個人事業者税務調査の流れ(電話連絡から終了まで)

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法律・税務・士業全般
【一般的な調査の流れ】

(1)実地調査の通知(事前連絡)…電話
 原則、電話で調査の連絡があります。
 調査税目(所得税・消費税等)、調査の目的(申告内容の確認など)、調査対象年分(原則平成29年分から令和元年分の3年間、無申告は5年間)、
調査担当者の所属部 門・氏名・電話番号・人数、用意していただく帳簿・書類などが一方的に通知されます。
そのうえで、都合の良い調査日を聞かれます。
調査日については、即答する必要はありません。なるべく、即答しない様にします。
「予定を確認して、後日連絡します」と回答します。
この段階で、必要があれば、税理士に相談するのがよいと思います。
なお、既に顧問税理士がいる方は、事前通知は税理士に連絡があるのが普通です。
また、特に飲食店などは、無予告調査が多くなっています。
無予告調査は一定の条件のもと、法律で認められています。
ただし、正当な理由があれば、調査日を後日に延期できます。

(2)実地調査の着手(質問検査)…原則事業所または自宅、1日~0.5日程度

 個人課税の場合、調査初日は原則として調査官1人で来て、1日(午前10時頃から午後4時位まで)行うのが一般的です。
調査場所(自宅、事業所、税務署)や業種や規模によっても異なります。
事業概況の聴取、取引先、取引金融機関、生活の状況などが聞かれます。
その後、帳簿調査となり、請求書、領収書、預金通帳等を検討します。
ただ、一日では終わらないのが普通なので、多くの場合、帳簿書類を借用(留置き)していきます。
個人課税の場合は、法人の調査と違って、現場で数日間調査するという例は少ないです。
帳簿等の借用は法律で認められていますが、かなり融通がききます。

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(3)調査の途中経過(質問検査)…事業所または税務署、0.5日程度
 その後しばらくして、税務署から連絡があります。
 調査官が署内で検討したところにより(場合によっては銀行調査等をふまえて)、疑問点を指摘します。
即答できるものは即答し、できないものは後日回答します。
また、調査中を通じて、最近は「質問応答記録書」を作成し、納税者の方に署名押印を求める例が増加しています。
これは、個別具体的な質問に対し、納税者の方が回答したものを文書化したもので、税務署が証拠として保全するものです。
例として、脱税が疑われるが物証(二重帳簿、偽造文書、売上除外メモなど)が発見されない場合、「質問応答記録書」を脱税の証拠 として作成するのが必然となっています。 

(4)取引先調査(状況に応じて)…必要日数
 必要があれば、仕入先や外注先などの取引先に取引内容を確認します。
ただ、税務署の一般調査では、調査を円滑に行うために、納税者にあらかじめ断るのが普通です。
また、税務署の一部の調査(非協力者など)や国税局の調査では通知なく行います。
銀行等の金融機関調査は、かなりの頻度で行いますが、納税者に通知しません。

(5)調査結果の仮説明…税務署、0.5日程度
 それまでの調査結果により、内容の具体的説明があります。
税務署の指摘に対し、正しければ認め、正しくなければ反論します。
税理士がいれば、もちろん税理士が反論します。その反論に対し、調査が継続することになります。
一般的には、この段階で初めて反論するのが賢明です。
これ以前の段階で非協力的な態度や反抗的な態度をとることは、なるべく避けるのが得策です。 
なぜなら、税務職員も人間であると同時に、国税は強力・強大・優秀な組織であるからです。
非協力や反抗的な税理士・公認会計士や納税者には組織で対応してきます。
組織として向かってきた場合、かなり手ごわいです。
その結果、膨大な時間がかかったうえ、マイナスの結果が待っています。
この段階までくれば強く主張してもOKです。
充分に納得できるまで税務署に説明を求め、反論します。
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(6)調査結果の説明(修正申告書等提出勧奨)…税務署、0.5日程度
 前回の反論や疑問点が解決すると、税務署内部で会議等を開催し、最終結論を出します。
そして、調査結果の説明がされます。
その際、修正申告書の提出をするよう行政指導されます。
修正申告を提出すると調査は修了します。
なお、修正申告しない場合は、税務署が「更正」という一方的な税額の通知をしてくる(相当経ってからですが)ことになっています。
そこで、不服があれば別の手続きに移行します。

 以上が、個人の一般的な調査の流れになります。個人課税の場合、調査が着手されてから終了するまで2カ月~3カ月が普通になってきています。また、調査遡及年数は、着手時は3年と言われますが、誤りがあると5年遡及され、不正の事実があれば7年さかのぼって課税されます。
                             (終わり)

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