(364日目)エントリーシート添削〜参考文例を添えて〜

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コラム
つい先日、就活が始まった新卒学生向けに
エントリーシートの添削をしてました。

あと、エントリーシートと書き続けるのは
長ったらしいので以下ではESと略します。

いつも2日前には下書き出してもらって
任務遂行のため1〜2時間かけて推敲します。
これが結構楽しいのですよ。
syuukatsu_rirekisyo_entrysheet_blank_naname.png

ES読んでるだけでも相手が分かります。
・語彙力や表現力のレベル
・書き慣れているかどうか

そのようなカタチの部分だけでなく
・性格や考え方
・自己把握のレベル
・書き上げるプロセス(苦しんだかどうか)
こんなところも分かるものです。

特に一度やり取りしている相手だと
キャラクターも、
どんなことをしたかも知っているがゆえに
『なんであのネタ使わないんだろう?』とか
気になって仕方ないんです。


ワイがES添削するときに気をつけているのは
書き手の人間性がどう表せるか?」です。

ESなんて所詮テキストの集合体でしかなく
そこからその人の全てを描き出せるのは難しい。
しかし、そのテキストだけでも人間性の片鱗を
垣間見せることはできると思っています。

多数のESを選別する企業であれば
採用担当者に気づいてもらえるような
ESにしなければならないし、

一つ一つのESを吟味してくれるような企業なら
そこに学生のキャラクターを表すことで
興味を持ってもらえるキッカケになるからです。

今日は実際に添削したESを参考資料に
どのように変えてみたかのかを見てもらいましょ。
writing12_businesswoman.png

参考としたのはある女子学生の志望動機。
その子は自分の書いたESに自信がないようで
「分かりづらくないか?」が気になってました。

ちなみに塾の会社向けのESです。

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ーBeforeー
まず、教育業界を志望した理由としては、子供達の成長のサポートがしたいと考えたからです。このように思うようになったきっかけは私自身の中学受験の経験です。

中学受験は、みんなが経験することじゃないからこそ、当時の思い出は今でも色濃く残っています。それは私だけでなく、他の子供達も同じだったはずで、そんな色濃く残るような思い出を良い思い出として他の子供達にも持ち帰ってもらいたいと考えています。私は当時、優しくサポートしてくださった周りの先生方のおかげもあり、塾に通うのが楽しくて、塾に通うのが楽しみでもありました。

塾に通う子供達は、学校の中学受験をしない友達を見ていて遊びたいなと思うこともあると思います。そのような中でも、塾に通いたいと思ってもらえるような環境を提供し続けられるよう努力したいと考えております。

また、教育業界の中でも御社を志望した理由としては、インターンシップを通して御社は真摯に一人一人と向き合ってくれる企業だと感じたからです。
インターンシップの中の相互インタビューは、相手を知り相手としっかり向き合うための時間だと感じました。このようなインターンシップを企画する背景には、普段から子供達にも同じように誠意を持って向き合っていることがあると考えました。御社で働く際には、子供達一人一人と丁寧に向き合い、御社が取り組む「子供たちの未来を見据えた指導」の一員になりたいと思っております。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋

言いたいことは分かるものの
・「子供達の成長をサポート」という陳腐な言葉
 (抽象的すぎて当たり障りのない言葉でもある)
・ESと言うより作文のような印象を受ける
・動機に至ったプロセスがイメージできない
 (ストーリー性が感じられない)
・心の動き(感情)が見えない


これらが問題だと感じましたので
このように変わてみました↓
(番号は解説のためのナンバリングです)

+―――――――――――――――――――――+
ーAfterー
私が教育業界を志望した理由は、自身の中学受験経験が影響しています。①

当時、塾に通っていた頃は遊ぶことも後回しに勉強の毎日を送っていました。しかし、それを苦痛とは感じず、むしろ塾が楽しかった記憶が焼き付いています。それは、担当して下さった先生や受付のお姉さん・共に学ぶ友達との繋がりがあったからです。特に思い出に残っていることは、勉強以外の相談にも真剣に向き合ってくれたことです。相談内容は学校の出来事や、友達関係の悩みなど今思えば些細なことでした。しかしその些細な悩みにも寄り添い、真剣に答えてくれたスタッフの方との出会いがあったからこそ、今もなお楽しい思い出として残り続けています。②

「相手の思い出に残るような仕事に携わりたい」と思いながらインターンシップを探していた昨年6月、御社にエントリーをしました。当初は興味のある企業の1社でしかなかったのですが、実際にインターンシップに参加し、提供されたコンテンツに取組む過程で「一人一人と向き合ってくれる企業姿勢」に感銘を受けました。多くの参加者がいるにも関わらず、一人ずつに丁寧に対応される姿に接し「子どもたちにも丁寧に対応し誠意を持って臨んでいる」という確信を得ました。③

だからこそ、今度は私がその一員となりたいと思います。子どもたちや保護者と向き合い信頼を得られるような仕事を体現し、子どもたちの思い出に残るような存在となりたいです。④
+―――――――――――――――――――――+

だいぶスッキリした感じがします。
それでいて志望動機に必要な情報は網羅しています。

では解説します。

まず①の志望動機。
「子供達のサポート」って言葉が陳腐だったので
学生の中学受験経験をメインに持ってきました。
この動機だからこそ②の段落で書き出すエピソード
を活かすことができます。
kaisya_nakayoshi.png

②は中学受験当時にどのような体験をしたか、を
自分以外でも頭で想像できる文体に変換しました。

この段落で重要なのは
「寄り添ってくれた塾の人」との出会いのはず。
ならば、その情景が想像できるような書き方が
求められると思うのです。

③は企業を選ぶときの心境変化を書き出すことで
『なぜ』『どのように』興味を持ったのかを
相手に知ってもらう段落となります

だからこそ、その心の動きを言語化することで
書き手の人間性を表すようにしているのです。
ちなみに具体的な時期を書くことで
リアリティに深みを出しています👍

最後の④は締めくくり。
①〜③で書いたことを総決算のようにまとめ
自分の思い・決意・未来像を簡潔な言葉で
表すことにより思いの深さを表現できます。

とまぁ、こんな感じです。
music_sakkyoku_piano_man.png

学生の身の丈以上に盛っているわけでもなく
等身大・ありのままを表現できるように
アレンジをさせてもらいました。

このようなアレンジができたのも、
元の原稿に情報があったからこそです。
曲作りで例えるとアレンジャー(編曲家)。
けしてアベンジャーズではない。


作曲があって作詞があって
その世界観を最も高いパフォーマンスが
出せるように変化を加えるのが役目。

キーやテンポを変えたりするように
より伝わる言葉や文体に仕上げている
それだけのものでしかありません。
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