【シネマティック】Davinci Resolveカラー編集基礎

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こんにちは。スタジオリプライズです。
本日は動画編集のソフト、DaVinci Resolveの初心者向けHowTo記事を共有します。
DaVinci Resolveは無償版のみの利用でもカラー編集以外の動画編集まで作成することも可能ですが、今回はカラー編集についての記事です。


またこの記事ではなるべく専門用語は使わず
初めての方でも分かりやすい記事を意識していますので、
これから動画編集を始めていきたい方はぜひ最後までご覧ください!

①動画編集用語

まず動画編集と関わる上で最低限理解しておく必要がある専門用語があるので解説します。

・DaVinci Resolve内の画面の名称
スクリーンショット 2023-02-05 2.02.15.png
①メディア・・・素材を取り込むページ 
②カット・・・素材をカットするページ
③エディット・・・タイムラインに素材を並べていくページ
④Fusion・・・アニメーションや特殊なエフェクトを追加するページ
⑤Fairlight・・・音声の編集をするページ
⑥デリバー・・・動画の書き出しを行うページ

今回のHowToではエディットページ・カラーページのみ使います。
詳しくは後ほど解説します。

・カラーページ内の画面の名称と機能
スクリーンショット 2023-02-05 2.02.05.png
①メディアプール・・・映像などの素材が入っているフォルダ
②ビューア・・・映像の再生画面
③タイムライン・・・編集画面
④ノード・・・カラー編集の主になる画面
⑤レフトパレット・・・カラーホイールなどを操作する画面
⑥センターパレット・・・カラーカーブなどを操作する画面
⑦ライトパレット・・・主にスコープを確認するための画面

それぞれの画面でどのような編集をしていくのかは後ほど解説していきますが
次にその中の「ノード」について補足で説明します。


・ノード
明るさやコントラスト、彩度などの属性を格納できるコンテナのようなもの。
ノード同士を繋げていくことで、カラーの属性が追加されていき、最終のカラー編集を完成させることができます。
スクリーンショット 2023-02-06 14.55.56.png

露出・WB・コントラスト・彩度などの項目ごとにノードごとに分けておくようにすると、項目ごとにやり直しもできますし、微調整がかんたんにできます。詳しい操作方法は後ほど解説します。


・ログ撮影
カメラセンサー受けた情報をすべて記録はせずに、色の中間の階調を減らして、黒つぶれや白飛びが起きないように、階調を増やす事で多くの情報を残すことです。
ログ撮影することで後で色や明るさを補正したときに調整する領域が細かくなり、より高度なカラー補正ができるようになります。
ログ撮影した映像はカラー編集をすることが前提の撮影方法のため、そのままの映像だと色にメリハリがなくいわゆる眠たい映像になってしまいます。そのため、この後説明をするカラーコレクションやカラーグレーディングをする必要があります。


・カラーコレクション
カラーコレクションとは、ログ撮影した映像の色補正をすることです。
主に肌の色の補正やコントラストの調整、白飛びや黒潰れしそうな映像の調整です。
他には撮影の際の時間の変化などによって崩れた色味や明るさのバランスを補正して、映像を自然に仕上げる工程のことです。カラーコレクションにより、映像全体を均一にし、統一感を出します。
カラー編集をする上で、カラーコレクションはベースになります。この作業ができていないと、カラーグレーディング際に上手く色を抽出できなかったり、シーンやカットによって色味のトーンがバラバラになってしまうので、詳しい操作方法は後ほど解説します。


・カラーグレーティング
カラーグレーディングとは、カラーコレクションされた映像に色・質感・深みを付け足すことです。今回のHowToではLUTというカラープリセットを使って編集していきます。LUTとは写真加工アプリで言うフィルターのイメージです。
例えば食べ物をより美味しそうに見せるために色をはっきり鮮やかにさせたり、衣服のカラーを変更するなど、作品のテイストやトーン&マナーを表現するために色を全体的または部分的に調整していくことです。詳しい操作方法は後ほど解説します。


