【国家資格キャリコン面接試験ポイント・その7】口頭試問の捉え方

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こんにちは、キャリアコンサルタントの高橋と申します。
このブログでは国家資格キャリアコンサルタント試験のポイントについて語っていきたいと思います。

前回は国家資格キャリアコンサルタントの面接試験における基本的態度について取り上げました。ここまでで一通り面接試験のポイントについてはお話ししてきました。

しかし、面接試験にはもう一つやらなければならないことがあります。それが口頭試問です。ここはCC協議会の「自己評価」の評価項目が該当します。

口頭試問では面接ロールプレイの内容を振り返り、試験官の質問に答えます。口頭試問の時間は5分ということになっていますので、概ね3~4問程度の質問がなされると思っておいた方がいいですね。

この質問内容についてですが、予め決まっている場合が多く、事前に準備しておくことである程度の対策をすることが可能です。
そこで、今回は良くある口頭試問の例を元に、どのような答え方が求められるかを考えていきたいと思います。

そもそも、まず前提として口頭試問がなぜ行われるのか?について考えてみます。

それは面接で行ったことをキャリコンは意識してやっていたかを確認するためで、これを「自己一致」と呼びます。良くある話ですが、面接ロールプレイではたまたまうまくいったとか、なんとなくできたということが起こります。しかしこれはその人の実力とは言い難く再現性に問題があります。そのため、口頭試問で面接ロールプレイの内容を振り返ることでキャリコンが意識してやっていたこと、やろうとしてできなかったことなどを確認するのです。

ですので、面接ロールプレイで自分が何を行い、何ができなかったのかを把握しておくことが最低限必要になります。それも、口頭試問のケースを把握しておくことで面接ロールプレイ中の何を覚えておかなければならないかをある程度絞り込むことができます。

良く言われる口頭試問の例には以下のようなものがあります。CC協議会、JCDAで質問の内容に若干の違いはあるようですが、概ねこのような質問になることが多いようです。

1.今回のロールプレイで良かった点、改善したい点は何でしょうか?
2.相談者と信頼関係は築けていましたか?その理由を含めて答えてください。
3.相談者が訴えている問題は何でしょうか?キャリアコンサルタントであるあなたが捉えた問題は何でしょうか?
4.ここから先、相談者と関わっていくとしたらどのように支援してきますか?
5.どのようなキャリアコンサルタントになりたいとお考えですか?

それでは、1つずつ見ていきましょう。


1.今回のロールプレイで良かった点、改善したい点は何でしょうか?
この質問は、キャリコンが面接ロールプレイで実施したことを振り返る内容です。この質問のポイントは、【実施したこと】の中で良かった点、【実施したこと】の中で改善したい点を答えるのですが、どちらも【実施したこと】なのです。

面接ロールプレイでキャリコンが15分で対応したことは「実施したこと」になります。それを意識してやっていたかどうかが分かっていれば、面接ロールプレイの中で良かったことと改善したいこと分かるはずです。この改善したい点というのは悪かったことと捉えることもできます。悪かったからこそ改善したい点になるのです。

そして、試験官は面接ロールプレイを見ていればキャリコンができていたこと、できていなかったことはある程度客観的に判断できます。その内容と受検者であるキャリコンが捉えているできたこと、できてなかったことのズレを少なくすることがこの質問の得点を上げるカギになります。

そのため、対策としては自分のやったことを振り返るところから考えます。基本的態度はどうだったか?関係構築は?問題把握は?合意形成は?目標設定は?方策実行は?それぞれを振り返って自分なりにうまくいったと感じた点、うまくいかず改善したいと感じた点を探し出し、それを言葉にします。また、別の方法として、自分なりのテーマを決めておくということもアリだと思います。例えば、

「今回の面接ロールプレイは相談者に寄り添うことをテーマに行いました。相談者が本音を吐露してくれた点は良かったと考えております。一方、面接の後半になると話を前に進めてしまうあまり、少し傾聴がおろそかになっていたよう感じており、そ子は改善したい点だと考えております。」

のような答え方ができるのではないかと思います。


2.相談者と信頼関係は築けていましたか?その理由を含めて答えてください。
この質問は関係構築を問う質問です。信頼関係が築くためには傾聴による受容・共感の振る舞いが必要になりますが、それをやっていたかどうかという点が一つのポイントになります。まだ、何をもって信頼関係が築けていたかも答えなければなりません。

