最大筋力と随意最大筋力

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最大筋力と随意最大筋力
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筋が発揮できる最大筋力は筋断面積によって決まる。しかし実際には人間の出す力はその人の意思によるので、発揮できる最大筋力はそれほど簡単に機械的には決まらない。そのためヒトの最大筋力を随意最大筋力とよび、筋断面積あたりの最大Poとは区別している。随意最大筋力の発揮を指令するのは大脳運動野で、ここから出た信号は小脳などで修飾されたり、さらに末梢から反射で増強や抑制されたりするので、電気刺激によるPoが全ての筋繊維が活動した場合の筋力とみなした場合、随意最大筋力がそれよりも小さくなることは容易に想像できる。随意最大筋力にはいくつかの要因が関与しているようだ。

MRIを用いて、パワーリフティング選手と一般女子学生の大腿中央部の横断面像を撮影したものを、それぞれ筋断面積当たりの筋力を算出すると、断面積あたりの最大筋力で見れば大差がない。つまり随意最大筋力はやはり断面積で決まるとなる。しかし細かくみていくと、筋断面積当たりの筋力もパワーリフティング選手の方が高い値になっている。
上腕の屈筋の断面積と筋力関係を調べた報告によると、筋力は男女問わず筋断面積に比例するが、バラツキもかなりあるようだ。このことからも、ヒトが意思によって発揮できる筋力は、筋断面積の大きさに機械的に比例せず、筋断面積以外にも随意最大筋力を決める別の要因があるのであろう。
筋は驚異的な能力を持っていて、人間の身体の全ての筋が同時に働いてしまうと腱や骨が折れてしまう事になりかねない。そのため、神経系がうまく筋を調整している。筋力発揮には、中枢神経による抑制が働いていて随意最大筋力は、最大筋力の70%程に抑えられていると考えられている。では神経系の抑制を低減したり、筋力調節の仕方を変えたりする方法には何があるのだろうか。
まずはトレーニングである。筋力トレーニングを開始すると初めのうちは筋肥大を伴わずに筋力の著しい増加がおこる。つまり筋断面積あたりの筋力が増大する事になる。パワーリフティング選手が一般女性よりも断面積あたりの筋力が少し大きいのは日頃からトレーニングを行ったためだと思われる。
次は薬物。中枢神経系を刺激する興奮剤や覚醒剤を用いると抑制低減が起こる。しかし使用は個人的にか規定の範囲内であれば使うように…。
もっと一般的なものには、「シャウト効果」というものがある。シャウトをあげて筋力発揮をさせるようにした場合、発揮筋力がやや増加するようである。
そして最後に、速筋繊維と遅筋線維の筋繊維組成である。周知の事実であるが速筋の最大短縮速度は遅筋の2倍である。また筋収縮のスイッチを切り替えるためにカルシウムイオンが筋小胞体から放出、再吸収する過程の速度も速筋が速い。そのため短縮速度、張力の立ち上がり速度、弛緩速度も大きくなる。
では、速筋繊維と遅筋線維の力発揮能力には差があるのであろうか?実は速筋繊維ミオシンと遅筋線維ミオシンの間では力発揮能力にはあまり差がないので張力で考えると大差がない事になる。が、遅筋線維内にはミトコンドリアなどの細胞器官が多く、断面積あたりに含まれるミオシン分子数が少なくなり、その分10%〜20%程、張力が変わってくるのである。このことから、同じ筋断面積であっても速筋繊維の割合が多ければ、断面積あたりの張力も若干高くなる事が考えられる。
おまけ(httpwww.strengthandconditioningresearch.com/articles/ さんからの画像引用ですが、どこの記事だったか忘れました。)
単一筋繊維あたりの発揮張力は、速筋繊維が遅筋線維よりもおおよそ18%高くなる傾向がある。

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