求人票についての留意事項もろもろ

記事
ビジネス・マーケティング
 皆さんは、求人票を見れれたことがありますか?


 求人票の記載内容としては、会社の概要情報(本社所在地、設立年、上場の有無、社長名、業界や業種、売上高、利益水準、社員数、平均年齢、平均所得等の会社四季報などに出ているような一般的な情報)があります。

 そして、求人の背景、例えば、業界再編に伴う求人、新規事業開発に伴う専門人材の採用というような記載のされ方がされていることが多いです。


 あとは、求人がかかっているポジションの説明(組織名や役職等)、処遇条件(下限と上限を表示する形での給与条件、残業の有無、独身寮や社宅の有無、、、等々)などがカバーされています。


 10社分くらいまとめて見てみると、おおよその記載内容や見るべきポイントは分かります。


 情報の把握、理解という意味では、まずは、求人をしている会社の業界や業種の大きなトレンドやその競争環境化でのその会社の立ち位置や経営戦略をおおよそのところを把握することが重要だと思います。ビックピクチュアを頭に入れるイメージです。

 その上で、求人がかかっているポジションに関しての関連情報や求人の背景などを求人票の記載事項を参考にして、インターネットなどで、キーワードの意味するところを深堀して理解するように努めるといいと思います。



 特にその会社のホームページで、会社の中期経営計画などがあれば、それを読み込んでいくと自分なりに求人の背景やそれをふまえて、その会社が外部からの中途採用人材に何を期待しているか、ストーリーを思い描くことができると思います。ここまでいくとしめたもので、断片的だった情報が有機的につながりだすのではないかと思います。

 もし、入手できるなら、以前の中期経営計画と新しい経営計画で何が更新されているか、何が新しく強調されているかという見方をすると面白いと思います。新しく記載されている事項や強調されている事項と求人票の情報を何らか関係があるはずです。


 というのは、外部人材を採用してでも何かしようとしているということは、それまでのその会社の戦略や業務の進め方を変える、強化する、新規事業を行う等の変革をしようとしていることが背景にあるのが普通だからです。(今まで通りでよければ、新卒のプロパーの社員でやっていけばいいので、異分子の外部人材を採用する必要はないはずですよね。)


 あとは、その会社に知り合いなどがいれば、中期経営計画に対しての見方や普段の業務で同計画との関連で意識していることなどを聞いてみると求人票の情報とつながる情報が得られるかもしれません。そういう内部で働く社員に直接、聞いた話は、面接の場で面接官にも響く可能性が高いですし、面接の場が和むような面白いネタを見つかられるかもしれません。


 書類選考を通過して、面接に呼ばれたら、面接の場で求人票に記載されていた事項に関して、不明点などを直接、面接官に聞くこともできます。


 これは、面接をうまく進めるためのテクニック論にもつながりますが、もし、いいタイミングがあれば、面接の序盤でこちらから「求人票にこういう記載があり、今回の求人の背景や求めている人材像に関して、○○のように理解したのですが、齟齬はないでしょうか?」というような形で、切り出してみるといいと思います。或いは、面接の後半で、質問は何かないですか?と聞かれた時に質問するのもうまいやり方だと思います。

 これは、企業側の面接官に今回の求人でどのような人材を採用したいと考えているのか、求めている経験やスペックがどのようなものかを説明してもらうことになるからです。面接官の回答をふまえて、その後の面接のやり取りの中で、自分がいかにそうした求人ニーズに適した人材であるかを職務履歴書に記載しているものの中からPRすべき事項を判断して、具体的な事例を交えて、説明していけばいいわけです。




 そういう観点で考えると面接の序盤でうまく面接官から求人ニーズに関して聞き出せれば、それをガイドラインにして、面接を進めていけばいいわけです。もし、面接の序盤、中盤で求人票の記載事項に関しての話をするタイミングがなければ、後半(或いは、面接の最後)で何か質問がないですか?と聞かれた時に求人票に言及しながら、質問するのも手だと思います。その場合は、それまでの面接のやり取りもふまえて、少し、つっこんだ内容が面接官から聞き出せるような質問の仕方をして、それに対して、自分がこれまでの職歴などから、いかに適合しているかを最後のダメ押しとしてPRをするという流れにできると、面接のいい締めくくりにできると思います。


 求人票は、企業側の求人ニーズを把握する第一歩の情報源と言えます。それに加えて、上記の通り、面接の場でうまく面接官から、求人ニーズを聞き出すための糸口に使い、それを参考にしながら、面接のやり取りを進めるといいと思います。そうすることで、面接を終えて、面接官が「この人こそが求めていた人材だ!」と納得して、◎をつけてくれれば、内定をもらえる確率が格段に高くなると思います。


 上記の通り、使い方によっては、非常に有用な求人票も、留意した方がいいポイントがいくつかありますので、整理していきたいと思います。
① 企業の人事担当者が、現場ニーズを正確に把握せずに作成しているケース
 想像してみれば、分かることですが、皆さんの会社でも、人事部門と現場の営業部の担当者間で、お互いに関しての理解不足が原因で、コミュニケーションにギャップが生じることは往々にしてありますよね?