最初の受容・共感の振る舞いをやっていたか?という点についてですが、ここはどのタイミングで受容・共感をしていたかを考えてみてください。一般的には相談者が来談経緯を話すところから傾聴はスタートしています。この時、相談者の何に傾聴したでしょうか?何に寄り添おうとしたでしょうか?それが分かれば、「転職かこのまま仕事を続けようと悩んでいる相談者の気持ちを丁寧に受け止めることで信頼関係が築けたと考えております」のような答えが出せると思います。

そして、何も持って信頼関係が築けたか?は相談者の反応を根拠にします。相談者が心に秘めていたことを吐露された部分にフォーカスしても良いでしょう。また、こういった大きくうなづいてくれた、明るい雰囲気になったのようなノンバーバル(言葉以外)の点をあげることもあるでしょう。その根拠となる部分はできる限り試験官にもわかるようなモノを選んでいただいた方が得点にはなりやすいのではないかと思います。


3.相談者が訴えている問題は何でしょうか?キャリアコンサルタントであるあなたが捉えた問題は何でしょうか?
これは問題把握の部分ですね。相談者視点の問題、キャリコン視点の問題を答える所です。ここで注意したいポイントは「端的に答える」です。試験管の中には「端的に答えてください」と言われる方もおられるようです。

ここは常日頃から面接ロールプレイの練習を行った際に自分で相談者視点、キャリコン視点の問題を言えるようにしておく練習が有効です。そのためには過去に行った面接ロールプレイの録音データなどがあればそれを使い、一通りその内容を聴き、その上で自分の頭で相談者視点、キャリコン視点を口頭で話してみるのです。

ここで大事なのは「口頭で話す」ということです。口頭で話すためには話を聴きながら自分の頭の中で整理しなければなりません。これは録音データを聴きながら紙やPCに書き起こすようなやり方では身につきづらいのです。そのため、ここは何度も練習して自分なりの言葉で相談者視点、キャリコン視点が語れるようにしておきましょう。


4.ここから先、相談者と関わっていくとしたらどのように支援してきますか?
これは具体的展開力の質問です。凡そ、15分という時間で面接ロールプレイを終わらせることはできないと思います。そのため、15分で終わった面接ロールプレイをあなたが引き続き行うとした場合、どのような対応を取るのかを答えます。

ここは最初の問いの「実施したこと」ではなく「実施してないこと」を答えます。それは、システマティックアプローチ・モデルで終わらなかった所の説明をするということです。

多くの方は問題把握のあたりで時間切れになると思います。だとすれば、ここから先に行うことは、

・キャリコン視点の問題を相談者と共有すること
・次に、目標をどこに置くか?
・最後に、目標に対する方策をどのようにして決めていくか?

凡そこの3つになるので、これらについて答えることができればと思います。

この内、問題の共有はその言葉の通りなのでそのままの言葉を使えばよいと思いますが、目標については相談者が自立/自律し、自ら前に進んでいけるような目標であらなければなりません(この辺は具体的展開力の回で書いています)。そこを意識した回答が求められます。

そして、方策についてはキャリコン視点の問題を解決するための具体的な方法を、面接ロールプレイの中で出た情報を元に答えていくのが無難だと思います。


5.どのようなキャリアコンサルタントになりたいとお考えですか?
この質問は意見の分かれる所ですが、評点には含まれないという意見があり、私も基本はその考えに賛成しています。

ただ、この質問はキャリコンとしての振る舞い、つまり基本的態度に該当する質問でもあるので、キャリコンの倫理に抵触しない内容にすべきだと思います。例えば、

「私は社内でキャリコンをやっていますが、会社にとって必要な人材を育成するため、キャリコンとして活動をしていきたいと思います」

のようにしてしまうと危ういかもしれません。
ただ、この質問はあらかじめ用意できる内容でもあるので、いざというときのためにご自身の言葉で準備しておいた方が良いと思います。


ということで、今回もかなり長くなってしまいましたが、口頭試問の捉え方についてざーっとお話ししました。
口頭試問は練習が可能な所なので、ぜひ何度も繰り返し練習し、ご自身の言葉を作り出しておかれると本番でも活きてくるのではないかと思います。
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それでは、またお会いしましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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