【連結決算】 連結決算 実務の流れ

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ビジネス・マーケティング
今回は、連結決算の実務フローについて、記載致します。
一般的な流れは以下の通りかと思います。

1)連結対象の確認
2)時価評価(海外会社などがある場合)
3)単純合算
4)内部取引の消去
5)資本連結
6)持分法適用会社の取り込み(該当会社ある場合)
7)未実現利益の消去
8)その他の修正(該当あれば)

以下、各項目の簡単に説明していきます。

1)連結対象の確認
連結する子会社の確認です。

別の記事で、連結範囲について、記載していますので、そちらをご参照ください。

2)時価評価(海外会社などがある場合)
 在外子会社がある場合は、決算書の通貨が日本円でないので、為替換算する必要があります。
換算するレートはルールがあり、一般的には下記となっています。
P/L(損益計算書):期中平均レート(Average Rate)
 ⇒決算期間中を通じた平均レートです。
B/S(貸借対照表)の資産・負債:期末日レート(Current Rate)
 ⇒決算期末日での一時点のレートです。
B/Sの純資産項目 :取引発生時レート(Historical Rate)
 ⇒ここが若干ややこしいのですが、各純資産の項目を発生したタイミングのレートで換算していくというものです。
 例えば、
 資本金、資本剰余金: 出資したときの為替レート
 利益剰余金:連結対象後から毎期のARを積み上げたもの、また配当した場合には配当金実施時の為替レートになります。ですので、全額配当した場合でも外貨額はゼロとなりますが、円ベースでは、残額として若干のプラス・マイナスの額が残る場合もあります。

この手続きの最後となりますが、B/Sを円換算した際に資産・負債と純資産の為替レートが異なるため、円貨ベースでは、まさかのバランスしないという事態になってしまいます。この場合は、アンバランスな部分を「為替換算調整勘定」という科目を用いて、純資産の科目として扱われ、無理やり調整します。
また、機会があれば解説したいと思いますが、潜在的な為替影響を表しています。

また、海外・国内関係なく、連結加入時には時価評価をする必要があります。
なんでもかんでも時価評価できることは少ないので、土地などの固定資産とか投資株式を持っているときに評価しなおすって感じでしょうか?
その差額は純資産の「評価差額」として扱われ、資本連結時に損益処理がなされます。

3)単純合算
こちらは文字通り、親会社・子会社の財務諸表を合算します。
単純に足し算するだけです。


4)内部取引の消去
こちらは、連結している会社間での取引相殺となります。
親会社⇔子会社、子会社⇔子会社 間の取引です。
この内部取引を相殺しないと、例えば親会社と子会社で同じ取引を大量に反復した場合に、金額規模が大きくなり、実態以上に大きく数値をみせることが可能で、ステークホルダーに誤解を与えてしまう恐れがあるためです。

相殺対象となるので、連結間での取引がすべてとなりますが、主項目として
・売上・仕入の相殺(役務提供の収入とかも含む)
・債権(売掛金など)・債務(買掛金など)の相殺
・支払配当と受取配当金の相殺(ここは損益影響があります。)
など

投資と資本の消去も大きな括りでは内部取引の消去と位置づけられますが、かなり煩雑な処理になることが多く、別途項目分けられることがほとんどです。

また、往々にしてあるのが、消去する際にお互いの金額が異なるケースがあるということです。
親会社が子会社への売上100の場合でも、子会社側は仕入れ90しかしていません、という状況がよくあったりします。
原因は、どちらかの帳簿記載ミス、親会社の売上10部分が出荷したけど、子会社に届いていない出荷期ズレなど、さまざまなケースが想定されます。

こちらは実務するうえでは重要性基準などを設けている企業がほとんどで、
その基準以上であれば調査し差異を解消しようとしますが、基準以下であれば、差額があっても無視するといった対応がほとんどです。

5)資本連結
ここが連結決算の醍醐味といってもよいもしれません。
というか一番の難関です。簿記1級でもここの理解が難しく、問題解いてもわからない、答えみてもよくわからない、という方が多いのではないでしょうか?

