女児失踪事件から全キャンプ場にお願いしたいこと

記事
学び
道志村のキャンプ場から離れた場所で人骨が出て、そのあと少しづつ、みさきちゃんのきていたものと似た衣類がでているという報道があって、大変心を痛めています。
 事件なのか、またはたまたま捜索しなかった場所へ川の場所を間違えて行ってしまったのか、それすらもまだわからない段階なので、なにもいうことはできませんが、こんなことはどんな子供にも日本中で二度と起きて欲しくない。

 実は私自身、小学生低学年の頃、買い物中の親と離れて、一人本屋さんにいたとき、若い男性に声をかけられ、連れ去られそうになったことがありました。親もおおごとにしたくない、と別に警察には届け出なかったのですが、その体験の下地があるので子供が連れ去られる時一体どういう状況が起こり得るのか、当時のやり取りをおぼえているのでなんとなく分かるような気がするんですよね。どんなに気をつけていたとしても、親の限界は絶対にあります。
 しかも海外の犯罪例では幼児の誘拐は無計画ではなく、狙いを定めて下調べをしっかりして生活を把握した上で、親の隙を狙います。人身売買なら、買う客にその子の写メを送って、商品としてこれでいいかと確認後にこどもを誘拐しています。同じことが日本で起きているかどうかはわかりませんが、そうではない可能性は逆にどのぐらいなのか、わかりません。
 だから、いったんターゲットとして子供が狙われたら、現代はもはや親個人では防げないレベルの犯罪なのです。親の不注意を責める人は、あまりに現代の犯罪の高度化やITすら利用する組織的誘拐の手腕を知らなすぎると思います。別に私は警官でもなんでもありませんが、だからこそ、だれにでも起こりうるんだ、という視点から、良識的な人たちから、犯罪を起こしにくい環境を作るアクションを取って欲しいんです。

というのも前に、川崎の子供の殺傷事件があった時、現場が近かったことから当時娘が通っていた幼稚園の副園長先生に、防犯意識を子供にもすこしでも意識させる何かをして欲しいということを伝えたことがあります。
そしたら、その副園長は、え〜めんどくさ、という表情で、「万一、あんな風に子供が刺されたら、刺されたでどうしようもないですよ。防げないし、もうそうなったら、諦めるしかないですよね。」と平然と言いました。
 インクルーシブ教育の嘘で有名なエスカレーター式の私立の幼稚園ですが、私は驚きすぎて、目が点になりました。実話です。もちろんその異常な幼稚園はその後、すぐに辞めましたけど、ついにそういう異常な感覚の大人だらけになってしまったか、と日本てヤバイな、と思いました。

 どっちにしても「子供の安全を守る」という点では、親の個人責任を問う前に、オートキャンプ場側にできることはたくさんある、ということを、今日はキャンプをこよなく愛する中級キャンパーの視点から、書かせていただきたいです。キャンプ場経営者の方が、これをみて、ちょっとでも配慮してくれることを望んでいます。

 キャンプは設営から天候に至るまで、子供から目を離す瞬間なんてそれこそたくさんあります。7歳までの子供は自分でドアを開けられるので車でじっとしていることもないし、判断力がなく、自分を自分で制止する能力がありません。すべての判断が基本は衝動的だということです。
そういう子供たちと何年も24時間休みなくともに過ごしていたら、どんな親だって、ふと気をぬく瞬間があります。親はサイボーグではないのですから。

とくにキャンプ場では、調理していても、ガスのように途中で火を止めるわけにもいかないです。もう一人の子供がいたら、たき火から目を離せない瞬間もあります。しかし、べつな子供はトイレに行きたいという。パートナーがくるまで、ちょっと待ってて、というけれども、子供のほうは待てない。
そして勝手に一人でトイレに行こうとして、急に子供が消える場合もあります。それが川に行くとか、通りすがりの動物を追いかけてとか、いろんな理由が瞬間、瞬間で発生し、いろんな理由で子供は急にいなくなります。

