それでも、まだ生きてる。~第2話~

記事
小説


2017年。 9月。


私はとても探究心が旺盛で、
web上の情報を鵜呑みにはしない。

自分の実体験があって、
やっと、自分の血となり肉となり、
知識になると、心底思っている。

堅物で、頑固で、、、
所謂、可愛くないタイプだ。

私の中に、
「可愛い~♡(キャピキャピ)」も、
「だ~いすき♡(キャピキャピ)」もない。

ただ、
物質的に証明できることのみ。

神さまや、天使さんや、
スピリチュアルと言われるものを、
私は信じていない。

その『目に見えない』世界で、
当たり前とされてる。
『引き寄せの法則』や『シンクロニシティ』を、
否定し続けて、ここまで来た・・・

そんなのは、
心理学でいうところの『集合的無意識』
というやつで、小宇宙と言われる
人体の神秘がなせる技・・・?


「ん?神秘?・・・神の秘密・・・?」(汗)

私は頭を抱え、目を閉じた。

「いや!? ちがう!!!流されるな!萌音!
ちょっと、頭に軽く後遺症が残ってるだけ!」


私はずっと、
霊体験とか、そういった類いのものを、
すべて、科学的に証明してきたじゃない!




そう。

なのに・・・なぜ?

ここまで来て、なんなの?

この目の前で、宙を泳ぎ回っている
『物体』は?!


私は自問自答しながら目を開けた。

狭い病室の天井で
大きくなったり、小さくなったり、
壁を突き抜けたり、入ってきたり、
縦横無尽に泳ぎ回ってる『物体』。


こ、これが俗に言う『龍』というやつなのね・・・

否定しながらも、目の前の光景に、
心が柔らかく、解れていくのを感じる。



「・・・え?私、、、癒やされてる?」


何か、大事な大事な忘れ物があるような、
それを見つけたような・・・
不思議な感覚に、私は身を委ねていた。




(トントントン)

「はっ!?」

病室の戸をノックする音で、我に返る。

「ちがう!ちがう!幻覚よ!幻覚!」

私は、布団を頭から被り、必死で脳の損傷と、
視覚に及ぼす、幻覚症状だと割り切った。




(トントントン)



「は、はい・・どうぞ。」

病室のドアが開くと、そこには倫也が立っていた。


「あっ、倫也・・」

倫也はツカツカと、
ベッドの脇に近寄ると、
スーパーの袋を私に差し出した。

「はい。これ・・」

「・・ん?なに?」

と渡された買い物袋を覗くと、
美味しそうな梨がたくさん入っていた。

「あっ、ありがとう」

美味しそうな梨に喜びつつ、
目の前では、『龍』が泳ぎ回っている・・・


私は、気のせいにして、
気にしない策にでた。


「どうなの?カラダの方は?」

倫也が病室の壁に折りたたんである
イスをひろげ尋ねた。

「・・・うん。(カラダは)大丈夫・・・」

私は、『龍』を意識しないように
するのが、やっとで上手く笑えずにいた。

意識しないようにすればするほど、
気になってしまう。

そして、『龍』もわざと気になるような、
動きを組み込んでくる。

倫也の前を横切ったり、
小さくなって、倫也の肩で火を噴いたり、
足元から、グルグル巻きにしてみたり、、、


「ちょっと!いい加減にしなさいよ!!!」

私は思わず、口に出してしまった。

倫也は一瞬、目を丸くして驚いたが、
その後に続く、倫也の言葉に、
私は度肝を抜いた。


「なに?萌音・・・これ、見えてんの?」




倫也は、病室の泳ぎ回る『龍』を、
指さし、私に言った。



えーーーーーーーーー!?(汗汗汗)








第3話へ   つづく。










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