・プロキシファイル
プロキシファイルとは、DaVinci内での編集作業を軽くするために動画素材の容量を小さくしたファイルのことです。撮影してきた元の動画素材であるオリジナルファイルのまま編集続けると、読み込みに時間がかかりPC動作が重たくなりますが、オリジナルファイルの容量を小さくして編集作業がサクサク行えるようにします。
ビューア画面上だけ画質を落として、動画を書き出す際にはオリジナルファイルを使うので画質への影響はありません。
プロキシファイルの作成にはProxy Generator Liteを利用します。
Proxy Generator LiteとはDaVinci Resolve 18から新しく追加された機能で、プロキシファイルを自動で作成してくれる機能のことです。詳しい設定方法は後ほど解説いたします。


・ギャラリースチル
ギャラリースチルとはカラグレをしたノードの編集内容を保存する機能のことです。
ギャラリーに保存しておくことにより、簡単に他のクリップにもノードを適応させることができます。カラグレしたクリップの静止画がギャラリーへ保存されます。
今回はノードの一時保存の方法での利用ではなく、カラー編集する映像の見本として比較をするために活用します。詳しい操作方法は後ほど解説いたします。


②カラー編集の手順(初心者)

今回はカラーコレクションとカラーグレーディングの手順についてです。
DaVinciのソフトのみでもカット編集などは可能ですが、今回はカラーの部分について解説します。

1.新規プロジェクトの作成と環境設定
DaVinci Resolveのソフトを立ち上げ、
新規プロジェクトをクリック→プロジェクトの名前を設定します。
プロジェクトは動画を編集する場所のことです。
プロジェクトを作成することにより編集が可能となります。

プロジェクトが立ち上がったら、まず環境設定をしていきます。
DaVinci Resolve→環境設定→ユーザー→プロジェクトの保存とロードを開き、「ライブ保存」と「プロジェクトバックアップ」にチェックを入れます。
ライブ保存やプロジェクトバックアップは自動保存の設定です。たまにDaVinciのソフトが落ちてしまうことがあるので自動保存の設定をしておくと安心です。
スクリーンショット 2023-02-06 12.51.38.png

合わせてプロジェクトバックアップの保存場所も変更します。ストレージがいっぱいになってきた際にバックアップを削除するためにわかりやすいフォルダに保存をしておくようにしましょう。今回は外付けHDDの中にDaVinci Resolveのフォルダを作成し、そこを保存場所として設定します。また環境設定は初回のみ操作すれば今後も同じ設定が継続されるため、今後は操作不要となります。

次に右下の歯車マークをクリックし、プロジェクト設定を行います。

    【注意】プロジェクトを立ち上げたらすぐに設定をするようにしましょう!
プロジェクト設定は先ほどの環境設定と違い、プロジェクトごとに設定が必要なので、毎回設定する必要があります。
またプロジェクト設定をしておかないと、解像度・フレームレートが自動的に決まってしまうだけでなく、書き出す時に後から変更ができません。
タイムラインを別で作成し直す必要が出てくるので、必ず初めに設定しましょう。
DaVinci Resolveでは3840×2160までの解像度での書き出しは可能です。フレームレートは最大60fpsまでとなります。
より大きな容量で書き出しをしたい場合は有料版へアップグレードすれば可能となります。

設定が必要になるのは、「マスター設定」→「タイムラインフォーマット」の中の「タイムライン解像度」と「タイムラインフレームレート」を設定します。
「タイムライン解像度」は書き出したいサイズに合わせて設定します。今回は1980×1080に設定します。
「タイムラインフレームレート」も書き出したいサイズに合わせて設定します。今回は60fpsで設定します。

次に「ビデオモニタリング」の中の「ビデオフォーマット」も書き出したいサイズに合わせて設定します。今回はHD 1080p 60で設定します。
スクリーンショット 2023-02-06 13.06.19.png

次に「最適化メディア&レンダーキャッシュ」の中の「プロキシメディアのフォーマット」「最適化メディアのフォーマット」「レンダーキャッシュのフォーマット」を全て「ProRes 422 LT」に変更します。
ProRes 422 LTにすることにより、編集時の作業が重たくなりにくくなります。
※Macの場合の設定になるので、Windowsの方はDNXのものを選択する必要があります。圧縮率の高いものを選択してください。