またオートキャンプサイトは、規格化されすぎて、どこも同じような作り。子供からすると見た目だけでは、目印が探しにくく今、自分がどこにいるのかが把握しにくいのです。親は寝ていると思って安心してタープのほうで作業していると、実は起きていてそっとテントから消えている場合だってあります。
 キャンプ場には子供が興味惹かれるものがたくさんありすぎるんですが、鍵のかかる自宅のように子供達を一定の空間内に閉じ込めておくことはできないのです。こんな状況で子供を完全に見守るのは至難なんです。
だから、近くのサイトの家族づれの大人の目も必ずあるような配置がどうしても必要なのです。

キャンプ場経営者の方には、10歳までの子づれキャンパーが子供から目を離さなくて済むキャンプサイトの配置と作り方をもうちょっと心がけてください、ということをお願いしたいです。
 今はキャンプにそれほど詳しくなくても、道具さえあれば誰でもキャンプがやれるご時世です。
キャンパー側に気をつけてといっても、キャンプ講習を受けたわけでもなく、基礎知識が欠けているキャンパーなどそこら中にいます。
 キャンプ場が啓発しないと、わからない危険がたくさんあります。

そして、自分たちの所有するキャンプサイトの作り方を一つ一つ、日本庭園の造園業の庭師の視点で、もっとよく見直して欲しいのです。
 先日行った道志村近くのキャンプ場は、はっきり言って、ただキャンパーを詰め込むために区画を切り開いただけの場所でした。雨の際、サイト全体に崖からの落石もあり得る場所でした。
 電源サイトの近くにしかテントを張ることができないので、必然的にそこにテントを張るしかないのですが、その位置が非常に悪い。
 一旦、そこにテントを張ると水場が見えない、トイレが見えない。そして人の出入りがみえなくなる位置なのです。他のテントに阻まれて、視野が非常に狭くなるサイト作りになっています。キャンパー側で環境を選ぶことができない状況です。

 トイレの出入り口も、キャンプサイトから見えない方角にある。
そういうところでは、親の付き添いがないまま、ちょっと待ってが効かずに勝手に子供がトイレに行く瞬間が怖いと思いました。そういうことも想定していて、うちは簡易トイレも持参してはいましたが、一見してここが小学校低学年までの子供にとって危険なサイトだと想定できない家族も多いと思います。

 アメリカの幼児誘拐連続犯は、7歳までの子供なら100%連れ出すことができると自信を持ってそのノウハウを語ったそうです。警察官にもいわれましたが、小学校一年生というのが一番交通事故が多いし、成長発達段階のうち一番騙しやすい年齢が小学校一年生だと言います。

テントを張る時、わたしは城をイメージします。
城は、どこから敵が攻めてきてもすぐに気がつけるような場所へ築きます。
湿気がたまりにくく、後ろが安全で、かつ逃げ道があり、三百六十度見渡せる、外からの人の出入りが確実に見える場所です。

売り上げ重視で小さいサイトにできるだけキャンパーを詰めこもうとするようなキャンプ場は、連なるテントに視界が阻まれて、親が子供を見失いやすいサイトです。
 駐車場の作り方とテントサイトの作り方を同じように考えるのではなく、中央の広場にこどもが自然にあつまるように、その周辺にテントが点在するようにサイトを構成しているキャンプ場は、小さい子供づれの親が安心してキャンプできる場所になります。

しかしそれだけだとプライバシーが尊重されませんので、直射日光を遮るためにも、ある程度外からの視点を遮る草木岩は必要になります。
その絶妙な配置計算ができるのが、造園業の日本庭園の庭師の高度な技術なのです。

京都の日本庭園へ行くとわかりますが、どの角度から景色を眺めても、絵になりながらも、人の隠れ場所になる死角がありません。
それはそうですよね。日本庭園は武家や公家屋敷にありました。
あやしいものが忍び込んでも、すぐに気がつけるように、しかし景観を失わずに、日本庭園の庭師は計算しなくてはなりません。
それは、立体視野でものを捉える造園ならではの特別な技能が必要なのです。
 日本庭園に造詣のあるキャンプサイトは、ある一方方向からだけではなく、すべての位置からの景色や美を計算された作りになっています。風も湿度も排水もすべて計算されています。高低差も上手に利用しているので、見渡せる。姿がなくても、気配が感じられる。安全なサイトなんです。

