日当たりシミュレーション屋のマトリです
最近立て続けに不思議な依頼がありました
横長スリット窓の怪
その不思議な依頼とは
関西地方のAさん
日当たりシミュレーションの結果
「リビングが横長スリットの窓だけでは暗い部屋になります。普通の大きさにすることをお勧めします」と報告すると
「分かりました。横長スリットのままで行きます」
「?、日当たりが悪くて採光が少なくても良いんですか?」
「はい、良いです」
関東地方のBさん
「ダイニングが暗いのでリフォームしたいので、どのような窓にしたら良いかシミュレーションしてください」
「天井のすぐ下の横長スリットだけでは暗いですね、この窓を普通のサイズにすることをお勧めします」
「横長窓が好きなので、それはできません」
「?、明るくリフォームしたいのであれば普通のサイズの窓にすることをお勧めします」
「リフォームは諦めます」
横長スリット窓以外は受け付けないのなら
日当たり・採光シミュレーションするのはもったいないと思います
横長スリット窓でも十分に明るくできる方法があるかもしれないとお考えだったのでしょうか?
ダンディMチャンネルさんの縦長スリット窓の怪
3Dマイホームデザイナーの社長のブログに
ダンディMチャンネルさんの動画が紹介されていました
『ご自身もYoutuberなのに「Youtubeを鵜呑みにするな!」との警鐘』
という記事です
ポイントは
3コマで見ると
可哀そうですね
奥様がユーチューブで「窓はいらない」という情報を見た結果のようです
ダンディMチャンネルさんは「Youtubeを鵜呑みにするな!」と警鐘を鳴らしています
続きは下のリンクからご覧ください
窓の大きさには床面積の1/7という基準があった
建築基準法の住宅の居室の窓の大きさは床面積の1/7という基準があります
建築基準法ができたのは戦後すぐで
窓がないと採光もなく換気もできないという時代でした
建築基準法の採光面積の法律を意訳すると
・居室=人が過ごす部屋には床面積の1/7の面積の窓をつけなさい
・窓は隣の敷地に建物が建つと暗くなるので隣が空き地でも隣地境界との距離を取りなさい
というものです
この決まりがあるために
数年前までは
建築確認申請の図面には居室の採光面積計算式を書いて
その基準をクリアしていることを証明する必要がありました
最近は
・照明があるので窓がなくても明るさに問題はない
・省エネには窓を小さくした方が良い
・個人住宅は窓の大きさなど自己責任で決めればよい
ということになってきたようです
まさか大人の都合にかかわる様々なやり取りが
「お代官様」と「越後屋」の間にあったというようには思いませんが
時代が変わったのでしょう
そのため個人住宅の確認申請では採光計算の計算式が不要になったようです
共同住宅ではこの対応はされていませんのでマンションなどでは
1/7が確保されています
それを満たせない外廊下に面した北の部屋は〇DK+sの〇に入れてもらえずsとされます
日照・採光よりも窓を小さくして省エネ?
流れが変わったきっかけは省エネです
住宅でも省エネが必要ということで断熱性を向上した住宅に補助金を出すようになりました。
どういうわけか国交省だけでなく通産省からも補助金が出ました
そのおかげで「断熱性の高い家」で商機をつかもうとするHMが多数参入しました
補助金をもらってコストを掛けないで建てる方法を考える「頭の良い人」が出ました
その人は高くつく窓を最小限にするという方法に行きつきます
「頭の良い人」は考えました
「どうやって窓面積の少ない家を受け入れてもらえるか?」
「そうだ世論誘導をしよう」
「どうやって?」
「ユーチューブで」
ということで
「寝室は寝るだけなので窓はいらない」
「オシャレで高性能の住宅のトレンドは窓を最小限に抑えた家」
のキャンペーンが始まりました
というような妄想はしていませんが
そういわれればそんな感じかもしれません
軽視はされても基準は基準
個人住宅での申請は簡易になりましたが基準は残っています
共同住宅では緩和されることはありません
長い間その中で暮らしてきたので、多くの人の感覚には窓の大きさは床面積の1/7が感覚の中に刷り込まれていると考えます
これを大きく下回る決断をするときには十分な配慮が必要です
意図的な煽りに乗ってしまわないようにすることをお勧めします
断熱性と採光の両立の時代
「断熱性の高い家」にするためには、断熱の弱点の窓を改善することが重要でした。
サッシメーカーも断熱性重視の追い風を受けて窓の高性能化が進みました。
最近では高断熱のサッシが出回ってきたので採光も断熱も両立できるようになってきていると思います
窓の機能は採光だけではない
日照には4つの効果があります
・明るさ効果
・採暖効果
・保健効果
・精神的効果
です
ダンディMチャンネルさんは
採光以外の窓の機能や日照の効果についても動画を作っていますぜひご覧ください
同じ趣旨でココナラブログの記事を作りましたこちらもご覧ください
大きな窓でも家の断熱負荷が少ない日射取得窓
ココナラブログの『知らないと必ず後悔する!方位で変わる日照の効果』にも書きましたが大きな窓を付けても熱負荷が大きくならない方法があります
日射熱を取り入れる方法です
この方法は「設計で工夫する」というソフトの部分がありますので
そこにコストを掛けないHMには対応の難しい部分です
【まとめ】
心地よく快適な家にするためには住まい手自らが窓に関しての知識を深めて適切に窓を設置することが必要です
SNSで簡単に情報得られるようになりましたが
そこには様々な思惑や策略が渦巻いていると考えたほうが良いと思います
良い家作りには情報を選択する能力も必要です
困ったり悩んだりしたらご相談ください