周易古占例 高島嘉右衛門 朝鮮交渉易・平沢随貞 京極家士の被傷(けが)を占う

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天元春日  周易古占例 37

本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。
今回は高島嘉右衛門、平沢随貞の占例です。

(11)朝鮮交渉易  
【得卦  履之中孚】
          【高島嘉右衛門の占】
 明治十七年十二月、朝鮮京城において政党の軋轢よりして内乱を生じ、一時紛擾の際党派の邪正名弁ずべからず。
 ために国王殿下、特使を派して我弁理公使竹添君について王宮の護衛を依托せらるること再三、
此において我公使その護衛兵を率いて国王の急に赴く。
 しかるに清国将官某、その部下の兵を率いて王城に迫りついに我兵に向いて発砲し、同時にその兵商に令して我商民を屠殺せしめたり。
此報一たび我国に達するや、朝野騒然、物情恟々たり。
 依て我外務卿井上伯全権大使の任を帯し、同二十四日を以て横浜を解纜し、朝鮮に向かう。
これ実に国家の重事なればその談判如何を筮して履の中孚に之くに遇う。
履之中孚
虎の尾を履(ふ)む、人を咥(くら)わず。亨(とお)る。
 それ履の卦たるや、上卦の天を父とし、下卦の沢を少女とす。
すなわち少女、父のあとに随いゆく。ゆえに履と名づくるなり。
 三爻にいわく、眇(すがめ)にしてよくみるとし、跛(あしなえ)にしてよく履むとす。虎の尾を履む。人を咥(くら)う。凶。武人大君たらんとす。
と。
 三爻は成卦の主にして一卦の大体を見るなり。
 そもそも朝鮮の国情たるや、古今知識制度の変遷を知らざる支那を学び、人民蒙昧にして天下の形勢に闇く、社会の事情に通ぜず。
 今や十九世紀の世に処するに国としてその独立を持つべきも孤立すること能わざるなり。
ゆえに今の社会に立つものは今の社会の宜くなすべき所に従いてその独立を謀らざるべかずとす。
 欧州諸強国の間に挟まり小国の独立するあるは各社会の風潮に従いてともに開明の域に漸進するが故のみ。
 ゆえに我国において朝鮮に対するにあくまで時世の変化に随い師父の道を尽し誘導教誨し、われ前進し彼をしてその後を履ましめんと欲する所以の者は朝鮮もし一朝にして欧人の占領する所となるときは実に全アジアの大害たるがゆえに朝鮮国のためにその独立を謀るは独り朝鮮のためのみならず、実に全アジア州の関係あればなり。
 しかるに彼暗昧、自ら覚らずいたづらに外人を厭忌して他の文明を取りて自家を維持することを知らずかえって今回の凶変を起こして我人民を屠殺したる者はなお眼ありといえども社会の形勢を見るあたわず。
 足ありといえども我後に従いて開明の針路を履むあたわざるがごとし。
ゆえに象にいわく、
 眇(すがめ)にしてよく視るは、もって明ありとするに足らざるなり。跛(あしなえ)にしてよく履むは、もってともに行くに足らざるなり
と。
 しかして彼我国の人民を屠殺したるは、あたかも小児の虎の尾を履みしがごとし。ゆえにもし我が請求に応ぜず、わが談判に乖背せば直に八道を呑併してわが国の士族なる者を派遣し、その国を主宰せしめんとの勢いを示して厳問するなり。
これを
虎の尾を履む。人を咥(くら)う。凶。武人大君たらんとす。
というなり。
 九四にいわく、
虎の尾を履む。愬愬(さくさく)たれば終に吉。
と。
 三爻は内卦の上位にして虎の尾なり。すなわち我なり。四爻は外卦の初位にして虎の臀(しり)にあり。
 すなわち彼なり。しかして彼みずから己が国力とその罪跡とを省みて深くみずから懺悔するところありて、ただ我虎威に触れしことを恐れ務めて恭順の道をとり、百諾我命、これ服して遂にわが呑筮を免れんとす。
 ゆえに四爻変じて終に中孚の和悦となり(中孚の卦たるや我説びて彼従うなり)局を平和に結ぶに至るべし。
 これを「愬愬(さくさく)たれば終に吉」というなり。
(余、おもえらく是卦をもってこれを見れば、此回の事序もまた、けだし花房氏の第二の舞佾に帰着せんか)
明治十七年十二月二十八日占

(12)京極家士の被傷(けが)を占う
【得卦 乾之姤】
          【平沢随貞の占】
 京極家の士、被傷(けが)あり。四体の内、何れの処なりやと問う。
占して此卦を得たり。
 断曰く、初爻変、陽爻陰となる。
欠るところ此にあり。足なるべし。
 また問う、一人なりや相手ありや。
曰く、相手あり。
重卦必ず争いあり。
 かつ一陰五陽之争の相手なくして争うべからざればなり。
また問う、相手男なりや女なりや。
 いわく女なり。
 また問う、その女家内の者なりや他より来れるや。
 いわく、他より来れり。
 全卦陽爻にして変じて陰を得。これ女人他より入り来りて争い、これによりて生ずるものなればなり。
 また問う、座中外に人ありやいなや。
 いわく、あり。
 男子四五輩いるべし。
 卦士陽爻相列る。その象分明なり。
 はたして一一的中。
 男女列座女人外より入り来る。
 これと戯れ争いて火鉢を覆し定て火傷せるなり。
 問う者、その考審なるを驚嘆す。

※文章は読みやすくするため、適宜加削変更しています。

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