茂吉の猫の謎

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コラム
私が小学生の時です。
国語の教科書に「茂吉の猫」が載っていました。
私の記憶では、茂吉の猫は義理堅い猫だったはず・・・。
記憶を頼りにそのお話のあらすじをご紹介しますね。

茂吉は(多分)独身、一人暮らしです。一匹の猫をかわいがっていた。
その猫は、夜になると出かける。そして、ここ最近、その猫がボコボコにされて帰ってくるようになった。
茂吉は、猫が死んでしまうのではないかと心配になり、ある時、猫が夜中に出かけていくと、その後をつけた。
そこには、たくさんの猫が集まっていた。
そして、その猫たちは「次は茂吉のところに襲撃に入る」と相談をしているのだった。
茂吉の猫は「茂吉はいいやつだ、だからオラはイヤだ」と断っていた。
それで、茂吉の猫はボコボコにされていたのでした。
茂吉の猫は最後まで茂吉をかばい続け、そしてとうとうボコボコにされ尽くして死んでしまったのです・・・。

幼い私は、猫にも忠義というものがあるのだなぁ・・・などと思ったものです。おそらく、教科書に載っていた理由もその点なのではないでしょうか。
茂吉の猫は「おら、やんだ」と何度も断っていたのでした。
どんなにほかの猫たちから言われても、殴るけるの暴行を受けても、茂吉はいいやつだから、「おら、やんだ」とがんとして首を縦にふらなんだ・・・。
ぽろり・・・と泣ける話だったはずなんです。
命をはって茂吉を助けようとした、いい猫さんだったんですね。

ところがです。
最近、私、実家にいるんですけどー。
実家に「日本の民話」というシリーズ本がありまして、角川書店の全12巻のものです。
茂吉の猫が出ているのは、7巻の「妖怪と人間」の民話を集めた巻です。
その他、大蛇や大蜘蛛、牛鬼、あずきとぎ、座敷わらしのお話、船幽霊、妖刀のお話まで入っています。
ぱらりと中身を見てみたら、「茂吉の猫」がのっている。懐かしいなぁと思って読んでみたら、内容がずいぶんと違っていたのに驚きました。

まず、茂吉の猫、酒飲んでました!
童に化けて、茂吉のはんてんを着て、酒屋へ行き、「後で茂吉が銭っコ払う」と言って酒をかっぱらってたんです!
で、茂吉がそれを知って、その童をボコった。
茂吉の猫をボコにしたのは、茂吉の方だったんです・・・。

ボコボコにされつつも、猫の集会に顔を出した茂吉の猫。
「茂吉にボコられて、歯が折れた」と訴えた。
それでほかの猫たちと相談し「茂吉を殺すか」ということになり、殺す算段をしたんですね。
こっそりその集会の様子を見ていた茂吉は、その殺害計画を知り、難を逃れたというお話になっていました。

これ・・・相当話の筋が違っているんですけど、どっちが本当のお話なんでしょうね。
「本当は怖い〇〇」というシリーズが昔よくありましたが、日本の民話も相当改変されているんですね。
民話というのは、もともと文字ではなく口語で伝えられているため、途中、語り手のその場の判断や思想、思いなどが織り込まれ、オチが違ってきたり、設定が変えられてしまったりするのが普通です。
様々なバージョンがあって当たり前なんですけどね。

茂吉の猫が「いい猫」だと思っていたので、なんかびっくり。
だけど、人間をかばって死んだ猫という美談より、「茂吉が銭っコ払う」とお酒かっぱらう猫の方がイキイキしてていいですね(笑)

「茂吉の猫」は秋田の阿仁地方の民話だそうです。
秋田の方では、銭っコ、お茶っコなど、~っコとつけるみたいですね。いぶりがっこもありますね~。

秋田といえば、最近私のお気に入りアニメ「ゴールデンカムイ」に出てくる谷垣さんも、秋田の阿仁出身。
谷垣のくるみ餅、あれ、商品化してほしいですよね・・・。
ちょっと前にデパートに行ったときに、ゴールデンカムイとコラボしていた月寒あんぱんを買ってしまいました。うへへ。
コラボしててもしてなくても、月寒あんぱん、好きです。

毎日暑いですね。
熱中症に気を付けて、元気に夏を乗り切りましょう。
高校球児たちもみんな頑張れー!

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