 例えば、人事の担当者は入社以来人事部門でキャリアを積んできていて、営業の現場のことはほとんど経験がなく、現場で使われている社内用語などもよく分からないということは普通にあることだと思います。これは、いわば、会社の内部での壁ともいえるものですが、大きな会社ほど、本社側と現場の距離もあり、同じ社内でもお互いのことをよく知らないとなりがちです。


 現場のことをよく分からない人事担当者が、現場から中途でこんな人を採用したいと考えていると連絡を受け、ヒアリング等をして作成した求人票は、かなり心もとないものですよね?(分からないことがあれば、質問したり、作成した求人票を現場の営業部門に確認依頼すれば、まだいいのでしょうが、人事部門もプライドがあるので、自分たちが作成した求人票を確認してもらうことなく、転職エージェントに渡してしまうこともわりとあるようです。)


 そんな求人票では、正確に求人ニーズが伝えられないので、ふさわしい人材を選考プロセスに乗せることができませんし、もし、それでも採用に至った場合は、入口からボタンの掛け違いが生じている可能性が高く、採用された人がきちんと会社に定着しないというようなことが往々にして起きるわけです。考えてみれば、とんでも無駄が最初から発生する構図になっているわけです。

②  求人スペック、外部人材の期待する業務内容などが首尾一貫しないケース
 採用を考えている現場の部門は、通常、何らかの課題を抱えているものです。しかし、果たして、それが外部から人を採用すれば、解決するようなものかはケースバイケースです。むしろ、よくよく聞いて、整理してみると、外部人材を採用して解決する類の課題ではなく、その前に戦略コンサルティングなどで経営課題を整理したり、場合によっては、M&Aで個別案件を買収することが必要なケースも散見されます。つまり、中途で外部人材を採用すれば解決できる問題ばかりではないのですが、このあたりが中途採用に慣れていない企業はよく分かっていないケースが往々にしてあります。 

 あと、仮に外部人材を採用するにしても、どのような人材を採用するのかもよくよく考える必要があります。つまり、自社のプロパー社員では解決が難しい課題を解決することを期待する外部人材は、これまでのキャリア形成をプロパーの社員とは、別のルートでしてきたとも言えるわけです。そうなると、育ってきた企業カルチュアのギャップ、処遇条件の違い等々が多かれ少なかれあるのが普通です。そうなると、面接で高評価したとしても、処遇条件で折り合わなかったり、仮に採用しても、カルチュアの違いなどから、うまく定着しないことが往々にしてあります。

 このあたりをきちんと理解した上で、自社に足りないものを補完してくれる外部人材に期待する役割を明確化し、折り合いのつく処遇条件などを考えて、求人票を作る必要があるわけです。採用部門側でこのあたりの整理がきちんとできていないと、求人票を書く以前の問題です。その上で、上述の通り、採用部門の理解が不足している人事担当者が求人票を書くような場合は、最初から内容が間違ってしまっている伝言ゲームのようなもので、もはや、転職エージェントも転職候補者も理解できる代物ではなくなってしまいます。




③ 転職エージェントが理解不足、確認不足のまま、求人票を作成するケース
 このケースは、厳しいいい方をすれば、転職エージェントの業務執行上の問題ですが、そうは言っても、とても幅広い業界、業種をカバーする転職エージェントは、たいていの場合、個別の業界、業種での実務経験もなく、十分な知識がないケースが大半です。

 そんな理解不足の転職エージェントが、企業側へのヒアリングに基づいて作成する求人票は、これもまた、内容がオンパレードということがよくあります。(例えば、酷いケースでは、募集をかけている求人がそもそも、事務系の求人なのか、技術系のものなのかすらも分からなかったりします。あとは、求人をかけている背景としての説明として、書かれている業界動向自体の記載が正しくないこともあります。)


 上記の通り、求人票はうまく使えば、面接でのやり取りをうまく進めるツールにも使えて有用です。

 ただし、企業側の人事担当者の採用現場に関しての理解不足、もっと根本的な藩士としては、採用を考えている部門の人が、自らのニーズを整理できていないケースも散見されます。さらには、転職エージェントが、企業側の採用ニーズを十分に理解しないまま、求人票を作成するケースもあります。

 転職候補者の立場では、お付き合いをしている転職エージェント経由で、受領した求人票がちんぷんかんぷんな場合、誰が書いたものか確認すると共に転職エージェント自身がちゃんと内容を咀嚼して理解しているか、確認すべきです。というのは、転職エージェントがその質の低い求人票を書いていた場合はお付き合いの仕方を考えた方がいいです。もし、企業側が作成した求人票だったとしても、内容がちんぷんかんぷな情報を転職候補者にそのまま提供する転職エージェントも質が高いとは言えず、要注意だと思います。


 実体験に基づく転職活動マル秘ノウハウレポートを2つ出しています。面接編の方はサンプルもありますので、ご関心あれば、ご連絡下さい!





サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す