次に「作業フォルダー」の中の「プロキシの生成場所」「キャッシュファイルの場所」「ギャラリースチルの保存場所」を設定します。
プロジェクトバックアップと同じ保存先に設定しておくと管理やデータの整理がしやすいです。
スクリーンショット 2023-02-06 13.19.28.png

ここまでの設定が終わればOKです。
但し、毎回DaVinciを開くたびにプロジェクト設定をするのは面倒になるので、よく使用する設定はプリセットに保存することをお勧めします。
プリセットの設定は「プリセット」→「別名で保存」をクリック
スクリーンショット 2023-02-06 13.29.03.png

プリセットの名前を設定します。
今回はフルHDの60fpsで設定しているので「Full HD 60p」と設定しOKをクリックします。これでプリセットの設定は完了です。
今後は新規プロジェクトを作成したら、歯車マーク→「プリセット」から設定したいプリセット名を選択→ロードをクリックするだけで設定が完了します。
これでプロジェクト設定は以上ですので、次の工程に進んでいきます。


2.Proxy Generator Liteとメディアプール
次にProxy Generator Liteでプロキシを作成します。
DaVinci Resolve 18を利用している方は「Blackmagic Proxy Generator Lite」という名前のソフトがインストールされているはずなので、そちらを立ち上げます。

次に「追加」をクリックし、撮影してきた素材が入っているフォルダを選択→Openをクリックします。
プロキシフォーマットで「H.264 8-bit 4:2:0 1080p」を選択→「開始」をクリックします。これで設定はOKです。
スクリーンショット 2023-02-06 13.39.26.png
次にDaVinciに戻り、エディットページのメディアプールで元の動画素材をドラック&ドロップで読み込みます。
あとはDaVinciの画面でメニューバー→再生→プロキシ処理→プロキシ優先を選択します。メディアプールに長方形とカメラのマークのアイコンが表示されていれば、プロキシファイルが適応された状態で動画編集を行うことできます。
スクリーンショット 2023-02-06 13.47.41.png

では読み込みが完了するのを待ちながら次の工程に進んでいきます。


3.カラーコレクション
まずメディアプールに読み込まれている動画クリップをタイムラインに並べます。
次にカラーページへ画面を切り替えて、明るさ、ホワイトバランス、コントラスト、彩度などをノードに一つずつ当てはめて編集していきます。

【ポイント】
カラー編集は、参考となる映像の準備をして見本に近づけていくようにしましょう。
「どんな映像にしたいのか?どのような色にしたいか?」の目安がないと、編集が非効率になってしまうからです。
カラー編集の参考となる映像を見本としてスクリーンショットに保存しギャラリースチルを作成し、カラー編集を行なっていきます。

【ギャラリーの準備】
カラー参考画像を決めたらエディットページのタイムライン上に並べます。
そしてカラーページに戻してビューア画面の上で右クリックし「スチルを保存」します。
次にメディアプール画面を「ギャラリー」に切り替え、先ほど作成したギャラリースチルを選択します。そして、ビューア画面の左上の「イメージワイプ」をクリックすると参考にしたい映像と撮影してきた映像を比較することができます。
スクリーンショット 2023-02-06 14.12.31.png

参考映像に近づけるために比較する際にはギャラリーを活用していきましょう。ギャラリーの準備が終われば、ノードでの詳細なカラー編集をやっていきます。

【輝度】
輝度(明るさ)の調節をしていきます。
明るさはスコープとビューア画面をみながら、レフトパレット画面の「プライマリー・カラーホイール」を使って「リフト、ガンマ、ゲイン」の調節していきます。
リフトは映像のシャドウ(暗い部分)の調整、ガンマは中間部分の調整、ゲインはハイライト(明るい部分)の調整、オフセットが全体の調整ができます。

スコープはビューア画面で表示されている映像の色や明るさの情報をグラフ化したものです。
目で色味を見てカラー編集をしても正確にカラーの調整ができませんので、スコープを活用しながら作業していきます。
スクリーンショット 2023-02-06 14.20.39.png

リフトのルミナンスホイールを使ってメモリを下げます。スコープ確認して0の値まで持っていきます。
次にゲインのルミナンスホイールを使ってメモリを上げ、スコープを1023の値まで持っていきます。
シャドウとハイライト調整が終わったら、ガンマのルミナンスホイールを使って全体のメリハリをつけていきます。
スクリーンショット 2023-02-06 14.24.04.png

