小説の構成について<四部構成>

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<はじめに>


こんにちは。
個人で小説を書いたり、作家さんの作品を拝読させていただいたりしているものです。

この度、小説の分析を行って自分のインプットを増やし、作家の皆様に役立つものをアウトプットして盛り上げられたらと思い、記事を書いております。
小説の書き方ってHOW TO本がたくさん出ているかと思います。

今回はフィルムアート社さんから出ている、「工学的ストーリー創作入門」から<四部構成>の部分を取り上げてみたいと思います。

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小説を書いている中で、「書きたいシーンはあるけど、そこまでどうやってもっていったらいいんだろう」「物語が平坦で、盛り上げ方がわからない」となったことはないでしょうか。

「何を、どういう順に書くべきか」

それには「答えなどない」と思われるでしょうか。
この著書の作者であるラリー・ブルックスさんは、それは間違いである。と言っています。

建設と同じで、「構成」は建物の基礎や設計図にあたる。建物を支える骨組みである、と。まずはその骨組みがないと壁や床を造り、装飾していくことなどできない。ということです。

「構成」がしっかりいているからこそ、魅力的な人物、テーマ、意図、斬新なコンセプト、文体で物語を飾ることが可能である。
「構成」に才能は必要なく、知識を得て努力すればみなさんの物語づくりに落とし込むことができるというのです。
私はその「構成」の知識を画像で完結にして見やすくし、飲み込みやすくしていきます。

そしてこちらの記事にて補足を行ってまいります。
もし物語をどうやって展開させていくのか悩んでいる場合、こちらにあてはめて作成してみるのはいかがでしょうか。

※小説の書き方は1通りではありません。
今回は数ある方法論の中の、数ある書籍の中のひとつを取りあげており、
こちらが絶対的方法であるということではありません。
ご了承ください。

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各パートについて、次で補足していきます。


<PART1 設定>

物語の序盤は、「設定」のパートです。

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主人公の紹介や舞台設定はパート1で済ませます。
また、敵対者の紹介を行うのも必要ですが、序盤では全貌を明らかにせず、
不穏な感じでとどめておくと、「フック」になったり「伏線」として後から生きてきます。

例えば「尾行されている主人公」。

しかし敵対者との関係性は見えない状況です。
そしてその敵対者に主人公の大切なもの(または目標)が脅かされるかもしれない。

大切なもの(目標)とは主人公の望むもの、カタチです。
例えば、家族や財産、名声を得ること、など。
それらを最初に提示することで、その後の展開を読者が気にしてくれる(共感してくれる)流れになります。

逆にPART1に詰め込みすぎることはしなくて大丈夫です。
ここではプロットは本格的には動きません。

そして、PART1の最後に、主要な敵対勢力の全貌を明らかにします。
主人公と激突させ、先ほどの述べた「望むもの」との矛盾を生じさせます。
これがPART2の「コンフリクト」(葛藤・対立)へと続いていきます。


<PART2 反応>

PART1の最後に敵対勢力との衝突がありました。
PART2はそれらへの反応を描写します。

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主人公と敵対勢力の関係性が見えてきました。
これによりPART1で主人公が望んでいたものと敵対勢力は対立します。

そのため、主人公の新たなゴールが設定されるのです。
例えば、生き残ったり、正義を貫いたり、誰かを助けたり。
そしてその新たなゴールへの妨害がコンフリクトです。

このコンフリクトは物理的に外的要因のこともあれば、主人公の内面から現れる狂気であることもあるでしょう。
どちらにせよ主人公はまだ積極的ではありません。

「反応」つまり、受動的です。
この危機、困難に対して、逃げる。観察する。その程度です。
しかしPART1でしっかり人物や状況などを設定できていれば、読者は感情移入してくれて、主人公の挙動がどうなっていくのか見守ってくれるはずです。


<ミッドポイント>

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ミッドポイントは物語の最大の転換点
ミッドポイントはPART2と3の間に設けます。

ここをきっかけとして、物語が転換される大きなポイントです。
それまで出されていなかった情報、全く新しい情報が見つかる。
それによりストーリーの流れが変わるのです。
主人公と読者がそれまで理解してきたことを覆す、でもいいです。

妻の浮気がPART1の最後で発覚。
今までは妻について調査してきたが、ミッドポイントでその浮気相手が自分の弟だったとわかります。
すると向かい合う相手は弟となり、主人公が動き始めます。

新しい認識、新しい発見から決断し、行動が生まれます。

ミッドポイントについては、この記事とは別にプロットポイントについての記事を作成しようと考えておりますので、そちらでさらにもっと深堀したいと思っています。


<PART3 攻撃>

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PART2では受動的にしか反応していなかった主人公は、ミッドポイントで向かい合うべきものを新たに認識します。

PART3ではそれに向かって主人公が積極的に動き始めるのです。
内面にあるコンフリクトが対象の場合は、自分と向き合い、心の弱さを認めつつ、克服できるよう動くでしょう。
また外的要因であれば目の前の障害と戦います。
そのために工夫し、自主性を発揮していくのです。

分量で言うと、このPART2とPART3を合わせて最大で全体の25%~75%を使ってもいいボリューム感です。


<PART4 解決>

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ここでは主人公の向かうべきゴールはすでに出そろっており、関連人物も新しい方は出てきません。

主人公がいかにゴールを達成するかを書きましょう。
敵対勢力に勝つことや、すべての謎が解き明かされることです。
もちろん自分の力で打ち勝ち、ヒーローになるのです。
間違っても傍観者だったり、他力での解決ではないほうがいいと思います。

主人公が負けたり、亡くなったりすることもあるでしょう。
それは間違いではなく、ただし、問題の解決や、望みの達成自体は行ったうえでであれば、ということです。


<おわりに>

今回は小説を書く上で、次の展開どうしよう。。。となる場合の解決策としての「四部構成」を見ていきました。
大枠があれば、あとは自分の物語をこの通りにあてはめていくだけです。

構成が同じだと他の方と全く同じ物語になると思われますでしょうか?

しかし、この世の物語は既になにかしらを参考にしていることが多いのです。
その中でいかに自分独自の色を入れていくか、ユニークなものを味付けするかが腕の見せ所でしょうか。
それは専門的要素の盛り込みだったり、着想アイデアだったり、実際の経験に基づくものだったり。

著者のラリー・ブルックスは、人間は身体構成が全く同じ(腕が二本、口が一つは同じ)なのに、双子以外は同じ顔の人はいない。と言っています。
そのくらい物語も個性があり、同じものはないと言えるのではないでしょうか。

構成の枠を学んでも、個性が死んでしまうことはないというのは、私も同意するところです。

むしろ私はこのようなロードマップが敷かれることにより、迷子にならずに自分の創作ができていると感じます。

この記事が作家のみなさんの一助になれれば幸いです。

次回はこの四つのPARTの中に組み込むべきプロットポイント(転換点)について、同じように視覚化してみたいと思っています。
よろしくお願いいたします。


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