校正者が見たから大丈夫!…なのか?

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こんにちは。校正・校閲のサービスを出品中のみねパセリです。

文章の正しさは、内容だけではなく発信者の信用にも関わります。たとえ大した影響がなくても、頑張って書いたものにミスがあったら単純にがっかりしますよね。
そんな絶対間違いたくない方のお役に立つための文章チェックのエキスパート・校正者ですが、果たして、校正者ってどれくらい信用できるのでしょう? 校正者に依頼したら、あとはほっといても安心なのでしょうか?

「校正者の仕事」においては頼れる

誤字脱字、言葉の誤用、表現のミス、内容の矛盾などを発見する「校正者の仕事」に関しては、校正者は普通の人よりずっと質の高い仕事ができます。
校正者は頭の中に、知識や経験から蓄積された「このミスが出たらあっちも疑え」「この字はよく間違う」「この言葉は誤用が多い」「ここは見落としがち」といった校正あるあるデータベースを持っています。見るべきポイントを押さえた文章の読み方も分かっています。

また、前提知識や思い込みに左右されない第三者の目線を加えるという点でも、校正者に依頼する意味は大きいです。

ただし、校正者は「文章何でも屋」ではありません
「校正者の仕事」の範囲がどこまでなのかを理解していないと、「ちゃんと直してくれなかった」「責任感がない」と不満を持つことになります。
誤解されることも多いので、以下の校正者の限界を知っていただくのが大切かなと思います。

大前提! 校正者も人間

言ってみたいセリフ第1位「私が来たからにはもう安心だ! 一つたりともミスを逃しはせん!」――しかし残念ながら、校正者も完璧ではありません。
普通の人と比べて精度がとても高いだけで、100%ではないのです。

開き直りはしませんし、常に完璧を目指していますが、どれほど注意してもやらかす時はやらかします。校正者を養成する講座のテキストにも、校正者が書いた文章にもミスは存在します。
また、人より知識が豊富でも、世の中の全ての言葉や漢字を網羅しているわけではありません。経験やこだわりによっても校正結果には差が出てきます。

校正者の意見が唯一の正解ではないことを踏まえて、校正結果を見直すのがポイントです。

実は権限がすごく小さい

「校正者に依頼すれば、素晴らしい文章が戻って来るはず!」と期待されているなら、それは間違いです。
校正者にできるのは、渡された原稿に意見を出すことだけ。文章を書きかえることはできないのです。
その意見をどこまで受け入れ、原稿をどう直すのかは、著者や編集者が判断します。

作成済みの原稿を扱うのですから、当然、企画や構成など原稿作成に関しても一切手出しできません。
つまらない企画を面白くしたり、受賞レベルに引き上げたり、続きを考えたりといったことには、校正者はお役に立てません。
(※ココナラの出品者には、そこまでやってくれる人もいます。)

変な文章が世に出ると、「校正者は何やってたんだ!?」とよく言われます。
もちろん手抜き校正の可能性もありますが、出した指摘が反映されなかった、そもそも校正でどうこうできるレベルの文章じゃなかった、という可能性もあるのです。

内容については専門家ではない

ファクトチェック(事実確認)の結果をお伝えすると、「すごい知識ですね! 」と驚かれることがありますが、実はだいぶ付け焼き刃です。
博識に見えても、校正者の知識の深さは専門家には到底及びません。

だって考えてもみてください。
著者が何年も携わってきた仕事や愛してきたもの、常に考えていることや直接取材したことをもとに、たっぷり時間をかけて書いた文章を、校正者は数日~数週間でチェックするんですよ。ものによっては予備知識ゼロの状態で。

専門誌の専属ならまだしも、フリーの校正者が扱う文章は中身も読者も実に様々。何が来ても粛々と校正するのみです。
できる限り下調べや裏取りはしますが、校正者がカバーできるのも求められるのも、あくまで「広く浅く」なのです。

関わる工程はごく一部

記事が世に出るまでの手順は、
①企画立案→②アポ取り→③取材→④原稿作成→⑤レイアウト→⑥校正・校閲→⑦修正→⑧印刷・サイト掲載→⑨発行・発表
みたいな感じでしょうか。

校正者が関わるのは⑥⑦あたり。⑥だけということもあります。
⑥⑦は大抵何度か繰り返しますが、1回目だけ校正者が入り、2回目以降は著者と編集者でやるとか、毎回校正者が変わるとか、やり方はいろいろです。
なんにせよ、工程の大半にはノータッチなのです。

多くの場合、校正者はこの形の原稿が出たいきさつを詳しく知ることも、出した指摘の行く末を見届けることもできません。発表されたものを見て初めて、どう直されたのかを知ることもざらです。
自分が出した指摘は直ってるけど、それによって新たにおかしい箇所が生まれてしまい、後の工程で誰も気づかないまま完成しているのを見てしまった時のやるせなさったらないですよ。

そうならないために、校正者が関わらない工程でも誰かが文章を確認する必要があります。

責任は著者や発行者にある

ミスの見落としがあった時、校正者は責任を感じて激凹みしますが、刷り直しの費用を負担したり、読者のクレームを受けたりすることはまずありません。
信用を失い、ギャラが減ったり仕事をもらえなくなったりするかもしれませんが、それは文章に対する責任ではなく、自分の仕事ぶりに対する責任です。
文章の責任は著者や発行者が負います。

「えー、何か無責任じゃない?」と思われそうですが、忘れてはならないのは、責任には利益も伴うということです。
関わった本がベストセラーになっても、校正者は売上や印税を手にすることも、華々しくメディアに登場することもありません。責任を追及されるいわれもない代わりに、利益を要求する権利もないのです。

文章の責任と権利を持つ人が、「依頼した校正者は信用できるのか」を最終的に判断することになります。


人間はどう頑張っても100%にはならない以上、複数の人が関わって補い合うしかありません。
特に校正においては過信は禁物。他人の意見はもちろん、自分の目も常に疑うという姿勢で臨むことが大切です。

校正者による高精度の文章チェックをぜひどうぞ。
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