「来年の一般受験の前に、推薦で受けてみたら?」
面接などで、こんな質問をしたら、よく返ってくる答えは、
「私・・・何か特技とかあるわけでないし、クラブ活動で表彰されたこともありません。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)のコースに入って研究活動行ってきたわけでもありません。だから無理なんです」
こんな感じの回答がとても多いです。
これを読んで、どう思われますか?
総合型選抜(旧AO入試) ・学校推薦型選抜は、一般学力試験でもなく、私立大学などでよくある指定校推薦でもない試験です。一般入試では、学力の実力が問われることになります。指定校推薦では、高校時代の成績(評定)が問われることになります。
そのどちらでもない、総合型選抜(旧AO入試)なのだから、きっと特別な力が必要なのに違いない。多くの方がそう思っておられるのです。
でも、それは大きな勘違いです。総合型選抜(旧AO入試)では、特にクラブ活動で大きな実績を残したとか、学校の生徒会長として地域と連携しながら街の美化活動を大々的に行ったとか、国際数学オリンピックに出場したたとか・・・・・・そんな実績が特に必要であるという入試ではありません。
例えば、私の担当した生徒の中でも、総合型選抜(旧AO入試)に最初は受験しようという気がなかったのに面接を繰り返すうちに、受験そして合格していった人間が数多くいます。一つの例を挙げておきます。
□掘り下げていくと見えてくるやりたいこと
面接で、将来のことをよく聞きます。ここでは、過去に面接を重ねていく中で、総合型選抜(旧AO入試)受験を志すようになり、見事合格していった生徒さんの例を紹介しておきます。
私 「将来どんな仕事をめざしているの?」
生徒 「県の公務員になることを考えています。」
私 「そうなんだ。今、公務員人気があるよね。でもどうして公務員って考
えたの。」
生徒 「父が県の職員で、大きな自然災害が起こった時、被災者のために寝食
を忘れて仕事に走り回っていた姿を見て・・・・・私も県民のために
尽くしたいって思ったんです。」
私 「それは素晴らしいね。で、どういう方法でそこへ向かっていくの。」
生徒 「県立の大学へ行って、地域のことを研究して、公務員試験を受け
て・・・・」
私 「なるほど。で、大学受験の方法は。」
生徒 「共通テストを受けて、前期試験で受験しようと思っています」
私 「そうなんだ。でも、県民のためにっていう強い想いがあるなら、推薦で
受験っていう手もあるんじゃないかな。」
生徒「推薦?でも推薦っていうと、やっぱり特別の力とか実績とか・・・・・
私には何もありませんので、無理です。」
というふうに冒頭に紹介したやりとりと同じことになってしまいました。
でも、私は、
「何もないんじゃなくて、県民のためにっていう強い想いがあるじゃない。
それをふくらましていけば、十分に受験できるよ」
って生徒に伝えました。
すると生徒も気持ちが動いたので、その方法を一緒に考えていきました。これが6月くらいのことです。
そこで、以下のようなことをやっていきました。
① 県内で起こった自然災害について、丁寧に調べる。
② 災害が起こった地域の役所に行って様々なことを聞く。
③ 災害が起こった地域に出向いて住民の方にインタビューする。
④ 災害に対して、どのような対策(事前・事後)をとればいいのか、ネット
や書籍、災害関係で著名な大学の先生の論文を読む。
生徒は、一般受験に向けての受験勉強と併行しながらこれらの活動を行っていきました。集めた資料や書きこんだノートは、随分厚いものになっていきました。
これらの活動を通じて、生徒の想いは一層強まっていき、話す内容も日をおって随分具体的な、レベの高いものになっていきました。
そして入試!
これらの活動を織り込んだ志望理由書、
実際に様々経験してきたことを語った面接
元々得意だった小論文
この三つで生徒は見事合格を勝ち取ってきました。
□誰にでもチャンスがある総合型選抜(旧AO入試)・学校推薦型選抜
この生徒は、特別何かがあったわけではありません。ただ、自分の中をしっかりのぞいてみたら県民のために尽くしたい・災害の被害を小さくしたい・・・などの想いを見つけたのです。そして、その見つけた想いをふくらませっていっただけのことです。
今、「私には特別なことは何もない」
って考えているあなたにも、自分の中をのぞいてみたらきっと何かがみつかるはずです。そう考えると、総合型選抜(旧AO入試)・学校推薦型選入試っていう制度は、誰にでもチャンスのある入試だということができるのです。ぜひ、みなさんにもチャレンジしていっていただきたいと思います。