物混入がわかった後は怖くて食べた気もしなかったのだから、その日の食事代金くらいはせめて無料にすべきだったのではないか、との要望もあったそうです。

しかし会社の方針としては、召し上がったものはお代金を頂くという当然の返信をしたわけです。

営業部長もお客様に連絡をしてお詫びをしていますが、お客様はもう話も聞いてくれなかったそうです。

もちろん、該当店舗の店長もキッチンもかなり厳しく注意を受け、レストランが入っていたモールにも報告をすることになりました。

その後、お客様は連絡をしてこなくなりましたが、おそらく2度とそのお店に行くこともないでしょう。そして、SNSにはあげないにしても、お友達には「あの店のサラダは虫入りだったのよ」と話しているかもしれません。

会社の方針は全く間違ってはいませんし、本来はお客様は食べたものは払うべきです。当たり前ですよね。

でも、もしあなたが食事の途中で食べ物に結構大きな虫が入っていたらどうでしょう?そのあとの食事はおそらく気持ちの良いものではないハズです。

初動での対応が肝になるケースです。おそらく異物が入っていたその日のうちに「食事代金は結構です」といった対応をしていれば、お客様はそれ以上のコメントをしてはこなかったでしょう。

マニュアルというのはひとつの指針です。もちろん通常の運営であればマニュアル通りに行うことが大前提となります。

しかし、お客様の心は指針通りには動きませんし、一つ間違えば大きく気分を害されてしまいます。

Aさんは今回の事案で「自分が最初に店長代理としてお客様の立場で考えてみればよかった」とおっしゃっておられました。

次にぜひつなげてほしいなと思います。








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