登校に悩む要因は十人十色
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短絡的結論付けは危険
令和3年度の文部科学省による調査では、
小中学校を長期欠席する要因として、
「本人の無気力・不安」が最も多く、
およそ半数にのぼりました。これを以て
「本人の弱さが原因」という結論づけは、
何ら発展的な意味を持ちません。
「なぜ若い小中学生が無気力・不安に
なるか」に、目を向けるべきでしょう。
原因は社会全体に存在
日本は、豊かで安全で衛生的でありながら、
子どもが増えない、更には、大人どころか
子どもの自殺率が高い、類を見ない国です。
子どもを産もうと思えない/子どもが
生き甲斐を感じられない、そこにこそ
根本問題があるのではないでしょうか。
・№1でなく、Only Oneを求められる社会
→勉強を頑張っても将来が見えない辛さ
・地域の繋がりが薄い学歴社会出身の親世代
→育児を教わる機会がなく、孤立無援状態
・先進国で突出して睡眠時間の短い日本
→起床が困難・情緒や自律神経の乱れ
・超高齢化・少子化・温暖化・感染症
→自分に未来はあるのかという不安
・単一民族・単一言語・農耕民族
→均質性の高い国民性(識字率も高い)
→だからこそ、個性が潰されやすく、
尖った個性は居場所を失いやすい
ー「生きづらい」と感じるのも当然な状況ー
多面的な捉え方が重要
賃金の実感的低さ、共働きの増加、
勤務間インターバルの際立つ少なさ、
有給取得率の低さ・一方で税金の増加
…
これらは育児への意欲・体力・余裕と
無関係ではないでしょう。したがって、
経済的・心理的・身体的すべての要因が
複雑に絡み合い、集団適応や登校・在校
の困難を形成していると言えます。
そもそも、100%の子どもに合う教育
システムなんて存在するわけがない。
なのに、学校が不得意とする学校外の
家庭支援や学習場所が未整備な状態。
カウンセラーの充実も経済的支援も
フリースクール整備も、不登校への
理解・啓発も、すべて大切なこと。
狭い視野で物事を決めるのは、
非常に危険だと私は思います。