今回は、「簿記を理解しているとビジネスを深く理解できる」という話をしたいと思います。
簿記の知識は、ビジネスの取引をより深く理解するための鍵となります。
具体的には、簿記の仕訳を通じて取引の背後にある意味を読み解く能力が身につきます。
例として、「売掛金/売上」という仕訳を考えてみましょう
この仕訳を見ると、商品やサービスが「掛け売り」されたことがわかります。
具体的には、商品やサービスが提供されたものの、その代金がすぐには受け
取られていない状況を示しています。
このような取引は、信頼関係が築かれている取引先や、特定の取引条件下でよく行われます。
しかし、簿記の知識がない人にとっては、この「売掛金/売上」という仕訳の意味はすぐには理解できないかもしれません。
「売上」という言葉だけから、商品やサービスが売れたことは理解できても、 その「相手科目」である「売掛金」の意味や、それが示す取引の背景をイメージすることは難しいでしょう。
簿記を学ぶことで、取引の背後にある意味や背景を二面から捉えることができるようになります。
つまり、一つの取引に関する情報を2倍の視点で理解することができるのです。
もう少し視点を広げてみます
ある企業Aが別の企業Bに商品を「掛けで売り上げた」とします。
この場合、企業A(売り手)の視点からの仕訳は「売掛金」(資産の増加)と「売上」(収益の増加)となります。
これは、企業Aが商品を売ったことで収益を得る一方、企業Bからの支払いをまだ受け取っていないため、その代金を「売掛金」として記録します。
一方、取引相手である企業B(買い手)の視点からの仕訳は「仕入」(費用の増加)と「買掛金」(負債の増加)となります。
企業Bは商品を受け取ったものの、まだ代金を支払っていないため「買掛金」としてその債務を記録します。
同時に、商品の取得によるコストとして「仕入」を計上します。
このように、一つの取引に関して、自社と取引相手の双方の仕訳を考慮することで、取引の本質や流れをより深く理解することができます。
そして、この双方の視点からの仕訳が一致していることを確認できれば、その取引の簿記が正確であると言えます。
まとめ
簿記の知識はビジネスの真髄を掴むためのカギです。
取引の仕訳を通して、それぞれの経済活動の背後にある意味を解き明かし、ビジネスの流れを正確に把握する能力が磨かれます。
簿記を学ぶことにより、取引に潜む意味や背景を二重の視点で捉え、情報を立体的に理解する力を養うことができます。
これにより、ビジネスの意思決定や戦略策定において、より深い洞察を提供することが可能となり、簿記の正確性をもって企業運営の質を向上させることが
できるのです。
簿記は単なる数字の記録にとどまらず、ビジネスの本質を理解し、それを戦略的に活用するための重要なツールであるといえるでしょう。