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これは世界で一番美しい場所、ローフォーテン諸島(ノルウェー北西部)を私がヒッチハイクで旅して回った時の記録。
第0話はこちら
6月中旬。ノルウェー北部の街ナルヴィク。町外れの道路。
しとしとと雨が降りはじめる中、私は道路脇の歩道で「Lofoten」と書かれたスケッチブックを掲げていた。
かれこれ30分以上車を待っていたが、ただの一台も止めることができない。
出発地のナルヴィクから271km先にある、本日の目的地のローフォーテン諸島の街スボルベルへ行くバスは1日に2本ほど。不便な時間にしかなく、しかも1回乗ると80ユーロ(1万円前後)くらいしてしまうのが嫌でヒッチハイクをすることにしたのだが、失敗だったかもしれないと思った。
ナルヴィク滞在中にお世話になったノルウェー人の話では、ノルウェー人は車を家のように大事にするから、ヒッチハイクする=知らない人を家に入れるくらいの抵抗があるのだとか。おまけに私はアジア人。白人から見れば「自分たちの常識が通じるか分からない不気味な人」なわけで、ハードモード以上の「ナイトメアモード」だ。
一応、ヒッチハイクに失敗した時でもローフォーテン諸島に行けるようにバスの出発時間よりは前にヒッチハイクを始めたのだが、どうやらナルヴィクの街から出ることすら叶わなさそう。。
せめてバスの次の停留所がある場所までは歩いておこうととぼとぼ歩き出した時、後ろから来た1台の乗用車が私の斜め前で止まってウインカーを点灯させた。
まさか!
希望を持って走り出す私。
そんな私を助手席側の窓を開けて待っていてくれたのは、20代くらいで私と年の近そうなヨーロッパ系らしい女性だった。彼女1人でどこかへ向かうところの様子。
「ヒッチハイク?」
と聞かれ、イエスと答える。
その時雨が本降りになってきたので、「とりあえず乗って。」と促されるままに助手席に座らせていただいた。
私の行き先がローフォーテンと伝えると、
「私は北のトロムソーへ行くところだから、途中の分岐まで送ってあげる。」
ということに。
道中、お互いの身の上話。リナという名前、彼女がドイツからノルウェーに働きに来ていることや、夏の間はいいけど冬は辛い話を聞いた。
一方、私は日本から来たことや、大学卒業後に就職せずに旅していることなどを話した。
話し終わった時、
「それじゃ、ギャップイヤーね。」
と言われた。
ドイツやフランスなど西ヨーロッパの国では、高校卒業〜大学入学の間や、大学卒業〜就職の間でギャップイヤーを作り、自分の将来を考える人も2-3割くらいの割合でいるらしい。ギャップイヤーの中で国内外を旅したりちょっと働いてみたりすることで、やりたいことを明確にしてから大学の専攻を選ベルので入学後のミスマッチを避けたり授業への熱意を保ちやすかったりするようだ。
ギャップイヤー、面白い仕組みだと思った。
話しているとあっという間に分岐が来てしまった。リナさんにお礼を伝えて車を降りる。
こうして私の海外での初ヒッチハイク旅が始まったのであった。
次回。
カモメに攻撃される。
お楽しみに!
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