「会社の理念と矛盾するのでは?」と問われたら

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マネージャーは、日常的にメンバーから様々な質問を受けます。
大方は仕事上のことですから問題なく応えることができる訳ですが、時には「やっているアクションと企業理念の矛盾」について質問を受けることがあります。
マネージャーとしては直ちに「論理的で納得性の高い」説明で反応しなければならない場面ですが、実際には「あやふや」になったり、口籠ったり、時には強く退けたりするケースもあるようです。
ということで、今回は「やっているアクションと企業理念の矛盾についての質問」ということについて考えてみます。

原因はメンバーの肚落ち感
チームは、会社の理念に基づくビジネスゴールを達成するために、各部門毎に戦略やアクションプランを作成し実行しています。
良い戦略は、基本的に「極めてシンプル」であり、且つ「それ自体が行動を促す」ように作り込まれているものです。
しかし、メンバーの肚落ちが不十分な場合、チームの「戦略」「アクション」「マネージャーの指示」が、会社の「理念」「VISION」『MISSION」と矛盾するのでは?というような質問や、プラン自体がしっかり実行されないことが起きてきます。

よくある1例
例えば、営業関連でよくある質問としては、稼ぐ(売る)ことと顧客志向の関係についての質問ということがあります。
具体的には、新たな顧客を開拓するアクションを取ることによって既存顧客に対するサービスレベルが低下することになる。
一方で、会社の理念(=世のため人のため、ということが殆ど)からすると当然顧客志向は外せない訳で、この2つは矛盾するのでは?というようなことです。
これに対して、「沈黙」したり、「売上げ目標があるのだから余計なことを考えずにそれを達成すればいいのだ」だとか、「売らなければ評価に繋がらない」「売れなければ君の給料も出ないんだぞ」といったような対応をマネージャーがしてしまったら、そのマネージャーはメンバーの信頼を著しく落とすことになってしまいます。
また、何よりそういった考えで長くマネジメントをしていくと、いつの日か「売るためだったら何をやってもいい」と変容していき、大きなコンプライアンスリスクにも繋がりかねません。

シンプルな論理で澱みなく!
では、上記ケースでは基本的にどのように対応すべきか?ということですが、
・先ず、売れるということは、「顧客から支持されている」ということ。
・より多く売れるということは、「より多くの顧客の支持がある」ということ。
・そして、その支持されている製品やサービスはそもそも世の中の問題や課題を少しでも解決するために開発されたものである。
・会社の理念は、総じて「世のため人のため」なのだから、より多くの顧客の支持を得られるようにしていくことは、会社の理念に完全に合致している。
・従って、新たな顧客を開拓していくことと、会社の理念には矛盾が生じている訳ではない。
・但し、メンバーの言うように、既存顧客に対するサービスレベルが低下するということが起きるのであれば「そうならない為にはどうしたら良いか?」について早急にチームで考えよう!と締めくくる。
というように、シンプルな論理で澱みなく話をすることがと重要だと思います。

問題はマネージャーの共感の薄さ
私は、こういったケースでマネージャーが「あやふや」になったり、口籠ったり、時には強く退けたりするということは、会社の理念について共感が薄いからだと思っています。
本気で信じていないからロジックが曖昧になり、「なんとか押さえなきゃ」「しかしパッと考えがまとまらない」「でも何か言わなければ」と気持ち的に追い込まれ、咄嗟に優位な立場を利用したマウントポジションを取ってしまうのではと考えています。

「言語化」の大事さ
そして、最も重要なことは、自分のチームがやっている(やろうとしている)ことはそもそも会社の理念に合致しているのか?しているのであればどのように合致しているのか?ということを「言語化」できるようにしておくことを怠らないことです。
「言語化」することを「習慣化」させておくことはマネージャーの基本能力の中でもかなり重要ですので、常日頃から練習しておくことを強くお勧めします。

ビジネスメンターでは、マネージャーの皆さんが抱える様々な問題に対して、ディスカッションを中心に本質的な課題を特定し、必要なマネジメントスキルを現場で効果的に使っていくために、必要な基本能力を身につける練習方法を一緒に開発していくことを主眼においています。
ご興味ありましたらお気軽にお問い合わせいただけたらと思います。
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