羽織もの(羽織・コート・道中着etc)

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美容・ファッション
 着物を帯を締めた状態で街中を歩くことは、とても、みっともないことなのだそうです。
 へえ。としか。
 正式には、着物に帯を締めた状態が良いそうなので、上に羽織ものを着るのはNGなのだそうです。正装で街中を歩くことが良くないのは、何故なのかは、どこにも語られていません。どこの着物先生がおっしゃったのでしょう。
 つまり、どんなに寒くても、お葬式で羽織を着てはいけない。ということになります。
 どこかで読んだことがあります。

 おしゃれとはやせ我慢の境地にある、説。

 和装の喪服におしゃれもないだろうに。

 昔、着物と帯、そして羽織は必ずセットでお勧めされていました。喪服もそうです。五つ紋の黒に五つ紋の黒の羽織。
 ちりよけ、温度調節、帯、着物の保護、純粋におしゃれ、いろいろ、その役割はありますが、上からの羽織ものに格はありません。が、厳密に、本当に厳密にいうならば、仕立上の上下はあります。

羽織

 マチがあり、キセがかかります。キセをかけるのは、室内でも着用できますので、カーディガン的位置づけになるでしょうか。
 帯が見えるので、比較的改まった時にでも、着ていける、というのが私時代のTPOでしたが、今は、ダメらしいです。

コート

 立衿が付き、縫い目は割ります。主に塵除けに着るので、キセがあると、ほこりがキセに溜まってしまいます。出来るだけ、外の汚れ、忌みを持ち込まないようにほこりがするっと落ちるように、可能な限りフラットに作ります。なので、キセはかけません。
 縫い目が結界の役割をしますが、その結界を破ろうと縫い目部分に悪いものはとりつくのだそうです。ですから、屋根のある所では、コートは脱ぎます。室内に、家人に害をなすものを持ち込んではいけないのです。
 つまり、入学・卒業式の体育館では、コートは脱ぎましょう。羽織はOKです。
 襟の形にバリエーションが多いです。
 主なものは、道行衿、都衿、千代田衿(以上、はめ込み衿)、ヘチマ衿、被布衿(以上、折り衿)、着物衿(衿にはキセがかかり、折らないで着る)。
 コート≠道行であるが、道行=コートは成り立つ。

道中着

 羽織につくマチがなく、コートについている立衿がない、つまり、コートでも羽織でもない大変中途半端な羽織もの。
 近所のスーパーに着ていってもいいですが、百貨店に着ていくにはちょっと二の足を踏むのが、私時代のTPO。
 今は、立衿付きの道中着で、天で衿を折らない道中着衿のバチ衿という形があるらしいです。が、厳密にカテゴリー分けするなら、立衿がついている時点でコートで、形から広幅の着物衿、ということになります。
 ただ、立衿が付きながらも、衿が道中着衿、というのも、確かに存在するので、和装の世界では、大変自由な羽織もの、とも言えます。それ故に、なおさら、公には着にくい羽織ものでもあります。
 ひっぱりがこの形をしていることがあります。

被布

 立衿が付き、マチが付く、羽織としてもコートとしても着用が可能なマルチな羽織もの。ただし、帯が見えないので、格的には羽織に劣ります。
 中に、ちゃんとした帯ではなく、らくちんな兵児帯をしていてもわからないからという理由からで、その意味でご隠居の和装のように言われています。
 今は、主に七五三のセットとして認知されています。
 ちなみに、被布と被布衿コートは別物。被布にマチは付くが、被布衿コートにはつかない。被布はキセをかけるが、被布衿コートは縫い目を割る。その形から、被布は羽織に準じるが、被布衿コートは、室内では脱ぐコート扱い。ということになります。

 内緒ですが、巷の七五三のセットに、被布衿コート。と、あると、おいおい。家の中では脱ぐのかよ、って、内心突っ込んでることは、大いなる秘密。

雨コート(対丈のコート)

 雨コート、と表記しながら、読むときは、「雨ート」と、濁ります。雨コートは、基本的に、道行衿の対丈のコートです。対丈、とは、かかとまで隠れる絡げたり、おはしょりを取ったりしない、長い丈をいいます。男物の着物の丈や、お襦袢の丈は、この対丈になります。
 そのほかの襟型は、千代田の対丈のコート、都衿の対丈のコート、と、なります。
 今、着物衿の対丈のコートが流行りのようです。(令和3年6月現在)

男物の羽織もの

 男物で羽織もの、というと、ほぼ、羽織一択になります。法衣の業界では、被布、という、道行衿の身頃は羽織、というものがあります。
 トンビコートもあります。トンビコートは、インバネスコート、ともいい、これは、洋裁の範囲になりますので、和裁では取り扱っていないことが多いです。
 角袖コート、というものもあり、これは、お袖が人形なしのぶっつけで衿がステンカラーのコートになります。

                        以上(令和3年6月現在)
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