好きな本の話だ!

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好きな本の話をします。

そのまえに読書と国語について


私は国語の読解が出来ないから教科書を暗記するという、他の教科ならいざ知らず、国語科目において最も効率の悪い勉強法をしていたので、それくらいに国語嫌いでした。
オタクでよくいる「国語は何となく得意」「考えなくても解る」勢に本気でこのやろうと思っていた私です。オタクだからって読解力あると思うなよ!

そのくせ文章を書くようになったのは、授業以外の読書では、正解を出さなくてもよい、というのが分かったからです。

どれだけ正解から遠かろうと、「私はこう思った」というのを主張していいのが、二次創作という界隈で、「このお話は原作などには一切関係ありません」という注意書きで、私にとっての福音でした。
好きな感想を持っていい、発言しても良い、ということがわかって私は読書を楽しむことができるようになったのです。

今でも、読解問題は大嫌いだし、国語力があるかと言われれば多分ないほうだと思います。
そんな国語が嫌いな人間が話す、好きな本の話です。ちょっとズレててもそこはご了承ください。

まなざしの地獄 尽きることなく生きることの社会学
著者 見田宗介

アニメの元ネタとして紹介されていたのを考察サイトで見かけて読んだんですが、ものすごく感銘を受けました。
社会学、とかいかにも難しそうな話だと思ったんですが、読んでみたらまあ、面白い、面白い。
斬新だなと思ったのは、統計に対しての感想を述べている所でした。

たとえば、退職者側の主張する会社をやめた理由のうち何パーセントが○○で、会社側がきいた会社をやめた理由のうち何パーセントが××で~みたいな話があるんですが、そこから退職者側と会社側の辞めた理由が違っていることについて、どっちかが嘘をついているとか、どっちが本当かとかじゃなくて、「理由がすり合っていない」ことそのものについて問題を提起しているところ。
統計って、書いてあることを見て「へぇ~こういう人は何パーセントなんだ~多いなあ」とか「こんなのどうせ嘘言ってるに決まってるじゃん」とかそういう感想しか出てこなかった自分には、そこからまた、一段階先の「なんでそういうことが起きてしまうのか」というところまで踏み込んだ書き方がとにかくすごい、としか言いようがありませんでした。すごい。

そして、この作品で触れている殺人事件の加害者が全く他人とは思えない境遇だったこと、どうしてそういう人間が生まれ、事件が起き、なくなって行かないのか考えさせられる内容でした。
こんなに納得しちゃうことって滅多にないと思います。

ひき裂かれた自己
R.D.レイン
反精神医学という、なんかヤバそうな活動を行っていたお医者さんの本です。これ28歳の時に書いたってマジかよと思う。
私がこの本を手に取ったのは、やっぱりエヴァンゲリオンの考察で好きな作家さんが参考に挙げていたのが原因で、とにかく漫画やアニメから入るパターンが多いんですが、読んでいて泣いてしまいました。

当時、女子高生でした。
女子高生が、医学書読んで泣く?
それからレインの活動とかについても色々調べたりして、今考えればどうかなあ~って思うところも多々あるんですが、彼が訴えようとしたこと、解決手段として用いた方法は、完全に否定されるのではなく、現在の医療に応用できるところもあるものだと思うし、何より描かれた症例、そしてそれを解説するレインが真剣に向き合ってくれているということが、自分を慰めてくれました。

当時は頭がおかしいということを知らなかったんですが、それでも、自分がなんか変だな、と思っていたことについて、ものすごく的確に肯定してくれた言葉が書いてあったので、感動で泣いてしまった一冊です。

不良少年とキリスト
坂口安吾
これは読んだのここ四年?ぐらいで最近です。
勿論ゲームから名前を知った作家、この作品はなんと、ゲームの公式ファンブックに収録されておりました。

私は国語苦手マンなので、ブンゴーとか名前聞くだけで暗記した記憶に苛まれて頭が痛くなるんですが、不思議な事にゲームで描かれていた彼らがとても魅力的だったんですよね。

すると小説も読んでみたくなります。
これはエッセイ?随筆?なのですが、坂口安吾が太宰治の自殺に寄せて、芥川龍之介のことも絡めながら太宰治という人間について語る、というような話でした。

私はこれ読み終わった時ボロボロ泣いていたし、なぜかものすごく励まされた気分になったんですよ。

坂口さんが定義する、不良少年、そのいたましさが自分が嫌っている自分自身にピッタリ当てはまってしまい、それを優しい言葉で肯定されて、ついでにお叱りも受けたのです。
そして、死んだらいけないと、そう書いてくれた。

考えてみたら不思議な話です、百年ぐらい前に書かれた文章で、もちろん私に宛てて書いたわけじゃない、こんなアラサーを励ますための文章の筈ではないんですよ。でも、時間を越えてその優しさだけ心に染みた。
文豪、すげえわ……って改めて本を読もうと思った作品です。

蛙のうた
草野心平詩集

私は長文を読むのが苦手なので、詩人って好きです。大好きです。
特に好きなのがこの、草野心平です。
学生の頃はじめてつけられたあだ名がこの草野さんに由来するもので、身バレが嫌なので伏せますが、それ以来ずっと親近感を抱いておりました。

この人の蛙の詩がなんか好きなのは、蛙がすごく簡単に死ぬし、雑に扱われているんですが、イキイキしているところです。
悲しいことや嬉しいことがあったりして、誰かを憎んだりしながらも、当たり前に死んでいく。

人生の重さについての考え方がすごく好きだなあと思います。
それとオノマトペというか、蛙の名前の付け方とかの独特な響きが好き。
漠然と、私もこんな風に生きて、死にたいなあと思う一作でした。


まだまだいっぱいかけそうなんですが、今日はこれから外出するのでここまでにしておきます!



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