キャンプブームに乗ってただ空き地を解放しているようなキャンプ場は、よくないキャンプ場です。テントを張りやすいように、ただ四角い駐車場のような区画を作ればいい、というものじゃないんです。
道志村は都会から近いです。都会から来やすいため、たくさんのひとが利用するから、収益をあげようと詰め込めるだけ詰め込むような形で運営されているキャンプ場もあります。そしてバイトを雇ってシーズンごとに運営しているところは、結局全部のサイトに目が行き届かないと思います。
 巨大施設であればあるほど、プロのアウトドアの人を入れて、その人の視点から全サイトの安全性を定期確認するような制度は必要です。

そして予約の際も、宿泊する家族構成を記入させているので、ある程度キャンプ場の方で利用する年齢層はわかりますよね。
キャンプ場の方は、お金や先着順の価値観を廃して、子供の安全性の視点から、ファミリーの予約申し込みを受けつけてください。
 つまり、崖や川から離れた位置であり、トイレや水回りがテントサイトから確実に見える場所がつくれるサイト、そしてキャンパー以外の車での子供の連れ去りが不可能なように、人の出入りが多い入り口から遠いサイトを小さな子供づれキャンパー優先に配置してください。
予約順に詰め込み式でキャンパーを配置するやり方をやめて欲しいのです。
 そして同じ年齢層の子供づれ同士のキャンパーたちを、できる限り近くの同じサイトに配置してください。子供の習性として、基本的に仲間がいると自然と群れになりやすいです。群れになると、親は羊飼いと同じで少ない人数でも子供を見やすくなるんです。だから、つきっきりにならなくても、食事づくりや作業しながらでも、子供に目線を走らせることができます。
 近くのキャンパーの子供同士が仲良くなると、グループ化してくれるので、親は圧倒的に見やすくなりますし、そのサイトがもともと近くであれば、子供が互いのテントに行く時の移動距離が短いので、途中で移動していなくなるということも防げます。
 その群れには、ひとりは小学校高学年くらいの年上の子供もいる可能性が高く、その子達は判断力がある程度ありますので、牧羊犬のように異変はちゃんと知らせてくれますし、状況説明もより明確です。目線の低い子供の視点で、子供同士が子供をみるほうがきめ細かいです。
 確実にそうなるというわけではありませんが、そんな配慮を心がけるだけで、キャンプ場での子供の安全を守りやすい環境ができやすくなります。

キャンプ場によって、おすすめ基準を設けて、受け入れ年齢層を分けた方がいいです。ティーンエイジャーや大学生など若いキャンパー達の過ごし方と、子連れファミリーキャンパーは違いますし、シニアキャンパーは落ち着いた景観のよいところを望むと思います。
はじめてのサイトだと、申し込み前にキャンパーにはサイトの環境が写真や簡易場内マップからだけだとわかりにくいので、ちゃんと誰に向けたコンセプトでつくったサイトなのかを、キャンプ場同士でプロの視点で基準を作って、申し込みの時にそれにそってあらかじめ表示してもらえるともっといいと思います。

自然なんだからしょうがないだろ、と言えるようなレベルを目指す本当のサバイバルキャンプをしたい人は、登山キャンプに近いキャンパーです。
ほったらかしサイトでもいいよ、と言ってくれる人たちは、よほどのベテランか、小さい子連れでは基本リスクの高い場所へは来ないです。
 キャンプ場として経営するなら、ファミリーが利用するような、ちょっとお外で生活したいという人たちが、どんな人でもハンディキャップがあっても安心して楽しめるように、キャンプ場のほうでも配慮して欲しいものです。
やっぱり、事件が発生したら、そのキャンプ場の利用は気がひけるし、客足は遠のくので、結局キャンプ場経営のためにもなります。

そして、逆にこれらのポイントは、これから子供を連れてキャンプをしたい人がキャンプ場を選ぶ時の参考にしていただけたら幸いです。


















サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す