「何よりだめなドイツ」

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コラム
ドイツ関連本紹介第二弾。・・・いやぁ?ただ単に悪口言いたいだけかな。
悪口を言わない!愚痴は言わない!いつも笑顔でハキハキお返事!・・・品行方正な方々と違い、私のような小人は悪口好きなんです。ごめんなさい。

そんな私にとって「何よりだめなドイツ」、素敵すぎるタイトルです。
原題はDeutschland,Deutschland unter anderm
これはエンツェンスベルガーの評論集です。けっこう古い本です。
東西ドイツ時代、西ドイツから彼は、祖国が分断されている状態にいます。祖国が分断されている、それも戦争なんぞによって。

アマゾンとか中古で出てるかもです。図書館などの奥の方にあるかもしれません。ご興味のある方はぜひ一読ください。
今回は、この「何よりダメなドイツ」で私が「おぉ~」と感じた部分だけ簡単にご紹介しますね。

この方のオリジナルな視点なのかどうか分かりませんが(すまん、勉強不足でいろんなことが知らないままだったりします)、共感できたのは、ヨーロッパがいまだに植民地主義だという点です。
私もそれについてはちらっと思ったことがあるので、「ドイツ人でもそう感じていた人がいたのか!」とちょっと驚きを覚えました。

植民地主義・・・乱暴な言い方になりますが、足りなければどっかから分捕ってくればいい、という考え方のことです。
古代ローマ時代から、ヨーロッパはそういう思想で回っています。
現在でも、ご本人たちが意識していないところで植民地主義バリバリだったりします。非ヨーロッパ人は全員知っているが、当のヨーロッパ人が気づいていないヨーロッパ人の特徴とでもいうんでしょうか。

先進国だとかG7だのなんだのと言っているけど、それってどういうこと?って彼は突っ込んでいるですね。
先進国ってなんやねん!って。後進国ってどういうことやねんって。
つまり、欧米化していないと先進国とは呼ばれない。遅れているとみなされる。
これっておかしくないですか?ってドイツ人が言ってるのがすごいと思ったのです。
例えば、どこかの国や民族が、昔ながらのその地方・地域のやり方を守って平和に暮らしているだけなのに、そのやり方を捨て、欧米化しないとちゃんとした国だとは認められない、みたいな。

その国らしさで発展していくことだってできるはずじゃん。
何も欧米化するだけが先進じゃないでしょ?って。
だけど、多くの欧米人は「自分らのやり方を真似しない奴はみんな野蛮」だとでも思ってるんじゃないですかね。野蛮な奴らはちゃんと教育して導いてやらないといかんとでも思ってるんじゃないですかね。
自分たちの基準、規格に当てはまらないものは全部ダメ。こっちの基準に合わせないなら取引しないから!金と武力と情報操作でほかの国を支配・コントロールすることなんて簡単だしな!
・・・すげえヤクザもいたもんだ。

今となっては、欧米化しないという選択の方が、もしかしたら生存確率上げるかもしれません。
確かに100年前は、欧米化しないことを選んだ時点で負け決定、格好の餌食になりました。
だけど、この先ちらっと見えてきた欧米の没落で、欧米化しなかった方が生存確率上がってくるのです。日本なんて、欧米の一員じゃなくアジアなのに、欧米と共倒れになってしまいそうですよねぇ。今のうちに方向転換の余地を残しておくべきだと思います。
もしかしたら手遅れなのかもしれませんが・・・。
それでも、数年前からの縄文ブームだとか、アイヌの文化や暮らしが注目されてきたりするし、地域再生などで若い人たちが頑張っていたり、コロナの後のお祭りの盛り上がりを見ると、ポテンシャルはある。
まだ日本には、戻れる場所がある。

進化の歴史と同様です。
たいていの場合、常識的な多数派が生き残るケースの方が多いんですけど、「ノアの箱舟」の伝説のように、時々天変地異などが起こると変わり者の少数派だけが生き残る。
だからこそ、いざという時に備えて、少数派をつぶさずにいることが大事になってくる。

「みんな違ってみんないい」だとか、そういう「みつを」さんみたいなことを言いたいわけじゃないんです。
それぞれがそれぞれの戦略で前に進むことができる、その可能性の多さ、多様性が大事だということを言いたいのです。

変な制限つけて仲間外れにしたり、同調圧力かましたり、そういうこと、あんましない方がいいんじゃないの?
ルール違反するやつとか、空気読めない変なやつとか趣味がキモい奴でも、居場所は残してあげた方がいいんじゃないの?全部排除しちゃうより、何かの役に立つこともあるんじゃないんだろうか?
少数派は少数派として、存在できる余地を残しておくことが必要なのだと思うのです。
スマホじゃなくても、ガラケーすら持ってなくても、ちゃんとした社会生活が送れる世界の方が私は「まっとう」だと思いますけどね。

選択肢が多い方がいい。すべてを選べるわけじゃないから、余計に選択肢だけは多い方がいいのです。
様々な可能性がありすぎて、選べなくて困っちゃう、こんなことなら誰かから「これを選べ」と命令されたいと思っている恵まれた人もいるかもしれませんが・・・
それしか道がないと切羽詰まった人間は、絶望的になり、自暴自棄になり、とんでもない犯罪でも平気でやってのけるような精神状態にまで追い詰められます。

これは個人レベルだけじゃない、民族・国家レベルでも同じです。
欧米化する以外の道がないと思わされた時点で、戦争は必然だった、ということになります。
・・・スマホを持っているのが前提、スマホなしには生活できなくなる。そんな状況って異常事態じゃないですかね?
スマホのことに限らないのですけどね。

そして、さらにこの「先進国」「後進国」問題。
先進国認定・後進国認定することで、国としてのGDPだのなんだのと国家間の競争にフォーカスされてしまい、国内の問題から目をそらされてしまう、と。
例えば、国内で貧困化が進んでいるという事実が、国際的な問題を前にすると大した問題に見えなくなってしまう。
日本の若者の貧困化が大変!
GDPで韓国に抜かれた!
多くの人は、隣の若者の貧困より、「日本国」がお隣の国に負けた方が重大問題だと感じてしまうのです。

そして、エンツェンスベルガーは左側の人なので・・・国家間競争に意識が向いてしまうことによって、本来するべき「国を超えた労働者の団結」や「国内での階級闘争」がおろそかになってしまうじゃないか・・・と。
国家間の競争。
日本の場合、韓国や中国にに勝ったの負けたのの話となると、それが経済だろうがオリンピックやサッカー、野球の話だろうと、日本国としての視点しか持たなくなりますよね・・・
そこに目くらましがあるのではないか、そんな気がしてきます。

私自身は、どっちかというと考え方的には保守的じゃないですかね。共産主義に対してはネガティブなイメージしか持ってないです。当然、環境問題や男女平等についても保守的な考え方になってしまっています。
右派は熱量が暑苦しい。左派はネチネチめんどくさい・・・。その程度です。というか、ちゃんと勉強したことないから自分が右派なのか左派なのか分かんないです。
「何よりダメなのはオマエだ」と言われそうですね。。。

右左とか関係なしに、エンツェンスベルガーのような視点を持つヨーロッパ人がいることが、やっぱりドイツすげえなと感じさせるのですよね。

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