マンション初期段階におこなった素晴らしい大改革紹介「自治会と管理組合の役員兼務体制」「長期修繕計画の周期見直しと均等支払い方式」

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マンションが引き渡しされ、管理組合が設立されると、居住者による管理組合運営がスタートします。
管理組合運営の中で生まれる課題の中には、できるだけ早く見直すべきことがたくさんあります。
しかし、そのほとんどが棚上げにされ続け、後世の役員にツケがまわってくるようになっています。
しかし、とあるマンションでは、重要な課題を先送りすることなく、早い段階で目処をつけ、竣工4期目で大改革を成し遂げ、一定の目処をつけることができました。
その素晴らしい事例をご紹介します。
一つ目は、自治会と管理組合の役員兼務体制への移行です。
このマンションが大型マンションということもあり、マンション内に単独で自治会が存在しており、地区の連合会に加盟し、地元のお祭への住人参加、早期の行政情報入手、マンション周辺の住環境改善に向けた陳情、マンション内でイベントの開催など、精力的に有意義な活動を行ってきました。「
ただ、管理組合と違って、役員を集めるのが難しく、将来のなり手不足が懸念されていたこと、管理組合との重複業務も多かったことを考慮し、管理組合役員が自治会役員を兼務することにしました。
2つの組織感で重複していた業務を一本化することができ、意思決定がスムーズになりました。
また、活動予算も自治会系は行政の補助金、管理組合系は管理費と出どころを分け、お金の流れをクリアにできたのも大きなメリットとなりました。
管理組合と自治会兼務による合理化の反面、各人の負荷が高まるのでは?という懸念もありました。そこで役員全員にタブレットを貸与し、オンラインで会話や簡易決議をできるようにしました。月1回の理事会には、予めオンラインで課題を共有、整理してのぞみ、活動時間が長引くことを抑えました。
本件については、大型マンションではあるあるではないでしょうか?管理組合は、一応管理会社という事務局がいるため、資料作成、お金の管理、部外者との折衝、会の進行などを行ってくれるプロがいるのに対し、自治会は自治会員でそれらを取りまとめしていく必要があるため、活動的な自治会になると業務の難易度が高いことに加え、自治会の構成員は賃借人も含めているところが多いので、共同体意識が薄く、役員の成り手不足に悩まされるということがあります。
管理組合は管理組合で、居住者に関わることや、周辺地域に関わることを意思決定するにあたり、自治会のように日々地域や行政と密着しているわけではないため、情報が不足する、人のコネクションがないので、協議が進捗しないということがあります。
そういった、双方の組織が抱える悩みも吸収でき、また、二重業務の効率化という課題が解消した素晴らしい事例です。
もう一つの大きな改革は、長期修繕計画の修繕サイクル見直しと長期化による修繕積立金の均等化です。一般的に長期修繕計画は修繕周期12年、計画期間30年で策定されますが、これを15年周期、60年間の計画とし、修繕総額を抑制しました。
合わせて、経年とともに負担増となる想定だった修繕積立金を均等支払いに見直しました。
本件は、とても高度な制度改革で、なおかつお金に関わることということもあり、管理会社、外部コンサル、理事会が複数回の協議を実施して、計画を策定した上で、計4回の住民説明会を開催しました。
この結果、毎月の修繕積立金は従前の約2.5倍になりましたが、将来の負担軽減が理解され、合意形成にいたりました。将来的には工事費の上昇や、新技術登場によるコスト減もあり得るので、5年毎の見直しを細則に策定しました。
この長期修繕計画と資金計画の改革は実に素晴らしいです。すべてのマンションが真似して欲しいものですね。
まず、新築当初に設定されている修繕積立金はデベロッパーの販売戦略で、かなり過小に設定されています。管理費は、グループ会社の管理会社に儲けさせるために高めに設定しているので、ランニングコストを低く見せて売りやすくするためには、あとは修繕積立金の設定を低くするしかないのです。
デベロッパーにとって、修繕積立金が貯まらなくて、数年後、居住者が困ろうがどうでも良いのです。
ですので、これと合わせて、管理規約などとセットになっている、初期設定の長期修繕計画も、必要な工事がかなり削られていて、過小に設定された修繕積立金でも赤字にならないように操作されています。
この結果、数年後に管理会社が国交省のガイドラインに基づき改訂版の長期修繕計画を作成した際に、大幅な資金不足が発覚することになり、修繕積立金の値上げスパイラルに迷い込んでいくことになります。
ただ、悲劇はここで終わりません。国交省のガイドラインで作成される長期修繕計画は、基本的に30年間で作成されているため、給排水管の更新、キュービクルの更新、ガス管の更新、立体駐車場の更新、などなどの30年以上経過した頃に訪れてくる大規模修繕工事ほどでないにしろ、莫大な資金が必要となる設備工事が含まれていません。これにより、居住者が老いた頃に、更に大幅な修繕積立金の値上げをせざるを得なくなります。
そうならないために、後世に資金不足のツケをまわすような、「段階増額積立方式」ではなく、最初にドカンと値上げして、あとは一定の積立金額とする「均等積立方式」を推奨しています。
分譲時にあまりにも過小に積立金が設定されているため、リアルな数字に値上げされると、びっくりするかもしれませんが、長い目で見れば、最終的に設定される積立金額よりも金額を抑えることができ、確実に区分所有者にとっても楽な選択です。
また、長期修繕計画のもう一つの問題は12年周期で作られている点です。
大規模修繕工事を12年周期ごとに行いましょうという、国交省が作り出している信仰を管理会社は素直に提案してくるため、まだ建物の状態はいいにも関わらず、この周期で工事を行っているマンションが非常に多いです。
しかし、このガイドラインが作られたのは平成20年です。
今から10年以上も前に作られた古い基準をいつまで採用しつづけるのでしょうか。当時からくらべると、施工方法も新しくなっており、使用する建材の性能も格段によくなっているはずです。
施工業者、管理会社によっては、長期修繕計画に定められている防水工事の保証期間よりも長い保証期間を提示するところも増えてきています。
この周期を長く設定することにより、工事を行う階数を圧縮することができ、長期的にみれば累計総工事費を圧縮することができます。
以上の様々な課題をすべて解消し、区分所有者の長期的最大メリットを考えた改革が今回のものであると理解しました。
一つ目の役員兼務案も、二つ目の修繕計画と資金計画の改革案も、管理会社にとっては提案するメリットがなく、外部から自発的に提案されるようなものではないため、これらの改革を発想し成し遂げたのは、意識が高く、賢明な区分所有者の皆さんによるところであろうと推測します。
この2つの難事業をクリアした後は、サービス改善、ハード改修、理事の業務分担促進など細かな課題に向き合い、住み心地満足度や資産価値向上に望んでいくとのことです。