ここは長々記載しても理解してもらえませんし、このページで理解してもらえるように記載するのは無理なので、詳細は割愛しますが、ポイントとして、
「支配獲得時」と「支配獲得後」の処理を区分し、持分推移表を作成することです。
子会社1社ごとにこのやり方を続ければ、あまり混乱なく整理することができます。実務がわからない方もこのあたりがごっちゃになって、わからなくなっているのだと思います。

上記を徹底できていれば、例えば第三者割当増資などもあった場合でも、実務上は通常増資と一部売却という2つの処理に分けることにより対応できますし、持分推移表がないとむしろ無理だと思います。

「支配獲得時」
いわゆる、連結支配獲得時に行う、投資と資本の消去を意味します。
親会社側は投資勘定(子会社株式など)を
子会社側は純資産項目をそれぞれ反対仕訳を行うことにより、連結消去を行います。ただし、ややこしいのが、少数株主(非支配株主持分)や投資と資本勘定が一致しないケースがあり、連結上特有の「のれん」」「負ののれん」が発生したり、など理解が難しい論点があります。

「支配獲得後」
資本勘定に動きがなければ、子会社の当期利益を淡々と出資持分だけ取り込んでいきます。持分以外は、少数株主持分に振り替えていきます。
ただ、増資や一部売却など資本の動きがあった場合は、支配獲得時のような処理を都度する必要があり、毎期の持分推移表管理が重要になります。

こちらは、この辺の説明でいったん終わりたいと思います。まだまだ語りたい論点はありますが、文字だけではうまく説明できる自信がないので、またページ別途作りたいです。


6)持分法適用会社の取り込み(該当会社ある場合)

持分法の処理となります。
こちらも基本的な考え方は、上記の投資と資本の消去と同じになります。
ポイントも全く同じで、「支配獲得時」と「支配獲得後」の処理を区分し、持分推移表を作成することです。

違いは、子会社の資本連結が引き算のイメージに対し、持分法は足し算のイメージとなります。
そのため、全く同じ持分比率で子会社で処理する場合と持ち分法で処理する場合、最終損益と純資産影響は同じになります。
持分法は、B/Sを取り込まないため、資産・負債を合算しない、P/L上の取り込みが営業外となるため、各利益レベルでは違いがありますが、当期純利益と純資産影響は同じになります。

こちらも上記同様に文字で説明しだしたらきりがないので、この辺で終わります。


7)未実現利益の消去

こちらはP/Lの利益額に大きな影響を与えるため、個人的には一番気を付けている論点の未実現です。
大きく2つの論点があります。
・棚卸資産未実現
⇒連結会社間で売買した後、連結内で在庫として残っている場合、在庫額には連結内で売却した際の利益が乗っかっており、それを消去しましょう、という考え方です。本支店会計の未実現利益消去と同じ考え方です。
 また、ややこしいのですが、親会社から子会社をダウンストリーム、子会社から親会社・子会社をアップストリームと呼ばれ、処理が異なります。
というのも、アップストリームの場合、子会社に少数株主がいる場合には、少数株主の帰属部分も消去されると考えられ、その調整も必要になるためです。

また、個々の売買取引で利益額も変わっていたり、どの売買分が在庫に残っているかもわからない等の実務的な煩雑という観点もあるので、未実現対象の在庫を把握するために推定計算をすることがあります。

また余談ですが、低価法などの場合は未実現が実現したとみなす論点もあります。また、上述の内部取引の消去の観点で、連結間で消去できない差異があり買掛金を調整する場合に、相手勘定である仕入も同様に調整されます。その仕入れは連結会社からの在庫となります。そう、未実現対象の在庫となってしまう点も注意が必要です。

・固定資産未実現
⇒固定資産を連結間で売買した場合、売却損益を調整しましょう、という論点です。
ここも論点があり、償却資産の場合は償却を通じて未実現利益を実現させていくや、未実現利益の消去では税務上とずれが生じるため、税効果の対象にもなります。棚卸資産の未実現も対象ですが、こちらは一年の洗替法が一般的なのに対し、固定資産未実現は保有期間が長いこともあり管理が煩雑となります。

また棚卸未実現と合わせて少数株主の論点が合わさったときは頭が混乱します。個人的には一番奥が深いなと思っている論点です。
ちなみに、連結上の税効果の考え方は、繰延法という単体決算とは違いますので、こちらも注意が必要です。もうややこしすぎますね。

8)その他の修正(該当あれば)
ここは該当あればになります。
あんまり思い浮かびませんが、私の知る限りの調整としては、例えば、
・個社決算では考慮しないような連結上での損失引当計上
・債務超過の少数株主持分調整(債務超過した場合、純資産マイナスとなった金額は、有限責任の観点により少数株主に負担させない。親会社も同じですが、そこは社会的責任というやつでしょうか。)
・留保金課税の税効果
 ここも考え方が難しいですが、親会社の子会社投資勘定と連結後の帰属利益では、支配獲得後の利益分が上乗せされています。それを留保金利益と考え、将来の売却などに課税されることから一時差異に該当し、具体的な留保金が解消される自称が近い将来に予定されていた場合に税効果を計上せよ、という煩雑な処理があります。実は配当金や来年に売却するよという会社決定がある場合にはこれに該当し、会計監査人からあとから指摘され、ごめんなさいする典型的な処理といえるかもしれません。


以上、長々と記載しましたが、かなり説明を割愛したところもあり、よくわからない方も多いかともしれません。
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