アメリカ、関係ねーし!~三匹のくまの話~

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ふと気づいたら、動物の話が続いたので、何か動物が出てくるお話を・・・と考えていたところ、私がずっと疑問に思っていたことを思い出しました。

三匹の熊、というタイトルだったと思うのですが、私が子供の頃、「ロシア民話」としてその絵本が家にあったのです。

森で迷子になった女の子が家を見つけて潜り込むのです。
そこには、大きい器、中ぐらいの器、小さい器があり、その中に熱々のスープが入っている。
だが、大きいものは熱すぎて、中くらいのは冷たすぎ、小さいのが彼女はちょうどよかった。
椅子も大きい椅子、中くらいの椅子、小さい椅子があり、女の子には小さい椅子がちょうどよかったのでそれに座ります。

眠くなった女の子は、一休みしようとベッドルームに入り込みます。
そこには、大きいベッドと中ぐらいのベッド、小さいベッドがあります。
女の子には小さいベッドがちょうどよかったので、そこですやすや寝てしまいます。

大きい熊と中くらいの熊と小さい熊が帰ってきます。
スープが食べられていること(大きいのと中くらいのは食べかけ、小さいのは全部ない)、椅子には誰かが座った(確か一つ壊れてしまってた)形跡が。
そして寝室に行くと、女の子が小さいベッドで寝ている。

女の子は目を覚まし、スタコラサッサと逃げてしまいましたー。

というようなお話だったと思います。

昔話には、3という数が非常によく登場します。
落語も三段落ちという型があるそうです。
三番目で落ちる、という世界共通の法則があるのですね。

二度あることは三度ある、だが、三度目は二度めのとは違う方向に転ぶ、という展開ですね。
三姉妹または三兄弟という形式では、上二人が意地悪で、一番下の子が心優しく救われる、という展開をすることがありますが、
別にこれは一番下が一番「いい子」ってわけじゃなくて、三段落ちの型に沿っているだけです。

三姉妹・三兄弟の一番下のやつ、調子に乗るなよ?!

さて、私はこのお話を「ロシア民話」として認識しています。
だが、私がまだ学生だった頃、アメリカ人の英会話教師がおりまして、この三匹の熊の話をしたのです。
「これは、アメリカの昔話でー」と言い出して、あれれ?おかしいなと思いつつ、授業を受けていたのでした。
その教師が言うには、アメリカには、その三匹の熊にまつわる場所があり、観光地になっている、ということでした。
(ジョージア州にあるらしいよ)

突っ込めるほど、英語力がないので、授業を黙って聞いてましたが、なんか腑に落ちなかったんですよね。

その後、私は初めてドイツに語学留学します。
私の隣には、ロシアから来た青年が座っており、二人組で作業する際には、その彼とコンビをよく組んでました。
その時に「あのさー、三匹の熊ってロシアの話だよね?」と確認したら「そうだよ、有名だもん」とフツーに言ってました。

「アメリカ人が、あの話はアメリカの昔話って言ってたんだけど、どゆこと?」と聞いたら「アメリカのやつらはなんでもパクる」と憤ってました。
当時、まだアメリカが世界の警察気どりであちこちで火種を作っては、乗り込んでいってその国をめちゃくちゃにするので、私もあんまりいい印象は持ってなかったです。
特にアラブなどの国々では、当時やっぱり色々不穏な感じしてましたしね。

かなり前ですが、中東で発掘作業をしていた考古学者の人のアラブ料理教室に行ってたことがあるのです。

西洋の国が介入しない方がアラブ諸国にとっていいのではないか、と、その考古学者の先生は言ってました。彼らには、独自の歴史があるし、特にベドウィンと呼ばれる部族(カダフィ大佐も確かベドウィン)は、独立心が強い。
ムスリム同士で話を付ける方が、簡単に済むのではないか、経験もあることだし・・・みたいな感じでお話されてました。

下手に西洋の意識や価値観で乗り込んでいって、西洋に都合のいい形に引っ掻き回すとろくなことにならない、というようなお話でした。
考古学者にとっては、現場の不安定な政治状況、紛争状態というのが、一番困るし、厄介なのでした。

あんまり西洋の基準に合わせない方がいい気がしますけどねぇ。
「欧米ではー」の視点からだけで見てると、間違えるんじゃないかと思いますよ・・・。

男が作った社会に女を入れてやるスタイルでは、永遠に平等は得られない、という男女差別についても書きましたが、これは国際情勢にも言える。
西洋が作ったルールや基準に、アジアやアフリカ、中東、ロシアは微妙だけど・・・、入れてやるスタイルでは、永遠に、リベラルが大好きな平等だとか、公平だとかそういうのにはたどり着けないです。

まぁ、いいや。
いつも戦争で勝った方が正しいということになっているわけですし、今回も、ウクライナの状況が終わるまで、判断は控えます。
勝ち負け競ってるんなら、各国の代表者でじゃんけんとかサイコロとか・・・で決めればいいのになといつも思います。
戦争なんて結局、子どもや女性がひどい目に合うだけだもん。

それで、その三匹の熊について、なんでそういう齟齬が出てしまうんだろうと気になっていたものをこの度ちょっとネット検索してみたわけです。
イギリスの民話ルートとロシア民話ルートがある・・・ということが発覚。
どっちがオリジナルなのかは分からなかったけど、日本に先に入ってきたのはロシア民話の方みたいです。

なぜなら、トルストイが発表したようなので。
日本の知識人の人たちはロシア文学好きですもんね。
ロシアからの情報がもしかしたら多かったのかもしれません。
きっと、どこかの研究者がトルストイのあらゆる著作物を日本語訳にしたのではないでしょうか?

ロシアルート、イギリスルートがあるのは分かった。
ロシアルートのお話は3匹の熊の方に名前がついており、イギリスルートのは女の子の方に名前がついている、という違いはあるようです。

どっちにしたって・・・アメリカ、関係ないじゃん!
なんでそれが本家本元かのように「アメリカの昔話で観光名所にもなっている」とドヤ顔で言った?

私は、本当に感謝しているのです。昔の日本の知識階級の人たちに。
ありとあらゆる国の文学作品を翻訳してくれていたことに。
そして、それを子供のころから触れることができる環境を作ってくれたのは、戦後の知識人たちだったと思うのですよ。

中国や、インド、中東、ヨーロッパもスカンジナビア、アフリカ、南米・・・色んな国のお話に囲まれて、もちろん、すべてではないけど・・・
他の国と比べたら日本は多種多様なものに触れるチャンスが多いと思います。

誰かのお話で聞いたような気がします。
戦後になって、「子供たちに希望を見せたいから」と、素敵な海外のお話を紹介しようとしてた翻訳者の人たちがたくさんいたらしいです。
その人たちの思い、今でも残ってますよね!どうもありがとう。みなさんのがんばりに感謝します。

日本の「子どもたちに希望を与える」物語やアニメが、世界の人の勇気と癒しに貢献するはずだと信じています。

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