明るさの設定が終わったら何の設定を行ったのかわかりやすくするために、ノードに名前をつけておきます。ノードを右クリックし「ノードラベル」をクリックし、名前を「輝度」にしておきましょう。

【ホワイトバランス】
新しいノードを追加(option+S)してノードラベルを「WB」にしておきます。
スコープの赤・緑・青の3色の波形のバランスを見ながら色の調整をします。例えば青が強い映像になっている場合はガンマのカラーホイールを使って青の反対色である黄色の方に動かしながら、スコープをみて調整していきます。
スクリーンショット 2023-02-06 14.39.22.png

カメラで撮影してきた映像がすでにホワイトバランス設定をして撮影している映像だとあまり調整する必要がないこともありますが、スコープをみてバランスが乱れている場合は微調整してあげましょう。

【彩度】
新しいノードを追加(option+S)してノードラベルを「彩度」にしておきます。
まず彩度についてはレフトパレット画面を「RGBミキサー」に変更します。
スクリーンショット 2023-02-06 14.41.18.png

赤・緑・青それぞれの出力をマックスまで上げます。もう一度レフトパレット画面を「プライマリー・カラーホイール」に戻して、「彩度」の数値を見ながら調整します。
スクリーンショット 2023-02-06 14.41.57.png


【コントラスト】
新しいノードを追加(option+S)してノードラベルを「CON」にしておきます。
センターパレット画面の「カーブ-カスタム」で操作します。
コントラストはビューア画面を見ながら、色のメリハリをつけていきます。画面の左側が暗い部分、右側は明るい部分の調整ができますので、左側を下げ、右側を上げてS字のカーブを描くようにするのが基本的なやり方です。
スクリーンショット 2023-02-06 14.44.10.png

ここまでがカラーコレクションの手順となります。ログ撮影している眠たい印象の映像から、実際に目で見ている時の自然な映像に近づいていれば正解です。カラーコレクションが終わればカラーグレーディングを行なっていきます。


4.カラーグレーディング
カラーグレーディングではLUTを利用します。まず、新しいノードを追加(option+S)してノードラベルを「LUT」にしておきます。
メディアプール画面で「LUT」に切り替えて今回のカラー編集に合ったLUTを選んでいきます。

【注意】LUTはDLをして種類をたくさん増やしておきましょう!
DaVinciのソフトもともとに入っているものだけでは種類が少ないので、外部サイトからDLすることをおすすめします。

LUTを決めたら、事前に用意しておいたギャラリースチル・スコープを確認しながら、参考映像に近づけていきます。
LUTを適応させた上で、LUTの色が強く出過ぎている場合はセンターパレット画面を「キー」に変更し、「キー出力」を下げて調整します。
スクリーンショット 2023-02-06 14.48.09.png

LUTだけでカラーがうまくいかなかった場合は、更に新しくノードを追加して、「プライマリー・カラーホイール」で色や明るさの調整をします。

【ポイント】
カラー編集はスコープに頼りすぎず、最終的には自身の目で見て判断しましょう。
先ほどカラーコレクションではスコープを見ながら調整するとお伝えしましたが、スコープを意識しすぎても映像として素敵なものにはなりません。
今回のテーマとしては「参考にした映像とどれだけ近づけられるか?」がゴールとなるので、最終的な判断は目で見た時の印象が大事です。
そのため、スコープはあくまでも目安として考えて、最終判断は自分の感覚を大事にしましょう。

③まとめ

・カラー編集の参考となる映像の準備をして、見本に近づけていくこと
・スコープに頼りすぎず、最終的には自身の目で見て判断すること

以上2点です。繰り返し練習してカラー編集手順をマスターしていきましょう!

④最後に

今回のHOW TOではDaVinciでできることの解説とカラー編集の具体的な手順をお伝えしました!
カラー編集ができるようになると、作品ごとにストーリー性を持たせることができたり、作品の雰囲気に合わせた映像を作り出せるようになりますので、より編集の幅が広がります。
最後までご視聴いただきありがとうございました!






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